32bit(整数)オーディオ/64bit floatオーディオエンジンとは?|Cubase 10 使い方
Cubase 10で新たに対応した32bit整数オーディオと64bit floatオーディオエンジンについて解説します。32bitは2の32乗で約43億段階のダイナミクスを表現でき、ダイナミックレンジは192dBに達するため、ボーカルの微細な息遣いやホールの複雑な残響も高精度でレコーディング可能です。32bit整数でレコーディングする場合は、64bit floatのオーディオエンジンを選択することで、下位8bitの情報が失われず、32bitの解像度を完全に活かせます。対応するオーディオインターフェースの選定とCPU負荷への注意が必要です。
Cubase10から32bit(整数)が選択可能に
今回はCubaseにおける32bit整数オーディオ、及び64bit floatオーディオエンジンについて解説していきます。
CubaseではVer10から32bit整数/64bit floatのビット解像度が選択可能になりました。
また、9.5から64bit float オーディオエンジンが採用されており、これで32bit整数オーディオ/64bit floatエンジンによるレコーディング/ミキシング環境が完成したと言えます。
この32bit整数によるレコーディングは、小さな音から大きな音までよりリアリティのあるサウンドを追求したいという方、また将来の更なるハイレゾ化に向けて高解像度の音源を残したいという方に適しています。
Cubase10 32bit(整数)オーディオ/64bit floatオーディオエンジンとは?
YouTube動画への質問と回答の抜粋
オーディオI/Fが24bitの場合、プロセッシング精度64bitfloatを選択するのはあまり意味がないのでしょうか?(32bit Floatで十分?)
I/Fが24bitの場合は、32bit Floatでのご使用で問題ございません。
いつも解説ありがとうございます。 質問なのですが、24bitまでしか対応してないオーディオインターフェースの場合はCubase側のプロジェクト設定32bit整数はつかえないということですよね? その場合は24bit,32bitfloat,64bitfloatのどれかに設定するということでしょうか?
はい。32bit整数に対応していない場合は、24bit、32bitfloat(推奨いたします)をご選択いただく形となります。
ビット解像度とオーディオエンジンについて
まず、以前32bit floatを解説した際に整理した、ビット解像度とオーディオエンジンの違いについておさらいしておきましょう。

プロジェクト設定におけるビット解像度は、レコーディングまたはファイルインポート時のフォーマットで、オーディオエンジンはDAW内部処理の精度ということでした。
また、ビット解像度でfloatを選択するのは、エフェクトのかけ録りをする場合、または書き出したファイルをインポートする場合ということも思い出してください。
現在販売されているオーディオインターフェイスのビット解像度は、最大でも32bit整数ですので、それを使用する場合、ビット解像度は32bit整数もしくは64bit floatを選択するということになります。
また後ほど詳しく解説しますが、32bit整数以上のビット解像度を選択した場合、オーディオエンジンは64bit floatを選択することでベストな環境が整います。
32bit(整数)オーディオのメリット
さて、Cubase10において、32bit整数に対応したオーディオインターフェースを使用してレコーディングを行った場合、どれほどのメリットがあるのでしょうか?

bitは音量の解像度で、数値が大きくなるほどより細かくダイナミクスを表現することができます。
具体的には、
16bitは2の16乗で65,536段階
24bitは2の24乗で16,777,216段階
32bitは2の32乗で4,294,967,296段階
となり、32bitの表現力が桁違いなのがわかっていただけると思います。
なお、bit数に応じたそれぞれのダイナミックレンジは、16bitが96dB、24bitが144dB、32bitが192dBとなっています。
この違いにより、ボーカルの消え際の息遣いや、ホールの複雑かつ微細な残響などを緻密にレコーディングすることができます。
整数とfloatの関係
ここで、整数とfloatの関係についてもおさらいしておきましょう。
以前の動画でも解説した通り、32bit floatは演算用データ8bitを含むため、実際のオーディオデータに充てられるビット数は24bitということになります。
32bit foatオーディオエンジンは、24bitでレコーディングされたオーディオを扱うには十分でしたが、Cubase10からは32bit整数でのレコーディングが可能になりました。
32bit整数のオーディオデータを32bit floatのオーディオエンジンで処理すると、実質24bitですので、下位8bitが切り捨てられてしまいます。

そこで32bit整数でレコーディングを行った場合は、64bit floatのオーディオエンジンを選択します。
64bit floatオーディオエンジンは演算用データを除いても十分なオーディオデータ領域がありますので、32bit整数の解像度を遺憾なく発揮させることができます。
以前32bit floatの動画でも解説しましたが、64bot floatエンジンで32bit 整数のオーディオを扱う際も、ミキシング時の各トラックにおいて事実上クリップが起きることはありません。バスやステレオアウトでレベルを下げれば修復可能ということになります。また、各トラックのフェーダーを下げることによる音質劣化も事実上起こりません。詳しくは、32bit floatの解説動画をご覧ください。
32bit float 解説動画
32bit(整数)オーディオ/64bit floatエンジンの注意点
最後に、32bit整数オーディオ及び64bit floatエンジンを使用する際の、注意点にも触れておきます。
32bit整数でレコーディングを行うには、それに対応したオーディオインターフェースが必要です。現在販売されているものとしては、このSteinberg 「AXR4T」や「AXR4U」が挙げられます。

なお、32bit 整数や64bit floatでレコーディングを行った場合でも、オーディオインターフェース内でクリップするとその状態が維持されてしまいますので、この点も注意しておいてください。
また、32bit整数オーディオを扱ったり、64bit floatオーディオエンジンに切り替えたりすると、CPU負荷の増加や、オーディオファイル容量の増加も伴いますので注意が必要です。
CPU負荷に支障がなければ、プロセシング精度は64bit floatに設定しておいて問題ありません。
念の為となりますが、プロセシング精度で64bit floatを選択している際に、ファイルの書き出し・インポートを行う場合、64bit floatフォーマットでの書き出しを行ってください。
また、別環境の共同制作者にファイルを渡す場合、相手のプロセシング精度に応じたフォーマットで書き出しを行ってください。
【続・絶対に押さえておきたい】32bit整数オーディオ / 64bit floatオーディオエンジンとは?
🎥YouTube:https://t.co/SRPfu84MOG
以前解説した32bit floatに関する動画をご覧いただくと、より理解が深まります。
解説:大鶴 暢彦(@o2ring )#DTM #cubase pic.twitter.com/I20Hf1pbmj
— SLEEP FREAKS (@SLEEPFREAKS_DTM) September 15, 2019
よくある質問
Q1. 32bitオーディオと24bitオーディオの違いは何ですか?
bitは音量解像度で、24bitは約1677万段階、32bitは約43億段階の表現が可能です。ダイナミックレンジも24bitの144dBに対して32bitは192dBとなり、微細なニュアンスを高精度で捉えられます。
Q2. 32bit整数でレコーディングするときはどのオーディオエンジンを選ぶべきですか?
64bit floatのオーディオエンジンを選択してください。32bit floatエンジンでは実質24bitになり、32bitの情報が失われてしまいます。64bit floatなら32bitの全情報を活かせます。
Q3. 32bit対応のオーディオインターフェースにはどんなものがありますか?
Steinberg製の「AXR4T」や「AXR4U」が該当します。32bit整数でレコーディングするには対応機器が必須のため、導入時に確認が必要です。
Q4. 64bit floatエンジンを使うデメリットはありますか?
CPU負荷が増加し、オーディオファイル容量も大きくなります。ただしプロセシング精度は向上するため、CPU負荷に問題なければ64bit floatの使用をお勧めします。
Q5. オーディオインターフェース内でクリップした場合は修復できますか?
いいえ。オーディオインターフェース段階でのクリップは修復不可能です。入力レベルを適切に設定し、クリップを防ぐことが重要です。
記事の担当 大鶴 暢彦/Nobuhiko Otsuru










