レラティブとパラレル/音楽理論講座
メジャーとマイナーの関係性について
今回は「レラティブとパラレル」という言葉を使って、メジャーキーとマイナーキーの関係性を確認していきましょう。
これまでもお伝えしてきましたが、キー(調)は音楽制作に置いて非常に重要な概念です。
メジャーキーとマイナーキーの関係性を理解することは、これからの講座で必要不可欠となります。
ぜひしっかりと習得してください!
まず、第6回音楽理論で紹介した五度圏(サークル・オブ・フィフス)を見てみましょう。
五度圏は、キー(調)の関係性を視覚的に表した図でしたね。
また、サークル内側の小文字の「m」が付いたアルファベットはマイナーキーを表していることはお伝えしましたが、「詳細については今後の講座で解説します」と記載しました。
前回の「マイナースケールとスケールディグリー」を学んだ今なら、より理解が深まるはずです。
CメジャーとAマイナーの関係性を探る
Cメジャーキーと、Aマイナーキーに注目してみましょう。
どちらも、#も♭もなく白鍵のみで構成されています。
譜面とピアノロールで確認してみましょう。
Cメジャー
Aマイナー
ピアノロールでも見比べてみましょう。
メジャースケールの6番目の音から弾き始めると、Aマイナースケールになります。
最も重要なポイントは、始まる音は違うけれど、使われている音は同じということです。
このように、同じ調号で示されるキー、つまり基本的に同じ構成音を持つキーの関係をレラティブ(平行調)と呼びます。
レラティブキー同士は、使用する音は同じですが主音が異なるため、音の並びが変わり雰囲気に違いが生まれます。
一般的に、マイナーキーの方が悲しみや叙情的な雰囲気を持つとされています。
※Relativeのカタカナ表記は「レラティブ」「リレイティブ」などがありますが、全て同じ意味です。
つまり、Cメジャーに対するレラティブキーはAマイナーということになります。
また、CメジャーのレラティブマイナーはAマイナーです。
ここで、前回解説した「Cマイナースケール」に注目してみましょう。
♭が3つ(B,E,A)付いているメジャーキーはどこでしょうか。
五度圏のCmの位置に注目してみてください。
E♭メジャーですね。
Cマイナースケールと同じように、B,E,Aに♭が付いています。
よって、E♭メジャーに対するレラティブキー、つまりレラティブマイナーはCマイナーということになります。
ピアノロール上で確認してみましょう。
マイナースケールの♭3の音からそのまま上に進むと、レラティブキーのメジャースケールになります。
さらにもう一つ、パラレル(同主調)についても見ていきましょう。
パラレルキーとは、同じ主音を持つメジャーキーとマイナーキーの関係のことです。
例えば、
- Cメジャーのパラレルキー、パラレルマイナーは、Cマイナー
- Aメジャーのパラレルマイナーは、Aマイナー
となります。
前回の復習になりますが、メジャースケールの3,6,7番目の音を半音下げるとマイナースケールができます。
つまり、パラレルマイナーが作られたということですね。
パラレルキー同士は主音は同じですが、使用する音が一部異なるため雰囲気が大きく変わります。
レラティブキーとパラレルキーを理解することは、移調やコード進行を考える上で非常に重要です。
例えば、曲の雰囲気を変えたい時に、レラティブキーやパラレルキーに移調するのは効果的な手法の一つです。
この関係性をしっかりと覚えておきましょう。
記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。