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五度圏(サークル・オブ・フィフス)/音楽理論講座

各キーで使用できる音を理解する

前回はCメジャーとDメジャーの違いを用いて、「キー(調)」についての解説を行いました。
さらにキーの理解を深めていきたいと思いますが、その前に一度おさらいをしましょう。

これまでの講座のポイント

  • 1オクターブ内には12種類(白鍵7音と黒鍵5音)の音がある
  • キー(調)とは曲の中心となる音の構成で、各キーで使用できる音は基本的に決まっている
  • 各キーで使用できる音を並べたものがスケール(音階)である
  • 12種類のメジャーキーがあり、各々に共通の音程関係で構成されるメジャースケールがある

ここまでは理解できたでしょうか。
各キーで使用できる音が決まっているということは、それらを記憶しておくと楽曲制作において有益です。
ただ、全てのスケールでどの音が使われているのかを一音一音記憶することはとても大変ですよね。
そこで、各キーを視覚的に把握できる便利な図があります。
それが今回お伝えする「五度圏」です。

五度圏とは

五度圏(サークル・オブ・フィフス)は、各キーとその構成音の関係を視覚的に表した図です。
一見すると難しそうに感じるかもしれませんが、各キーで基本的に使用できる音を視覚的に把握できます。
この図を理解すれば、キーの構成音を瞬時に引き出せるようになるはずです。
では、どのような内容になっているのかを見ていきましょう。

メジャーキーの見方について

図の一番外側にあるアルファベットは、メジャーキーを表しています。
(一番内側のmがついたアルファベットはマイナーキーを表していますが、詳細については今後の講座で解説します)

まず、Cメジャーキーの構成音を五度圏で確認してみましょう。

同様に、Dメジャーキーの構成音も確認してみましょう。

この五度圏には、12のメジャーキーが一定の法則で並んでいます。
その法則とは、「完全5度と完全4度の関係」です。

完全5度と完全4度の音程

第3回の理論記事でメジャーとパーフェクトインターバルを学びましたが、覚えていますか。

完全5度は、CDEFGABの音名で言うと「C」から数えて5番目の音「G」までの音程です。
一方、完全4度は「C」から4番目の音「F」までの音程です。
忘れてしまった方は、下記記事も確認してみてください。


五度圏の法則

五度圏の「5」という数字に注目してみましょう。
この「5」は、完全5度の音程を表しています。
五度圏を右回りに見ていくと隣り合うキーは完全5度の関係になっています。
例えば、「Cの右隣はG」「Gの右隣はD」というように、五度上のキーが並んでいます。

では、左回りに見ていくとどうでしょうか。

五度圏を左回りに見ていくと、隣り合うキーは完全4度の関係になります。
「Cの左隣はF」「Fの左隣はB♭(A#)」と、4度上のキーが並んでいますね。

また、アルファベットの内側に#(シャープ)と♭(フラット)が記載された図があります。
シャープ(#)は半音上げる、フラット(♭)は半音下げることを意味していましたね。
つまり、これが各キーで使える音を示しています。

右回りに見ていくと#(シャープ)が一つづつ追加されていき、左回りでは♭(フラット)が同様に追加されていきます。
#(シャープ)と♭(フラット)が追加されていく順番にも法則があります。

#の付く順番は、「F,C,G,D,A,E,B」です。
関係性を見てみると、キーのアルファベットの並びと同じように五度上の音が追加されています。
一方、♭の付く順番はその逆の「B,E,A,D,G,C,F」となり、キーのアルファベットの並びと同じく4度上の音が追加されています。

P5th-7

つまり、「完全4度」と「完全5度」を反転すると相互の関係にあるのです。

五度圏は音楽理論を学ぶ上で非常に便利な表となります。
五度圏を理解することで、各キーの構成音を素早く導き出せるようになり、作曲や編曲をする上で役立ちます。
暗記が苦手な方はすぐ図を確認できるような工夫などをして、音楽制作の幅を広げていきましょう。

次回は、 マイナースケールとスケールディグリーについて解説していきます。


記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh

伊藤 和馬

18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。

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