法律とは 音楽著作権
はじめに
アーティスト/クリエイターが最も弱いと言われている「著作権などの法律問題」
音楽制作だけを考えると必要のないものですが、
音楽でお金を稼ぎ、生活をするとなると話は別です。
- もらえるべき報酬をもらえない
- 契約時に不利な契約で話を進めてしまう
ということも十分に考えられます。
このカテゴリーは、
DTMの勉強もしつつ最低限の法律知識を習得していただきたい。
そんな想いから弊社顧問弁護士へ協力を依頼し開設を行いました。
少しずつで構いませんので記事をお読みいただき、
音楽活動のお役立ていただければ幸いです。
Sleepfreaks_代表 金谷 樹
弁護士 高木啓成からの挨拶
はじめまして。高木啓成といいます。
弁護士業務をやりながら、DTMで作曲活動をやっています。
logic使ってます。あと、「幾何学少年」というロックバンドでドラムも叩いてましたが、現在休止中です。
アクシアム法律事務所 : https://axiomlawoffice.com
弁護士としては、エンターテインメント関係の法務、
中小規模の会社や個人の法律問題などを扱っています。
その関係で、DTMで作曲活動をしている皆さん向けに、
わかりやすい音楽著作権講座をすることになりました。よろしくお願いします!
記念すべき第1回は、まずは「法律ってなんだ?」というところから始めようと思います。
1 法律とは?
法律とは、簡単に言うと、国家が定めたルールです。でも、これだとざっくりしすぎているので、
法律を「公法系」、「民事系」、「刑事系」の三種類に分けてみることにします。
2 公法系の法律とは?
公法系の法律とは、国や地方公共団体の仕組みなどを定めたものです。
公法系の代表は、「憲法」です。憲法は、国民の人権を保障したり、
国の統治構造を定めたりしている法律ですね。国の基本法です。
あと、「内閣法」とか、「地方自治法」など、国の仕組を決めた法律も、公法系の法律です。
正直なところ、公法系は、今回の音楽著作権講座にはあまり関係しないので、ここまで。
3 民事系の法律とは?
民事系の法律とは、一般人どうしの権利や義務に関するルールや、
会社の組織のルール などを定めたものです。
ここでいう、「一般人」というのは、人間だけじゃなくて、
株式会社などの民間の団体も「一般人」だと思っておいて下さい。
法律の世界では、「一般人」のことを「「私人」と言ったりします。
不思議な感じもしますが、法律の世界では、
大きな「株式会社」も「法人」として、ちっぽけな一人の人間と同じ、
1人の「私人」のくくりになります。
民事系の代表は「民法」です。
たとえば、僕が、楽器屋さんでソフトシンセを買ったとき、売買契約が成立して、代金の支払義務が生じます。
楽器屋さんは、僕に対してソフトシンセを引き渡す義務が生じます。
売買契約については、民法555条以降に、権利や義務に関する、いろんなことが定められています。
民事系の法律は、私人どうしのルールですが、
最終的には、裁判所に、そのルールを強制してもらうことができます。
たとえば、僕が、ソフトシンセを買ったのに、代金を支払わなかったら、
楽器屋さんは、裁判所に、僕を訴えて、強制的に代金を支払わせることができます。
このように、私人が私人を訴える訴訟(裁判)のことを「民事訴訟」といいます。
民事訴訟の手続は、「民事訴訟法」という法律で定まっています。
4 刑事系の法律とは?
刑事系の法律とは、国が、私人に対して刑罰を科すときのルールを定めたものです。
私人がどういう行為をやったら犯罪になるのかというルールと、
刑罰を科すときの手続のルールの両方です。刑事系の代表は、「刑法」です。
たとえば、僕が、楽器屋さんでソフトシンセを万引きしたら、
これは刑法235条の窃盗罪になってしまします。
そうすると、僕は警察に逮捕されて、検察官に起訴されて、
裁判所で判決が下されます(実際には、僕の反省具合などいろんな事情によって、逮捕されないこともあるし、起訴されないこともあります)。
このように、国が私人に対して刑罰を科すための訴訟(裁判)のことを「刑事訴訟」といいます。
刑事訴訟の手続は、「刑事訴訟法」という法律で定まっています。
ここで注意なのは、さっきの民事系の場合と違って、
僕に刑罰を科すとき、起訴するのは、楽器屋さんではなくて、検察官です。
今日のまとめ
今回は、法律には、公法系・民事系・刑事系の3種類があることと、
民事系と刑事系の違いを覚えてもらえるとうれしいです。
次回は、裁判について説明して、
それから、本格的に著作権法の話に入っていきたいと思います。
ちなみに、前もって予防線ですが、
この音楽著作権講座は、DTMをやっている方に音楽著作権のイメージをもってもらうことを目的にしています。
わかりやすさを優先しているので、多少、厳密にいうと不正確なところもあります。あしからず。
著者の紹介
高木啓成
DTMで作曲活動中。
ロックバンド「幾何学少年」(現在、休止中)のリーダー、ドラマー。
弁護士として、エンターテインメント関係の法務、
中小規模の会社や個人の法律問題を扱う。
TwitterID : @hirock_n
Soundcloud : soundcloud.com/hirock_n
アクシアム法律事務所 : https://axiomlawoffice.com
- CATEGORY:
- サウンドクリエイターのための音楽著作権