セカンダリー・ドミナント⑥ 実践編3「あえて解決しない①」/音楽理論講座
あえて解決しない流れを理解する
今回は、これまでに学んだセカンダリー・ドミナントの知識を活用し、コード進行を分析した際に出てくる、新しい使い方を探ってみましょう。
楽曲は、本講座でおなじみの「Les Feuilles Mortes(Autumn Leaves)」で進めていきます。
メロディーは上図になります。
サンプルはKey=Gメジャー、もしくはEmでしたね。
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コードは上図のようになります。
合わせて聴いてみましょう。
✳︎(譜面によっては、これ以外のコードで書いてある場合もあります)
第55回目とは違い、後半部分を聴いてみましょう。
コードとメロディーのシンプルなバージョンで確認します。
まずはメロディーを聴いてみましょう。
次にコードと合わせて聴いてみます。
コード進行を解析する
コード進行を解析していきます。
緑色の四角で囲んだ箇所を意識してもう一度聴いてみましょう。
今までの内容を思い出して、ディグリーネームを書き込んでみましょう。
現在はKey=Gメジャーで解析していますが、難しければKey=Cメジャーにしてみても良いですね。
Key=Cメジャーに変更してみました。
こちらも聴いてみましょう。
次に、上記の緑の四角のコードからノンダイアトニックコードの箇所を確認してみましょう。
黄色の四角で囲ったIII7(マイナーのV7)のE7とI7のC7が、ノンダイアトニックコードとなります。
E7は、今まで通りに解決していますね。
V7/VI
AmをImと捉えた場合のV7(V)は、E7(E)となります。
ですが、C7はどうでしょう?
今までの流れであれば、現在学んでいるセカンダリー・ドミナントで「ノンダイアトニックコードの箇所=V→Iの関係でしょ?」と考えがちですが…。
ここで、「Fly Me to the Moon (In Other Words)」の譜面を思い出してみましょう。
- シンプルなコードのみの場合
今まで学んできたもののおさらいをしてみましょう。
V7/IV
いつもはIVに進行していましたが、今回の譜面ではIVではなく、VIIm7b5に進行しています。
しかしながら、聴いてみると特に違和感は感じられませんでした。
この「セカンダリードミナントがIに解決していない場合がある」という意識を持ったまま、次回は今までとは違った使い方を確認していきます。
まとめ
今回の記事のポイントは下記の通りです。
- セカンダリードミナントが必ずしもIに解決しない場合がある
記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。