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民事訴訟 音楽著作権

こんにちは。高木啓成です。

今回は、具体的な著作権の話に入る前に、民事事件・民事訴訟について話をしようと思います。

法律問題は、最終的には訴訟で解決するものですので、
訴訟の概要は、この機会にぜひ知っていただきたい知識です。

1 民事事件と刑事事件の違い

「民事事件」とは 私人間の権利・義務に関するトラブル一般のことだと思ってもらえれば、と思います。
あくまで一般人どうしの争いごとです。

民事事件では、「民法」、「会社法」、「民事訴訟法」などの民事系の法律が関係してきます。

訴訟になっていなくても、トラブルになっていれば「民事事件」です。

たとえば、僕が楽器屋さんでソフトシンセを買ったのに、僕がその代金の支払いを拒絶した場合、
この段階で、私人間の権利・義務に関するトラブルが生じていますので、立派な民事事件といえます。

これに対して「刑事事件」とは
警察や検察が、犯罪を行った疑いのある人に関して、捜査を行い、
刑罰を科すために、起訴し、裁判を行う一連の事件のこと
 です。

ここで、「犯罪を行った疑いのある人」というまどろっこしい表現をしたのは、
本当に犯罪を行ったかどうかは、裁判によって確定するものであり、
逮捕された段階で決まるものではないからです。

刑事事件では、「刑法」、「軽犯罪法」、「刑事訴訟法」などの刑事系の法律が関係してきます。

音楽の仕事をしていく中で、民事事件と刑事事件のどちらと関わり合いが大きいか?
明らかに民事事件です。

たとえば

  • 音楽制作の依頼があって、納品したのに代金を支払ってもらえない
  • 印税の計算方法について、取引先と争いになっている
  • 取引相手との間で、どちらが著作権をもっているかで争いになっている

という事例などは、すべて、民事事件といえます。

音楽の仕事で生じる法律問題のほとんどは、民事事件 
と思ってもらえれば、と思います。

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2 民事訴訟とは

 
「民事訴訟(民事裁判)」とは、
私人間の権利・義務に関するトラブルを、国家の力で解決してもらう裁判 のことです。

民事事件を解決するための訴訟だ、というイメージです。

たとえば、僕が楽器屋さんでソフトシンセを買ったのに、
代金を支払わなかったら、楽器屋さんは、僕を訴えて、代金支払請求の裁判を行うことができます。

3 民事訴訟の内容

 
民事訴訟では、訴訟を提起した人を「原告」、訴訟を提起されてしまった人を「被告」と呼びます。

よく、依頼者さんに

「何も犯罪なんてやってないのに訴えられて被告になってしまいました!逮捕されるんですか?」

と聞かれたりしますが、
民事訴訟は、私人の間の権利・義務に関するトラブルを解決することが目的なので、
「被告」になることと犯罪を行ったかどうかとは関係がないんです。

もちろん、逮捕されることもありません。

ちなみに、刑事事件で、犯罪を行ったとして、起訴された人のことは、「被告人」と呼びます。

よく、マスコミ系の報道で、
犯罪を行ったとして起訴された人のことを「●●被告」と呼んだりしますが、正確ではないです。

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民事訴訟では、まずは、原告に、立証責任があります。

被告が原告の主張を認めない限り、
原告が、きちんと請求の根拠を主張して、証拠を揃えなければなりません。

今回の例でいえば

楽器屋さんが、「高木との間で、ソフトシンセの売買契約が成立した」という事実を主張し、

これに対して、僕が、
「売買契約なんて成立していない。ソフトシンセは、楽器屋さんからタダでもらったものだ。」と主張したとします。

この場合、楽器屋さんは、
高木との間でソフトシンセの売買契約が成立したことを立証しなければなりません。

立証できないと、残念ながら、楽器屋さんは敗訴してしまいます。

ただ、高木が、「たしかに、ソフトシンセの売買契約は成立した。
でも、既に、代金は支払った。」と主張した場合、

高木は、楽器屋さんが主張する「高木との間で、ソフトシンセの売買契約が成立した」という事実
これについては、認めているわけです。

ですので、この場合、
今度は、高木が、「既に、代金は支払った」という事実を立証しなければならなくなります。

これらをもとに、原告の請求が認められるかどうかを裁判官が判断するわけです。

楽器屋さんが勝訴すれば、「被告は原告に代金を支払え」という判決が出ます。

それでも僕が代金を支払わなければ、楽器屋さんは、裁判所に申し立てて、
僕の財産を差し押さえたりすることができます(強制執行といいます)

ですので、ここまで来ると僕も代金を支払わざるを得ません。

ところで、僕が敗訴しても、刑務所に入れられるようなことはありません。

前科もつきません。前科や刑罰は、刑事事件の話です。
民事訴訟は、あくまで、私人間のトラブルを解決するための手続なのです。

ちなみに、民事訴訟では、原告と被告が判決が出るまでガチで争い続けることは少なく、
実は、7割~8割の事件は「裁判上の和解」(訴訟の途中で、お互いに譲歩して合意することです。)
で決着してしまいます。

裁判所が和解を勧めますし、
完全に勝訴できる事件でも事件の長期化を防ぐためなどの理由で和解をすることもあります。

ですので、一般の方に、「裁判は何勝何敗なんですか?」みたいなことを聞かれることがありますが、
「ほとんど和解で終了です。」というつまらない答えになってしまうんですね。

もちろん、勝訴的和解、敗訴的和解はありますが。

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今回のまとめ

今回は、民事事件、民事訴訟の大枠について説明をしました。

とても重要なところなので、民事事件と刑事事件の違い、民事訴訟とはどういうものか 
ということについてイメージをもってもらえれば、と思います。

次回は、いよいよ、著作権の話に入っていこうと思います。

著者の紹介

高木啓成 写真
高木啓成
DTMで作曲活動中。
ロックバンド「幾何学少年」(現在、休止中)のリーダー、ドラマー。
弁護士として、エンターテインメント関係の法務、
中小規模の会社や個人の法律問題を扱う。

TwitterID : @hirock_n
Soundcloud : soundcloud.com/hirock_n

アクシアム法律事務所 : https://axiomlawoffice.com