Fender Studio Pro 8.1 リリース!新機能&改善点まとめ
Moises連携やVocal Tuneを搭載!制作ワークフローを加速する大型アップデート
Fender Studio Pro 8.1がリリースされました。
8.1という数字だけ見ると小さなアップデートのようですが、今回は不具合修正や細かな改善だけでなく、制作の進め方そのものに関わる新機能が数多く追加されています。
目玉となるのは、生成AIツール「Moises」との連携、新しいボーカル・プラグイン「Vocal Tune」、そしてDAW(音楽制作ソフト)の中で操作を相談できるAIチャット「Studio Assistant」です。
さらに、スコア・エディターやオーディオ編集まわりも大きく強化されました。
それでは、主な新機能からさっそく見ていきましょう。
動画
生成AIツール「Moises」との連携
今回のアップデートで最も注目を集めているのが、生成AIツール「Moises」との連携です。
Moisesはステム分離などで知られるサービスで、8.1ではこれがFender Studio Proの中から直接使えるようになりました。
できるのは「ステム分割」「ステム生成」「ボイス変換」の3つ。
これまでのように外部サービスへ書き出して、また戻すといった手間がなく、DAWの中だけで完結しやすくなりました。
なお、Moises連携の利用にはMoisesアカウントが必要です。
Moisesは拡張機能として提供されているため、初めて使うときは、最初にインストールと初期設定を行います。
初回のインストールと初期設定
初めてMoisesを開く際は「いますぐインストール」と表示されるので、これをクリックしてインストールします。
インストール後は、利用規約に同意して「Continue」をクリックし、続けて「Connect Account」からMoisesアカウントにログインすれば準備完了です(アカウントを持っていない場合は、この画面から無料で新規登録もできます)。
ログイン後に「Moises」をクリックすると、3つの機能が使えるようになります。
Separate Stems(ステム分割)
「Separate Stems」は、完成した2ミックスの音源を、ボーカルやドラム、ベース、ギターといったパートごとに分割する機能です。
Fender Studio Proには、もともと「ステム分割」機能がありますが、内蔵はネット接続なしでボーカル・ドラム・ベース・コードの4パートに分けるのに対し、Moisesはクラウド処理で、より細かいパート分けができる点が違います。
※ただし、細かい分離や高音質での書き出しは、Moisesの有料プランが対象です。
Moisesのパネルでステム分割を開いたら、次の2通りから分割する方法を指定できます。
- My files:パソコン内のオーディオファイルを選択し、分割する
- Current selection:すでにプロジェクトにあるオーディオイベントを選択し、分割する
あとは取り出したいパートを選択して、画面下部の「Separate Stems」ボタンをクリックすれば、分離された各パートが新しいトラックとして読み込まれます。
Generate Stem(ステム生成)
「Generate Stem」は、いま手元にある音源に合わせて、足りないパートをAIが生成する機能です。
たとえばギターのトラックに対して、曲のテンポや雰囲気に合ったドラムやベースを作る、といった使い方も可能。
オーディオイベントを選択した状態で、「Current selection」をクリックします。
追加したい楽器を選択し、「Presets」からジャンルを選んで「Generate Stem」をクリックすると生成が始まります。
ジャンルがわからない場合は、「AIマッチ」を選択すると元の音源に合ったオーディオを生成します。
生成したオーディオは、新しいトラックとして読み込まれます。
- A:元にしたギター音源 / B:生成したドラムとベースが加わったもの
Convert Voice(ボイス変換)
「Convert Voice」は、既存のボーカル音声を別の声に変換する機能です。
性別や音域、スタイルの異なる40種類の声が用意されており、これらはすべて実在のアーティストの声をもとに作られています。
変換したいボーカルトラックを選び、使用したい声を選んで「Convert Voice」をクリックします。
変換すると、元のボーカルと変換後のボーカルの両方が保存されます。
- A:変換前のボーカル / B:変換後のボーカル
新ボーカル・プラグイン「Vocal Tune」とピッチ・カーブ
ボーカル編集まわりも強化されました。
新しいプラグイン「Vocal Tune」と、オーディオイベントに直接ピッチを描ける「Pitch Curves(ピッチ・カーブ)」が加わり、ボーカル編集をDAW内で完結させやすくなっています。
Vocal Tune
「Vocal Tune」は、リアルタイムのピッチ補正とフォルマントシフトに対応したネイティブ・プラグインです。
ナチュラルな補正から、エフェクト感の強い個性的なサウンドまで対応。
フォルマントシフトは、ピッチとは別に声の太さやキャラクターを変える機能で、コーラスに別の人が重なったような表現も作れます。
プリセットとカスタムの両スケールに対応し、プラグイン本体のレイテンシーは12ms未満のため、リアルタイム入力やライブ・パフォーマンスでも使用できます。
Pitch Curves
「Pitch Curves」は、オーディオイベント上にピッチのカーブを直接描ける機能です。
使用する際は、オーディオイベントを右クリックし、メニューから「ピッチカーブ」にチェックを入れます。
±2オクターブの範囲で、半音単位やセント単位の細かな編集に対応。
オートメーションを描く感覚で音程を動かせるため、ボーカルのちょっとした揺れを直すだけでなく、ピッチベンドのような動きや大胆な効果も作れます。
オーディオイベントに対する機能なので、素材によってはボーカル以外にも応用できます。
DAW内で操作を相談できるAIチャット「Studio Assistant」
「Studio Assistant」は、Fender Studio Pro+限定で追加されたAIチャットです。
マニュアルやナレッジベースをもとに、使い方や実践テクニックをDAWの画面から離れずに相談できます。
これまで検索やマニュアルで調べていた疑問をその場で解決でき、機能の多いFender Studio Proでも最初のハードルを下げてくれます。
ただし、これはプロジェクトを直接操作する機能ではありません。
「処理を実行して」と任せるのではなく、「どう操作するか」「なぜこの設定を使うのか」を確認するための補助と考えると分かりやすいです。
なお、個人情報や制作データは共有されず、AIの学習にも使われません。
Pro+限定のパブリックベータのため、回答に誤りが含まれる場合もあります。
その他の改善点
上記以外にも、日々の作業を軽くする改善が数多く加わっています。
- AIステム分割(内蔵)の高速化・高精度化:Moises連携とは別の内蔵機能で、ローカル処理のまま処理速度と精度が向上
- オーディオ/ノート変換の強化:「ドラムを抽出」が電子ドラムにも対応し、「音符を抽出」の低音検出も改善
- 共有バーチャル・インストゥルメント・セット:よく使う音源を共有領域に保存し、セッションごとの再読み込みを削減
- スコア・エディターの大幅強化:リピートやD.S.・コーダなどの反復記号に対応し、拍子・調号・テンポの直接編集やコード記号入力にも対応
- そのほか、サウンド・バリエーションのアタック補正、ブラウザーのタブ並べ替え、Dolby Atmosヘッドフォン・パーソナライゼーション、CV Instrumentのモジュレーション追加など、細かな改善も多数
アップデート・トライアルについて
現在Fender Studio Proをお使いの方は、1年間の機能アップデート対象であれば、8.1へ無償でアップデートできます。
今回の8.1は、AIで曲をすべて作るDAWになったというより、制作の途中で止まりやすいポイントを少しずつ補助してくれるアップデートと捉えると分かりやすい内容です。
まずはMoises連携やVocal Tune、Pitch Curvesあたりから試すと、変化が分かりやすいと思います。
自分の制作でよく使う素材を使って、どれくらい作業が快適になるかを確かめてみてください。

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