【DTM】作曲家・白戸佑輔さんの楽曲制作の裏側に密着 第3弾 レコーディング編
デモ楽曲が本格的なレコーディングにより完パケとなるまで
白戸祐輔さんの楽曲制作に密着するシリーズの第3弾、レコーディング編です。
第2弾で打ち込み中心で制作された楽曲デモについて、いよいよ生楽器への差し替えが行われます。
クラウドファンディングにて皆様から多大なるご支援をいただいたことで、第一線のミュージシャンと本格的なスタジオによるレコーディングが実現しました。
デモのアレンジでは、プレイヤーに意図が伝わる程度にシンプルに行われていた部分に対し、各パートのプレイヤーの手癖や創造性にある程度委ねつつ、差し替えが行われて行きます。その過程でどのようにアレンジが熟成されていくのか、作曲家自身も楽しみな部分でもあります。
楽曲制作の裏側 第3弾 レコーディング編 動画
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白戸 佑輔 / Yusuke Shirato
1981年に茨城県で生まれ、子どもの頃よりクラシックを聴きピアノを習う。
高校でドラムと作曲に目覚め、その後、東京音楽大学作曲科へ入学。室内楽、オーケストラ、などの作曲をしつつも、大学3年時にベースをはじめ卒業後はベーシストとして活動。
2007年に作家活動をはじめ、現在は様々なアーティストへの楽曲提供やサポート演奏を手がける。
現在は、DreamMonster所属の作曲家として活動する。
ピアノ、ストリングスを活かしたアニソン、アイドルソング、またそれとは対照的に心に染み入るバラードが定評を持つ。
アニメOP、ED、TV主題歌、挿入歌など。パチンコ、映画、ゲームなどのBGMや主題歌なども手がける。
Twitter:@sirato10
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リズム隊(ドラム&ベース)のレコーディング
今回はドラムとベースを同時にレコーディングします。
ハイレベルなプレイヤー同士の演奏では、それぞれのノリやフレーズへの対応などの化学反応が生まれやすく、パラで録音するよりも面白いものが生まれやすいと言われます。
ドラムには数多くのマイクが設置され、音出しをしながらエンジニアが細かな調整を行います。
打ち込みのテンポに正確に合わせながらも、人間だからこそ出せるグルーヴが加味されていきます。高度な技術があればこそ為せる技ですね。
DTMでの完全な再現は中々難しいですが、フレージングには参考にできる点がかなりあります。
プレイヤーの演奏を受けて、白戸さんから要望などのディレクションが行われます。
満足のいくテイクが録れたら、プレイヤーもコントロールルームに集合し、最終的に使うテイクを判断します。
ギターのレコーディング
続いてギターのレコーディングです。
今回はアコースティックとエレキの両方が使われ、まずアコギからレコーディングしていきます。
アコギは余計な響きを抑えてタイトかつクリアに録音するため、セパレーションで仕切られたブース内でレコーディングされます。
プレイヤーからも様々なアレンジへの提言が行われます。
エレキのレコーディングでは、持ち込みのエフェクターによる音作りも、プレイヤーの大事な個性の一部です。白戸さんとイメージを合わせながら、入念に設定していきます。
試行錯誤しながらアレンジに手が加えられていきます。楽曲の展開、コードやボーカルとの相性など、様々な視点から行われ、作曲家とプレイヤーの共同作業とも言えます。それに即応するため、プレイヤーにも高い技量が求められます。
ストリングスセクションのレコーディング
ストリングスセクションは、第1ヴァイオリン4、第2ヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ2のいわゆる「4-4-2-2」編成です。全員で演奏し複数のマイクで収録していきます。
白戸さんは作曲家としての意向をリーダーに伝え、リーダーがセクションのメンバーに対して細かなディレクションを行ないます。
フレーズもさることながら、強弱や奏法についてはしっかりとこだわって意思疎通を図る必要があります。
リーダーがコントロールルームに戻り、一度録ったものについて入念なチェックが行われます。丁寧ながらスピーディーに作業は進んでいきます。
チェック内容が即座に反映されて最終テイクがレコーディングされていきます。メンバーはほぼ初見で演奏し、オーダーにも的確に答えていくので驚きですね。
そのハイレベルな領域で、人間が演奏することによる揺らぎやずれが微妙に発生することが、サウンドのふくよかさを生み出しています。
ボーカルのレコーディング
続いては、楽曲の顔となるボーカルのレコーディングです。
様々な雰囲気や感情表現の幅が広いため、ディレクションも重要な要素となってきます。白戸さん的には事前にこうと決めず、ボーカリストとのやり取りの中で固めていくとのことでした。
マイクは3本セットされ、テストレコーディングの中でボーカリストの声に最も合うものがチョイスされていきます。
また、「抜けの良いマイクと、サウンドをマイルドにするコンプ」など、組み合わせる機材も相性や狙いに応じて決められます。
最適なマイクが決定し、レコーディングスタート。
大枠でOKのテイクが録れたら、細かな部分の譜割や歌い方などについて、作曲者のイメージがディレクションされます。
判断に迷う部分はいくつかのパターンを試し、楽曲や歌詞、声質等のイメージに最もマッチする表現を模索します。
ボーカリストはディレクションに即応しながら、自分の意見も積極的に発言します。
何も決めていない状態から始まったレコーディングでしたが、非常にスムーズに進み、短時間で良質なテイクを録ることができました。ボーカルのレコーディングでは、技量もさることながら、言葉と音を通じたコミュニケーション(意思疎通)が非常に重要と感じました。
ミックス〜トラックダウン
プロのエンジニアによるミックス解説 動画
一夜明けて2日目、レコーディンした素材のバランスや音質を整え、2MIXに仕上げるトラックダウン作業へと移ります。
まずはエンジニア石さんがじっくりと時間をかけ、自身の解釈でミックスを行なっていきます。
スタジオならではの様々なアウトボード類が活用され、サウンドの基礎を固めていきます。
プラグインエフェクトはそれぞれの個性踏まえ、適材適所で使用されます。その利点を活かし、じっくりと試行錯誤が重ねられます。
ある程度形になったら、白戸さんによる確認が行われ、作曲者の視点からの要望が伝えられます。
モニタリングにはスタジオモニターだけでなく、民生品のラジカセなども使用し、様々なリスニング環境を想定してチェックが行われます。
プロの現場でも、様々な「こうしたらどうなるか」というアイデアは躊躇なく試され、納得いくまで追い込んだ上で2MIXが完成します。
マスタリング
トラックダウンを終えた2MIXは、リリースの準備となるマスタリングへと引き渡されます。
最終的なレベルの調整、それに伴うイコライジング調整など、熟練の耳で判断しながら細やかな調整が行われていきます。
マスタリングでも、先にエンジニアの解釈で一旦処理を行なった上で、作曲者のリクエストを聴き、仕上げていくという工程がとられます。
ファットすぎる低域を少し抑えると逆にベースラインが見えやすくなる、という貴重な知見をいただきました。
今回のラウドネスは-7.8LUFS。この位で、突っ込みすぎでもなく、低すぎでもなく、とのこと。
また配信向けでは-13LUFS程度に落とされることを想定し、レベル設定を行います。
この辺りの事情については、以下の記事で詳しく触れていますので参考にしてください。
使用プラグインについても詳しく教えていただけました。
Brainworx bx_digital V3から、OzoneのEQ、同コンプ、同マキシマイザーというチェーンが組まれています。EQではMS処理でMIDのボーカル帯域をブースト、コンプではマルチバンドで低域を少し抑える設定などが行われました。
フォーマットについては、トラックダウンの時点で24bit/96kHzだったものを、そのままの状態でマスタリングし(ただしモニターは44.1kHzで行う)、一旦DAを通してアナログ化した上で、ADで戻す際に16bit/44.1kHzに変換する、という流れで行うとのこと。ハイレゾ配信用はまた別にマスタリングを行うのだそうです。
以上で全ての工程が完了し、楽曲が完成しました。
この企画も作曲編に始まり、好評をいただいてアレンジ編公開、さらにクラウドファンディングで想像以上の応援をいただき、このような本格的なレコーディング編にまで漕ぎ着けることができました。
日頃から視聴して下さっている皆様、またご支援いただいた皆様に本当に感謝していますし、作曲家を志す方々にとって有益なコンテンツとなったならば幸いです。
なお今回制作した楽曲「TOMORROW」は、実際に弊社のレーベル「Sleepfreaks Records」第一弾シングルとして、各社プラットフォームから2021年12月30日に配信リリース。こちらもぜひお楽しみください。
白戸佑輔さんへの密着シリーズは、これにて完結となります。
改めまして、最後までご覧くださりありがとうございました!
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プロが集結!楽曲制作の裏側【レコーディング〜ミックス・マスタリング編】|作曲家・白戸佑輔(@sirato10 )さんに密着 第3弾‼️
本日、2021年12月30日20時公開🎥
動画URL:https://t.co/ENXYbxCbjs楽曲「TOMORROW」も各種配信サービスでリリース❗️https://t.co/xU3bZp5R3f#DTM #DTMer #作曲 pic.twitter.com/r781M1j2LT
— SLEEP FREAKS (@SLEEPFREAKS_DTM) December 30, 2021