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【DTM】宅録ボーカルミックスの基本プロセス 〜ブラッシュアップ編〜

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クリーンになったボーカルを磨き上げる

mic

今回は「宅録ボーカルミックスの基本プロセス」第2回ということで、基礎処理が終わった後の段階として、ボーカル素材を磨き上げ、楽曲に馴染ませていくプロセスをお見せしていきたいと思います。
第1回の内容が前提となりますので、ぜひそちらからご覧ください。

第2回の流れは以下の通りです。

  1. 1イコライザー(API-550B)で色付け
  2. 2エンハンサー(Vitamin)で明瞭感アップ
  3. 3オートメーション処理(Vocal Rider)で安定感を出す
  4. 4リバーブ(Abbey Road Reverb Plates, H-Reverb)で艶を与え馴染ませる

以上となります。
しっかりと基礎処理を行った上で、次は「聴かせる」ボーカルに仕上げていきましょう!

宅録ボーカルミックスの基本プロセス 〜ブラッシュアップ編〜

  1. 1宅録ボーカルミックスの基本プロセス 〜基礎処理編〜
  2. 2宅録ボーカルミックスの基本プロセス 〜ブラッシュアップ編〜

イコライザー(API-550B)で色付け

まずは色付けのイコライザーです。
今回はAPI-550Bを使用しますが、好みやソースに応じてマッチするものをチョイスしていいでしょう。
アナログシミュレーション系のいい点は、音に集中して調整できるのと、単位がざっくりしているため、迷いが少なくなるところですね。
このAPIのシリーズも、きちんと音楽的に考えられた設定・効き方となっているため、非常に頼りになります。

api550B

ブーストするポイントとしてまず挙げられるのが、5kHz以上の超高域です。
この帯域を強化すると、サウンドが前に押し出され、聴き手に近づいたような印象を与えることができます。とはいえ、上げすぎるとシャリシャリとした耳障りな音が出てきますので注意です。

中高域については、倍音のキャラクターが最も出やすい帯域です。2dBを目安として、周波数を前後させ、ブーストやカットを行ってみましょう。

200Hz〜400Hzはボーカルの基音部分にあたり、ピッチ感や太さ、温かみに影響がある帯域です。こちらも2dBを目安として、周波数を前後させてみましょう。
コンプ前に入れたイコライザーのカットと相殺するのでは?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、コンプ前とコンプ後では役割が明確に違います。ここでのEQはあくまで仕上げに必要な要素を耳で判断し、行ってみて下さい。

エンハンサー(Vitamin)で明瞭感アップ

エンハンサーはEQとは違い、サウンドに含まれる周波数成分を持ち上げるのではなく、無い倍音を足してくれるというものです。結果としてサウンドの輪郭がはっきりとし、明瞭感を与えることができます。EQではもう一歩抜けが足りない、音量感を変えずに存在感を出したい、という場合に重宝します。
今回はVitaminを使用し、高域を中心に倍音を付加してみたいと思います。

vitamin

まず超高域から値を決め、ちょうどいい抜け感が出てきたら、それに準じてバランスを取るように、近接する帯域を調整します。結果的に、このようになだらかに左下がりとなるフェーダーバランスになりました。このようにすると、比較的自然な仕上がりになることが多いように思います。
また最後に、DIRECTをやや下げるというのも是非お試しいただきたいです。より倍音が際立ち、すっきりとした輪郭に仕上がることがあります。

オートメーション処理(Vocal Rider)で安定感を出す

続いてはオートメーション処理です。
フェーダーの動きを記録することにより、コンプだけでは実現できなかった安定感や音楽的な抑揚をコントロールするものですね。
オートメーション処理は本来はDAWのオートメーション書き込みによって行うものですが、今回はそれを自動で行ってくれるVocal Riderを活用してみます。

Vocal Rider

Vocal Riderについてはこれまでも何回か解説していますので、パラメーターの詳細についてはそちらもご覧ください。

まずはボーカルの入力音量に対してTargetを決めていきます。メーターが超えたり超えなかったりする辺りを狙うのがコツです。
次にSensitivityを決めていきますが、今回はインストトラックからサイドチェーンを受けていますので、VocalノブとともにMusicノブも同時に調整していきます。

Vocal Riderであまり大きな動きをさせると不自然に聞こえることもあるため、およそ±2〜3dBの範囲内で動くようセッティングするのが無難でしょう。
動画のサンプルでは、0位置だと上げる方向に反応しすぎる傾向があったため、Vocal、Musicともに下げる方向に調整しました。また、Vocal単体としてのダイナミクスはコンプである程度整っているため、どちらかというとオケとのバランスに重きを置くセッティングとしています。

リバーブ(Abbey Road Reverb Plates, H-Reverb)で艶を与え馴染ませる

最後にリバーブで仕上げます。
色々な選択肢がありますが、ボーカルにマッチするリバーブとしてよく挙げられるのがプレートリバーブです。
今回はAbbey Road Reverb Platesにセンドする形で使用していきたいと思います。

abbey road reverb plates

こちらも、以前詳しく解説していますので、パラメーターなどの詳細はそちらをご覧ください。

まずはプレートのタイプを決めダンパーを調整していきます。
動画のサンプルでは、比較的あっさり目のタイプCとし、ダンパーの目盛りは6としました。6というとかなり長そうに感じますが、タイプによって伸び方が全然違いますので、それぞれに合った設定としてください。

続いてEQやPREDELAY、DRIVEなどの設定です。
EQでは重さを取るためやや多めにBASS CUTを行い、TREBLEを持ち上げて透明感のあるリバーブに仕上げました。
PREDELAYを少々加えて立ち上がりをすっきりさせ、DRIVEも少し上げて密度を高めた感じです。少しボリュームも上がりますので、OUTPUTを下げて調整しました。

センドボリュームは、オケと一緒に聴きながら一旦強めに上げて、徐々に下げていきながらポイントを探すといいでしょう。リバーブが主張しすぎない程度に留めるのがコツです。
さらに以前もご紹介しましたが、イメージャーをリバーブの後にインサートしてやや空間を狭めてやると、収まりが良くなることがあります。

ボーカルにもう一つリバーブを加えるとするなら、他の楽器パートで使用しているものを混ぜてみましょう。今回のようにオケが2mixの場合でも、少量ホール系またはルーム系のリバーブにセンドし、ボーカルと共有します。

send

こうすることでオケとボーカルの一体感が増し、またボーカルリバーブの中域に適度な温かみを与えることができます。

今回はH-ReverbのプリセットMedium Hallを若干調整したものを使用しています。こちらも非常に柔軟性の高いリバーブで、パラメーターについては以前詳しく解説していますのでそちらをご覧ください。

h-reverb


以上、宅録ボーカルミックスの基本プロセスということで2回に渡ってお送りしてきました。
必要なものはなるべく揃え、応用しやすいように構成したつもりですが、全てのケースにおいてこうしなければいけないというわけではありません。場合に応じてプラグインを増減したり、順番を入れ替えたりするのもアリです。
各プロセスの意義をしっかり押さえた上で、ご自身のサウンドに合うようアレンジしてみてください。

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