Future Bassの作り方 4. Razorを使用したバッキングトラックとコード進行
Razorを使用たコードバッキングサウンドを作成する
前回までの記事で、ドラムおよびベーストラックの打ち込みとサウンドメイキングをご紹介してきました。
今回は、バッキングトラックを作成していくためのコード進行についてです。
Future Bassのコードについて
Future Bassバッキングトラックを打ち込むにあたり、コード進行の特徴を確認しておきましょう。
コード進行の傾向としてテンションノートを取り入れた比較的複雑な響きを持つコードという点が挙げられます。
ハイブリッドコードを使用するもの
- Ⅰmaj/Ⅳ Ⅳmaj/Ⅴ Ⅲm7/Ⅵ Ⅴm7/Ⅰ
ハイブリッドコードはルートに対して3rdが存在しません、
そのため、明るさや暗さといったキャラクターが曖昧になり、独特の浮遊感が得られます。
すべてのコードが複雑な和音を用いらなくてはいけないことはなく、ポップで分かりやすい響きを得るために、トライアドのメジャーコードやマイナーコードも使用されますし、ハイブリッドコードとテンションコードの両方を用いた楽曲も見受けられます。
いくつかの例を確認してみましょう。
コードパターン1
Ⅰmaj/Ⅳ Ⅴomit3 Ⅲmadd13 Ⅵsus4
・Ⅰmaj/Ⅳ
和音はルートⅣに対し、上がⅠのパワーコードが積み重なっています。
解釈としてはⅠmaj/Ⅳの省略形ともⅣadd9の省略形とも取れる曖昧な響きです。
・Ⅴomit3
3rdを省略したパワーコードとなっています。
・Ⅲmadd13
13thはアボイドノートですので、音楽理論的に言えば推奨されない和音となります。
楽曲全体的に3rdを省いたコードを用いることで、独特の無機質感を演出しています。
パターン2
Ⅰomit3/Ⅳ Ⅳ/Ⅵ Ⅴ
・Ⅰomit3/Ⅳ
こちらも上の曲同様Ⅰmaj/Ⅳを省略したものか、Ⅳadd9の省略形ととらえられます。
・Ⅳmaj/Ⅵ
トニックであるⅥmではなくサブドミナントⅣの転回コードです。
・Ⅴ
和音が2音しかない為コードではありませんが、敢えて解釈をするならⅤ6の省略形と捉えるのがベストです。
パターン3
Ⅱm7(9 11) Ⅴ6 Ⅳmaj7 Ⅴmaj
最初3つのコードで保続音Gを用いてるのが特徴です。
・Ⅱm7(9 11)
・Ⅴ6
Futurebassではドミナント7の緊張感を避けるためⅤ7ではなくⅤ6を用いる楽曲は多いです。
・Ⅳmaj7
・Ⅴmaj
是非、このような部分を意識してコードを組み立ててみてください。
事項でコードを演奏するためのバッキングのサウンドを作成していきます。
記事作成者
角出拓生(Kadode Takumi)
大阪出身のトラックメイカー/VJ/オーディオビジュアルアーティスト。
高校時代、カセットテープとMDを用いたノイズ/テープコラージュの楽曲を制作していたことをきっかけに音楽の世界へ。
その後大学院で建築音響工学を専攻する傍ら、音楽活動ではアシッドハウス/アンビエント/ブレイクコア等の影響を受けダンスミュージックの制作を始める。
ライブでは主に音と映像の連携/融合をモチーフにした「オーディオヴィジュアル」を軸とした表現を展開。
REAKTORやpure data、TouchDesignerなど自身でプログラミングしたソフトウェアを用いる。
REAKTORファンサイト”Native Instruments REAKTOR Users Japan(www.niru.jp)”管理人。
サイト:http://stereotypeone.com/