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音名の相対表記(Scale degree names)ナチュラル・マイナー編/音楽理論講座

ナチュラル・マイナーダイアトニックによる進行作りに向けて

今回より、これまで学んできた”ナチュラル・マイナー”のダイアトニックコードを使用して、ストーリー性のあるコード進行を作成する方法に焦点を当てていきます。

ここでは、第46回の後半で触れた、以下の点についても意識しながら進めていきます。

  • 半音上のTonic(トニック)に導くと言う意味の=Leading Tone(リーディング・トーン) = 導音(どうおん)がない。

  • 5番目に出来上がるコードに、3和音では”Leading Tone”が含まれず、加えて4和音ではトライトーンがない(m7コードのため)


また、第27回で取り上げた、メジャーの音名の相対表記(Scale degree names)との違いにも注目していきましょう。


ナチュラル・マイナーにおけるスケールディグリーネームとそれぞれの役割

ここで、各キーにおける「C」という音に注目してみましょう。

Cナチュラル・マイナースケールでは左から1番目に位置します。

Gナチュラル・マイナースケールでは4番目。

こちらもメジャースケールと同様に、同じ音でも各マイナーキーによって役割が違うという点がポイントです。

それではCナチュラル・マイナースケールを例に、それぞれ確認していきましょう。
メジャーとの違いは、最後の1つ(赤文字)だけですね。

♭が付かない表記や(III,VI,VII)、マイナーは小文字(ⅲ等)で示すなど、様々な表記法があります。

  • 「I」 Tonic(トニック)= 主音(しゅおん)
    スケール(音階)の最初の音であり、 移動ドにおいてメジャーキー,マイナーキーでは「ド」の音です。
    スケールの中で最も安定した音と言われており、調性のある音楽では、この音に戻りたいという力が働きます。
  • 「II」 Supertonic(スーパートニック) = 上主音(じょうしゅおん)
    トニックの上にある音です。
  • 「III」 Mediant(ミーディアントまたはメディアント)=中音(ちゅうおん)
    トニックとドミナントの中間に位置する音です。
  • 「IV」 Subdominant(サブドミナント) = 下属音(かぞくおん)
    トニックからP4th上の音です。下で考えると、P5th下の音です。
  • 「V」 Dominant(ドミナント) = 属音(ぞくおん)
    トニックからP5th上の音です。下で考えると、P4th下の音です。
    トニックに対して重要な位置付けとされています。
  • 「VI」 Submediant(サブメディアント) = 下中音(かちゅうおん)
    トニックとサブドミナントの中間に位置する音です。
  • 「VII」Subtonic(サブ・トニック) = 下主音(かしゅおん)or自然導音(しぜんどうおん)
    主音の全音下(M2nd下)にあり、半音上のTonic(トニック)に導く=Leading Tone(リーディング・トーン) = 導音(どうおん)より、終止感が弱いです。

上記ローマ数字(I~VII)は、単純に左から何番目という事ですので(♭)を省いています。
(VIIの箇所は違いがありますが、メジャーのIIIもナチュラルマイナーの♭IIIもMediant、VI,♭VIもSubmediantなため)

まとめ

今回の学習ポイントをまとめると下記の通りです。

  • ナチュラル・マイナースケールにはリーディングトーンがないため、終止感が弱く、独特の雰囲気を生み出す
  • ナチュラル・マイナーの5番目のコードは3和音ではリーディングトーンが含まれず、4和音ではトライトーンがない
  • スケール上の同じ音でも、各マイナーキーにおいて異なる役割を持つ
  • ナチュラル・マイナーのVIIはSubtonic(下主音)または自然導音と呼ばれ、メジャースケールのLeading Tone(導音)とは異なる機能を持つ

次回は、メジャーの学習で行った内容をマイナーでも実践しながら、他のマイナースケールが存在する理由に迫っていきます。


記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh

伊藤 和馬

18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。

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