広告

広告

×
目次

音名の相対表記(Scale degree names)/音楽理論講座

Author: sleepfreaks

楽曲にストーリー性を持たせるための準備

前回の最後のサンプルで、王道進行を3回ほど繰り返した後、ある仕掛けを行うことで、
楽曲がひと段落し、終わったと感じさせることができることを示しました。

今回からは、このような「楽曲のストーリー性」をコードで表現するための知識を、
一つずつ取り上げていきます。

具体的には、数回に分けて、今の段階で使えるコード(3,4和音のメジャー・ダイアトニックコード)
を”どう使えば良いのか”
に焦点を当てていきます。
引き続き、楽曲アナライズ等の練習を行いながら身につけていただければより効果的です。

ここで混乱を避けるために、今まで出てきいくつかの用語も復習しておきましょう。

  • 音名

https://sleepfreaks-dtm.com/music-theory-beginner/about-note/

絶対的な音の高さ(周波数で決められた音の名前)を表すものですね。

  • 階名

https://sleepfreaks-dtm.com/music-theory-beginner/about-scale/

移動ドという考え方です。スケールの主音を「ド」とする呼び方ですね。

  • スケールディグリー

https://sleepfreaks-dtm.com/music-theory-beginner/minor-scale/

この講座では、たくさんあるスケールを丸覚えするのは難しいので
メジャースケールの構成音に1 2 3 4 5 6 7 (8)と数字を振ることで、
他のスケールにすぐにたどり着けるということをお伝えしました。

例) (ナチュラル)マイナースケール
1 2 b3 4 5 b6 b7 (8)

Cメジャースケールが「C D E F G A B (C)」ですので

3、6、7番目を半音下げれば、
C(ナチュラル)マイナースケール(C D Eb F G Ab Bb (C))になりますね。

C_Minor

このやり方で、例えばアラビックスケールのスケールディグリー「1 b2 3 4 5 b6 7」さえ覚えてしまえば、
Cアラビックスケールを簡単に作ることができます。

C Db E F G Ab B (C)

C_Arabic

ここまでを、しっかり押さえておいて下さい。


スケールディグリーネームとそれぞれの役割

お待たせしました。

ここから音名の相対表記(スケールディグリーネーム)=(Scale degree names)を確認していきます。
なんだかややこしそうですが、絶対に押さえておきたいポイントは数個ですので、頑張っていきましょう!
これまで学んできたことも十分活かされてきます。

まずは、これまで何度も掲載してきた五度圏の図をご覧いただきながら、
各メジャーキーとそのスケールをイメージしてください。

Circle_of_5th

ここで、各キーにおける「C」という音に注目してみましょう。

Cメジャースケールでは左から1番目に位置します。

C_Scale

Gメジャースケールでは4番目。

G_Scale

Fメジャースケールでは5番目です。

F_Scale

実は、この位置の違いのように、同じ「C」であってもキーによって役割が違ってくるのです。

その役割を明確にするために、音名の相対表記(スケールディグリーネーム)=(Scale degree names)
が必要になってきます。

Cメジャースケールを例に、それぞれ確認していきましょう。

Scale_Degree

  • 「I」 Tonic(トニック)= 主音(しゅおん)

スケール(音階)の最初の音であり、 移動ドにおいてメジャーKeyではドの音。
調性のある音楽では、この音に帰り着きたい、戻りたい、という力が働きます。
スケールの中で最も安定した音と言われています。

  • 「II」 Supertonic(スーパートニック) = 上主音(じょうしゅおん)

Superということで、Tonic= 主音の上にある音を指します。

  • 「III」 Mediant(ミーディアントまたはメディアント)=中音(ちゅうおん)

Tonic= 主音とDominant = 属音の中間に位置する音という意味です。

  • 「IV」 Subdominant(サブドミナント) = 下属音(かぞくおん)

Tonic= 主音から、P5th下の音です。上で考えると、P4th上の音ですね。

  • 「V」 Dominant(ドミナント) = 属音(ぞくおん)

Tonic= 主音からP5th上の音です。下で考えるとP4thですね。
下記のLeading Tone = 導音と共に、Tonic(トニック)に対して重要な位置付けとされています。

  • 「VI」 Submediant(サブメディアント) = 下中音(かちゅうおん)

Tonic= 主音とSubdominant(サブドミナント)の中間に位置する音という意味です。

  • 「VII」 Leading Tone(リーディング・トーン) = 導音(どうおん)

半音上のTonic(トニック)に導くと言う意味からこの名前がきています。

以上からわかるように、「C」という音は、Key=Cならトニック、key=Fならドミナント、
Key=Gならサブドミナント
という位置付けになります。

次回はここから更にコードの役割へと発展させていきます。
「このキーなら何番目の音だから…」といった風に、
すぐにスケールディグリーとリンクできるようにしておきましょう。




DTM解説情報をつぶやくTwitterのフォローもお願いいたします。



記事の担当 伊藤 和馬/ Kazuma Itoh

講師 伊藤
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。 バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
その技術を活かし、POPSから映像音楽まで、幅広い作曲活動を行っている。

講師の作品

  1. 講師_伊藤のプロフィールを読む