DTMのためのパソコン選び 2025 | 失敗しないスペック&満足度が高い価格帯を徹底比較
独自アンケートが示すDTMパソコン選びの基準と予算感
DTMでは、音楽制作の心臓部とも言えるパソコン選びが非常に重要です。
これからDTMを始めたいけれど、どんなパソコンを選べば良いのか迷ってしまうという方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は2025年の最新情報や3,000人以上のDTMユーザーへのアンケート結果をもとに、特に初心者の方が安心して最適な一台を選べるよう、パソコン選びのポイントを解説していきます。
DTMのためのパソコン選び 2025 動画
DTMを始めるなら、どのデバイス?パソコンが推奨される理由
DTMはパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでも可能です。
例えば、性能が大きく向上したiPadでは、性能面で困ることは減ってきています。
しかしながら、プロが制作したようなクオリティの高い楽曲を目指す場合、スマートフォンやタブレットでは機能が足りないと感じることは少なくありません。
その理由としては、主に以下が挙げられます。
- 情報処理能力と表示 : 音楽制作は扱う情報量が多く、大きな画面で情報を表示しながら処理ができないことによる作業効率の低下
- ソフトウェアの選択肢 : 使用できる音源やエフェクトなどの選択肢の制限(スマートフォンやタブレットと比較してパソコンは豊富)
- 拡張性 : MIDIキーボードやオーディオインターフェイスといった外部機器を複数接続することが困難
スマートフォンやタブレットの活用法
では、スマートフォンやタブレットはDTMに不向きかというとそうではなく、アンケートでは、約9割の方がモバイルデバイスをパソコンと併用しているという結果が出ています。
活用方法としては、以下のような補助的な用途が多く見られました。
- 外出先でのメモやデッサン、アイデアの記録など気軽にDTMを行う場合
- パソコン上で起動しているDTMソフトやレコーディング時のコントローラー
DAWの中には、上記のような専用コントローラーアプリもリリースされています。
結論として、本格的な楽曲制作を目指すならパソコンが最適ですが、スマートフォンやタブレットもアイデア出しや補助ツールとして有効活用できます。
パソコンの種類:DTM環境の土台を選ぶ
2025年現在においてもDTMではパソコンが最もおすすめということをふまえて、ここからはパソコン選びについて詳しく見ていきましょう。
Windows vs Mac
パソコン選びで避けては通れないのが「WindowsとMac、どっちがいいの?」というOSの選択です。
日本国内のパソコンユーザー全体で見ると、Windowsのシェアが6割~7割と高くなっています。
対して、弊社のアンケートでは、Windowsが6割弱、Macが4割弱となっており、DTMユーザーは一般ユーザー全体と比較してMacの利用者が多い傾向にあります。
この結果から「DTMではMacがいいの?」と思われるかもしれませんが、現在のパソコンの性能を考えると、WindowsでもMacでもDTMを行う上でできることに大きな違いはありません。
どちらのOSを選んでも本格的な音楽制作を十分に楽しむことができます。
もし、使いたいDTMソフトが一方のOSにしかない場合は、ソフトを優先してOSを選ぶのも良いでしょう。
以下に、それぞれのOSの特徴をまとめました。
Windowsの特徴
- コストパフォーマンス : 高性能なモデルを比較的安価に入手できる
- 選択肢の豊富さ : 多様なメーカー、デザイン、性能から予算や好みに合わせて選べる
- カスタマイズ性 : パーツ交換や増設によって性能を向上できるなど、自由度と将来性が高い
ただし、機種とソフト・機材の組み合わせによっては、予期せぬトラブルの可能性も。
カスタマイズ性が高い反面、トラブルが発生した際に、状況に合致する的確な対処法を見つけにくいといった傾向もあります。
補足として、Windowsの中でも音楽制作者向けパソコンとして販売されているモデルがあり、これらのモデルはDTM用途を考慮して設計されているので、トラブル対応に不安がある方は、選択肢として検討するのも良いでしょう。
Macの特徴
- 安定性と最適化 : ハードとOSの一体開発により「相性問題」のリスクが低い
- デザイン・親和性 : デザイン性が高く、他のクリエイティブ作業との連携もスムーズ
- サポートと情報 : トラブル解決の情報を見つけやすく、周辺機器メーカーのサポートも整いやすい
- Apple Siliconの性能 : 電力効率と処理性能に優れ、比較的安価なモデルでもDTMに対応可能
ただし、同程度の性能を求めるとWindowsよりMacの方が高価になる傾向。
購入後のパーツ交換によるアップグレードは基本的に不可なため、購入時のスペック選択が重要になります。
デスクトップパソコン vs ノートパソコン
OSの次に考えるのは、パソコンのタイプです。
「デスクトップ型とノート型、どっちがいいの?」という声もよく聞きますが、基本的にはどちらのタイプでもDTMを行うことが可能です。
アンケート結果では、DTMユーザーの約6割がデスクトップ、ノートパソコンは約4割と、ここ数年のノートパソコンの飛躍的な性能向上が大きく影響していることが伺えます。
どちらのタイプがご自身に適しているかは、重要視するポイントによって変わってきます。
- ノートパソコン : 手軽さ、省スペース性が魅力で持ち運びが容易。場所を選ばず作業が可能
ただし、購入後のアップグレードが難しく買い替えが必要。高負荷作業での発熱も考慮が必要 - デスクトップパソコン : 高い性能と拡張性が魅力でパーツ交換による性能強化が比較的容易。冷却性能も高い
ただし、ディスプレイ、マウス、キーボードなどの周辺機器の用意と、設置スペースが必要で持ち運びには不向き
小型デスクトップパソコン
また、「デスクトップの性能は欲しいけれど、大きな本体を置くスペースがない…」そんな方には、Mac miniに代表されるような小型デスクトップパソコンも良い選択肢です。
ノートパソコンに近いコンパクトさを持ちながら、デスクトップパソコン並みの性能を持つモデルも登場しています。
周辺機器の用意が必要なことと、ノートパソコンと同様に購入後のアップグレードには制限がある場合が多いので、購入時のスペック選びには気をつけてください。
失敗しないパソコン選びのポイント : 押さえておくべき4つのスペック
次に、DTMを行う上で最低限押さえておきたい重要なスペックを「CPU・メモリ・ストレージ・拡張性」の4つに絞って解説します。
なお、主に画像処理や描画処理に関わる「GPU」の性能については、特定の用途を除いてDTMでは影響が少ないためここでは省略します。
ポイント1 : CPU – パソコンの「頭脳」
CPUは、パソコンのパーツの中で最も重要なものの1つで、様々な処理を行う機能に大きく影響します。
DTMでは多トラック再生やプラグイン処理など、CPUに高い負荷がかかる場面が多くあります。
CPUの性能が高いほど音飛びやノイズの発生、DAWソフトのフリーズといったトラブルを防ぎ、スムーズな制作環境を実現できます。
WindowsのCPUについて
Windowsパソコンに搭載される主なCPUメーカーは、「Intel(インテル)」と「AMD(エーエムディー)」の2社です。
一般的に、AMD製CPUは、Intel製CPUに比べると、DTMソフト側で正式にサポートされているものが少ない場合もあるため、安定性や安心感をより重視するならIntel製を選ぶのが安心ですが、近年ではAMD製CPUの性能向上も著しく、コストパフォーマンスに優れた選択肢となっています。
- Intel製CPUおすすめモデル
・「Core(コア)シリーズ 」のCore i5以上(Core i5、Core i7、Core i9と数字が大きいほど高性能)
・「Core Ultra(コア ウルトラ)シリーズ」(AI処理・電力効率に優れた新世代CPUでDTMでも高パフォーマンス)
- AMD製CPUのおすすめモデル
・「Ryzen(ライゼン)シリーズ」または「Ryzen AI(ライゼン エーアイ)シリーズ」のRyzen 5以上(Ryzen 5、Ryzen 7、Ryzen 9と数字が大きいほど高性能)
注意点(2025年初頭時点)
「Snapdragon(スナップドラゴン)」というARMベースのCPUを搭載したWindowsパソコンは、現在多くの主要DAWソフトやプラグインが正常に動作しないか、互換モードで性能が大幅に低下すると報告されています。
ソフトウェア側の対応が進むまでは、DTM用途での購入は避けるのが賢明です。
MacのCPUについて
現行のMacには、Appleが独自に開発した「Apple Silicon(アップルシリコン)」と呼ばれるCPUが搭載されており、これらはどれもDTMに十分な性能を持っています。
M1、M2、M3、M4と、Mの後に続く数字が大きいほど新しく高性能です。
また、同じ世代の中でも「Pro」「Max」「Ultra」といった名称が付くモデルは、より多くのCPU・GPUコアを搭載した上位グレードとなり、さらに高い処理能力を発揮します。
しかしながら、よほど複雑で大規模なオーケストラアレンジや、多数の重いプラグインを駆使するようなプロフェッショナルなプロジェクトを扱わない限り、標準モデルのApple Siliconでも快適に音楽制作が可能です。
※「Ultra」は、現時点でM3までが最新です。
ポイント2 : メモリ – 作業スペースの「広さ」
メモリは、パソコンがデータを処理する際に一時的に情報を記憶しておくためのパーツです。
DTMでは多くのデータを扱うため、稼働時に広い作業スペース(つまり大容量のメモリ)が必要となり、不足すると動作が遅くなったりフリーズの原因になります。
Windows、Mac共通で、最低でも16GB以上のメモリを搭載したモデルがおすすめです。
予算に余裕があれば、24GBや32GBといった、より大容量のメモリを搭載したモデルを選ぶと、さらに多くのトラックや高品位なソフト音源、多数のプラグインを快適に扱えるようになり、ストレスのない制作環境を構築できます。
ポイント3 : ストレージ – データを長期保存する「保管庫」
ストレージは、パソコンのデータやプログラムを長期間保存するためのパーツです。
DTMで使用するデータは大容量となることが多く、ストレージ不足はパソコンやDAWソフトの不具合につながります。
そのため、Windows、Macを問わず、将来的なデータ増加も見越して1TB(テラバイト)以上がおすすめで、予算が厳しい場合でも最低512GBは確保すると良いでしょう。
外付けストレージで補う際も、OSやDAW、頻繁に使う音源などアクセス速度が重要なデータは、高速な内蔵ストレージに保存するのが基本です。
また、ストレージにはHDDとSSDの2種類がありますが、DTM用途ではデータの読み書き速度が圧倒的に速いSSDが必須と言えます。
HDD搭載モデルはDTM用途では避け、可能であればさらに高速な「NVMe (エヌブイエムイー) SSD」搭載モデルを選ぶと、より快適な動作が得られます。
ポイント4:拡張性 – 外部機器との「接続のしやすさ」
DTMでは多くの外部機器を接続するため、パソコンの拡張性、特にUSB端子の数・種類・規格が重要です。
端子の数は、USBハブで増やすこともできますが、オーディオインターフェイスなど一部の機材はパソコン本体に直接接続することが推奨されているため、スムーズな接続と安定動作のために、3つ以上のUSB端子があると安心です。
ノートパソコン、特に薄型モデルは端子数が限られる場合があるため、購入前に必ず確認してください。
USB端子には形状(USB-A、USB Type-Cなど)やデータの転送速度に関する様々な規格(USB 2.0からUSB4、Thunderboltなど)があり、基本的に数字が大きいほど新しく高性能です。
パソコン側が新しい規格に対応していれば、接続する機器が古い規格であっても下位互換性により接続が可能なので、現在の主流となるUSB 3.2に対応していれば安心と言えます。
また、将来的に高性能な機材を導入する、より高速なデータ転送を望む場合は、できるだけ新しい規格のUSB4や、USBの上位互換となるThunderbolt端子の有無もチェックしておくと良いでしょう。
価格帯:予算と満足度の最適なバランス
次に、DTM用パソコンの価格帯と満足度の関係をアンケート結果から見ていきましょう。
もちろん、DTMでどのような音楽制作を行うかによって必要な性能は変わってきますし、基本的には高価なパソコンほど高性能であることは間違いありませんが、平均して20万円前後から満足度が高まる傾向となっています。
Windowsデスクトップ
DTMにおすすめの最低限のスペックをクリアしようとすると、大体15万円~16万円あたりからが目安になってきます。
「満足」と回答した方の割合が上がるのが、21万円~25万円の価格帯となっており、このあたりのモデルを選んでおけば、後悔も少なく、快適なDTM環境を手に入れられる可能性が高いと言えそうです。
Macデスクトップ
Apple Silicon搭載のエントリーモデルでも基本スペックが高いため、Windows機に比べて不満の声が少ない傾向にあります。
本格的な満足度を追求するなら、やはり21万円~25万円以上のモデルが目安となり、予算を抑えたい場合はMac miniのような比較的安価なモデルでも大きな後悔はなさそうです。
前述したとおり、快適なDTM環境のためにはストレージ容量を1TB以上に、また購入後の増設ができないメモリも16GB以上にカスタマイズすることをおすすめします。
Windowsノート
おすすめのスペックを満たすモデルは、16万円~20万円の価格帯で、実際に購入するユーザーが多く満足度も高いため、1つの目安と言えそうです。
さらに予算に余裕があり、長期間で快適な環境を求めるなら、26万円~30万円の価格帯も検討の価値があります。
この価格帯では、基本スペックに加え、ディスプレイ品質や冷却性能など、総合的な完成度が高いモデルが増えてきています。
Macノート
DTMに適したスペックを求める場合、26万円~30万円程度のモデルが中心となり、この価格帯が最も多く選ばれています。
予算に余裕があれば、31万円~40万円の価格帯を選ぶと、よりパワフルで将来の要求にも応えられる満足度の高い環境が期待できます。
Macノートもデスクトップと同様に、標準構成ではストレージ容量が少ないことがあるため、購入時のカスタマイズで1TB以上、メモリも16GB以上を確保することをおすすめします。
まとめ
最後に、DTM用パソコン選びのポイントをまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
デバイス | 本格的な音楽制作にはパソコンが最良 スマホ・タブレットは補助的に |
OS | 価格面を抑えバリエーションが欲しい場合はWindows パソコンが苦手、悩まされたくない場合はMac |
タイプ | 持ち運びならノートパソコン 性能と拡張性ならデスクトップパソコン 省スペースと性能を求めるなら小型デスクトップパソコン |
CPU | WindowsならIntel Core i5以上/AMD Ryzen 5以上 MacならApple Silicon |
メモリ | 最低16GB 大規模プロジェクトの制作は24GBや32GBを検討 |
ストレージ | SSD 1TB以上推奨 NVMe SSDなら更に高速 |
拡張性 | USB端子は3つ以上で、USB 3.2に対応していれば安心 必要に応じてThunderbolt端子もチェック |
価格帯目安 | 20万円前後から満足度が高まる傾向 |
これらを参考にしていただき、予算とスペックの総合的な判断のなかで最適な1台を見つけて、音楽制作を楽しんでください!
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