トライトーンとオーグメント/音楽理論講座
トライトーンと新たなインターバルのオーグメント
今回は、一旦コードをお休みし「トライトーン(トリトン)」と、それに関連して新たなインターバル「オーグメント」について学んでいきましょう。
重要な意味を持つトライトーン
トライトーンは、日本語で三全音と言います。
まずはどのようなサウンドなのか聴いてみましょう。
緊張感があるサウンドで、連続して聞かされると急かされているように感じますね。
中世ヨーロッパの音楽理論においては、「悪魔の音程」とも呼ばれていたそうです。
トライトーンは音楽制作の上で非常に重要なサウンドで、急かされているような緊張感は次の音への強い解決感を生み出します。
先ほどのサウンドを譜面とピアノロールでそれぞれ確認してみましょう。
ここで、名前に注目してみます。
- “トライ”トーン (”Tri”は”3″を表す接頭辞)
- “三”全音
この”3″が重要で、トライトーンは2つ音の差が全音3つ分離れている状態を指します。
先ほどのFとBの間に注目してみましょう。
逆もまた同じですね。
新たなインターバル オーグメント
ここで新しいインターバル「オーグメント」の登場です。
英語表記では”Augmented”ですが、日本では「オーグメント」「オーギュメント」「オーグメンテッド」といった様々な呼ばれ方をします。
ちなみに、純日本語表記だと「増〜度」となります。
考え方は非常にシンプルです。
メジャーとパーフェクトのインターバルについてさらに半音分差を広げると、オーグメントになります。
オーグメントの表記
パーフェクトは”P”、メジャーは”M”、マイナーは”m”、ディミニッシュは”dim”と表記したように、オーグメント・インターバル(増音程)は”A”と表記します。
それぞれの名称は、以下の通りです。
- AU = Augmented Unison (オーグメント・ユニゾン)
- A2nd = Augmented 2nd(オーグメント・セカンド)
- A3rd = Augmented 3rd(オーグメント・サード)
- A4th = Augmented 4th(オーグメント・フォース)
- A5th = Augmented 5th(オーグメント・フィフス)
- A6th = Augmented 6th(オーグメント・シックスス)
- A7th = Augmented 7th(オーグメント・セブンス)
- AO = Augmented Octave(オーグメント・オクターブ)
この中に、1つトライトーンが含まれているのがお分かりでしょうか?
そう、A4thですね。
Cを起点とした場合、CとF#の音程です。
ちなみに、この音程はディミニッシュ・インターバルだと「Dim5th」となり、「F#」を「G♭」で表記します。
トライトーンの重要性
最後に、このトライトーンがなぜ音楽的に重要なのかについて、1つのサンプルを聴いてください。
これはトライトーンからある音に移動したものです。
なんだかとても終始感を得ることができるサウンドですね。
冒頭でお伝えしたとおりトライトーンの緊張感は次の音への強い解決感を生み出すため、移動後の音で一気に解放されたような感覚があるのです。
くわしい理由については次回以降で触れていきますので、頭の片隅に置いておいて下さい。
まとめ
今回の学習ポイントをまとめると下記の通りです。
- トライトーンは2つの音の間隔が全音3つ分(半音6つ分)の音程
- トライトーンは緊張感のある音程で、次の音への強い解決を求める
- オーグメント・インターバルは、メジャーまたはパーフェクト・インターバルをさらに半音分広げたもの
- オーグメント・フォース(A4th)はトライトーンと同じ音程
記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。