「SERUM 2」が遂にリリース!シンセ音源の新時代が到来 | 気になる新機能をチェック
シンセプラグインの完成形とも言える、大規模アップデート内容を紹介
音楽制作の重要なツールであるシンセサイザー。
その中でも「Serum(セラム)」は、直感的な操作性と高品質なサウンドで世界中のクリエイターから支持を得ています。
今回リリースされた待望のバージョン2では、音楽制作の可能性を広げる多くの新機能が実装されましたので、本記事では主要な追加機能・要素をピックアップして解説していきます。
Serum 2 新機能
新しい機能が使用されたプリセットの追加
Serumのアップデートにより、様々な機能の追加や強化が行われ、作れるサウンドの幅が大幅に広がり、その新しく追加された機能が活用されたプリセットも追加されました。
オシレーターのアップデート
オシレーター部分が大幅に強化され、「作れないサウンドはないのでは」と思うほど、多彩な音色を作り出すことができるようになりました。
まず目を引くのは「OSC A」「OSC B」に加え、新たに搭載された「OSC C」です。
3基のメインオシレーターを使用し、より複雑なサウンド作りにも対応できます。
さらにオシレータータイプが従来の1種類から5種類に大幅に増え、より本格的なサンプラーが追加されました。
シンセサイザーらしい電子音のみにとどまらず、ピアノや金管楽器などの生楽器のサウンドもSerum台で扱えるようになります。
搭載されているオシレータータイプは以下の通りです。
- Wavetable: 従来から備わるオシレータータイプ。複数の波形を滑らかに変化させ、動きのあるサウンドを生成
- Multi Sample: 音域やベロシティで切り替わる複数のサンプルで、自然な楽器音を再現
- Sample: 外部オーディオの読み込みとスライス機能による多様な音源活用
- Granular: サンプルを微細な粒子に分割・再構成し、独特なテクスチャーを生成
- Spectral: 周波数分析による時間とピッチの独立制御で特殊なサウンドを実現
NOISEのステレオ対応
またノイズオシレーターもアップデートが行われました。
従来バージョンでは、ステレオサンプルを使用してもモノラルのみの発音でしたが、今回はステレオのサンプルをそのまま演奏させることができます。
シーケンサー機能「Clip」とアルペジエーターの追加
フレーズの保存や呼び出しが行えるClipモジュール
音色作りだけではなく、Serum 2ではフレーズパターンに関する機能も追加されています。
画面下段から呼び出せるClipモジュールは、Serum内で直接MIDIフレーズの作成や編集、再生できる機能で、制作の効率を飛躍的に高めてくれる機能です。
編集画面を開くと、DAWのMIDIノートエディタが表示され、左側からはクリップの管理やプリセットの呼び出しが行えます。
▶︎Clipのプリセットフレーズ
選択したクリップはピアノロールで表示され、ノートの追加・編集が簡単に行えるだけでなく、カット、コピー、ペースト、クオンタイズ、レガートなどDAWさながらの編集機能が備わっています。
また、キーとスケールに合わせたノート移動機能により、音楽理論に基づいたフレーズ作成がより簡単になりました。
12個のクリップスロットを活用して複数のMIDIシーケンスを管理でき、再生モードも多様化。ランダム再生、順不同ランダム再生、静的モードなど、様々な表現が可能です。
さらに、作成したMIDIデータをDAWにドラッグ&ドロップで出力できるので、他の音源と組み合わせた音作りも手軽に行えます。
アルペジエーター
CLIPと合わせ、自動演奏機能として、アルペジエーターも追加されました。
インターフェースの「ARP」ボタンをクリックするだけで、入力されたコードの音符をさまざまなパターンで順番に再生できます。
アルペジエーターの編集画面を開くと、12個のパターンが表示され、それぞれをMIDIノートを使って切り替えることができるので、単調なパターンの繰り返しだけではなく変化に富んだアルペジオトラックを作ることができます。
▶︎半音ごとにパターンを切り替えたアルペジオフレーズ
12個全てのパターンは「GLOBAL」のプリセットから呼び出しが可能で、「PATTERN」から右のパラメーターでは、各パターン個別の細かな設定が変更できます。
一般的な「Up」や「Down」だけではなく、編集ボタンから独自のパターンを作成することもできるので、アルペジエーター1つをとっても、こだわりを叶える作り込みができます。
さらに、CLIPとARPは同時に使用できるため「CILPでストックしたお気に入りのコード進行を、様々なアルペジオパターンで演奏させる」など、手早く複雑なパターンを構築することもできます。
より自由度の高い音作りに対応したフィルター
フィルター部分でも今回のアップデートで1基追加され、2つのフィルターでそれぞれ異なるフィルタータイプを選択可能です。
オシレーターごとに、どちらのフィルターを使用するかを選択することができるので、用途に合わせたきめ細かい調整が可能です。
Filter1からFilter2へ、またその逆の設定もできることから、2つのフィルターを直列に接続することもできます。
さらにフィルタータイプも追加され、サウンドデザインの幅が一段と広がりました。
複雑なサウンドデザインに対応できるLFOの強化
今回のアップデートでは、サウンドに動きを加えるモジュレーション機能にも大幅な機能追加が行われました。
その中でもLFOでは、不規則かつ複雑な変化をサウンドに与えることができる、新しいタイプの追加が目玉です。
従来の「Normal」「S&H」に加えて、新しいLFOタイプとして「Path」「Chaos: Lorenz」「Chaos: Rossler」が追加されました。
一般的な左右に流れる棒グラフ的な動きではなく、描かれたラインを周回する予測不能な複雑な動きを持つ音が作れるようになります。
高度なミキシング機能とエフェクトBUSの追加
ミキサー表示への対応
Serum 2では、「ミキシング機能」が追加され、オシレーターごとの音量調整が簡単に行えるようになりました。
また、エフェクトスロットを搭載した「BUS」チャンネルが追加され、各チャンネルから2つのBUSチャンネルに音を送ることができるようになりました。使用するエフェクトの選択・変更はこの後にご紹介する「FXタブ」から行えます。
従来にはなかった「センド・リターン」方式によるエフェクトの適用で、例えばリバーブの音だけにディストーションを加えることができます。
3系統のBUSが追加されたFXタブ
ミキサーで表示されているBUS1、BUS2、MAINには、FXタブにアクセスすることで、それぞれ独立したエフェクトチェーンを作成できます。
エフェクトセクションも大幅に拡張され、従来から3種類増え、合計13種類のエフェクトが搭載されました。
また、従来では特定のエフェクトを複数個使用することができませんでしたが、今回からは使用できる数に制限がなくなり、音作りの自由度が格段に向上しました。
エフェクトはサウンドのタイプ別にプリセットが用意され、ユーザープリセットの保存もできるため、初心者の方でも手軽に使用ができます。
さらに従来同様、FXタブの機能がエフェクトプラグインとしても使用できる「SERUM 2 FX」も付属しているので、様々なトラックにこの強力なエフェクト機能を使用することも可能です。
いかがでしたでしょうか。
Serum 2は、従来のバージョンから大幅な機能強化が施され、まさに「どのような音でも作れるシンセプラグイン」として完成形に近づいたと言えるでしょう。
また、嬉しいことに、すでにSERUM 1を所有しているユーザーは、このパワフルなアップデートが無償で提供されています。
お持ちの方は是非ウェブサイトをチェックしてみてください!
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