Omnisphere 3が登場!10年ぶりのメジャーアップデート|主要な新機能と進化のポイント
膨大なプリセット・進化したシンセエンジン・強力なFXプラグインを搭載
Spectrasonicsの人気シンセサイザー「Omnisphere」が、10年ぶりにバージョン3として大幅進化を遂げました。
膨大なプリセットライブラリはさらに強化され、ポップスからEDM、映画音楽まで、様々なジャンルに対応する多彩なサウンドが収録されています。
ここでは、Omnisphere 3の主要な新機能と進化したポイントをピックアップして解説していきます。
動画
圧倒的なボリューム!26,000以上追加された新プリセット
まずはサウンドの根幹部分であるプリセットから見てみましょう。
Omnisphere 3では、18の新しいライブラリに26,421の新プリセットが追加され、総サウンド数は41,405に達しました。
クラシックなシンセ音色から、現代的でエッジの効いたサウンド、アンビエント、映画音楽、生楽器系、効果音系まで、幅広いタイプが収録されており、より多くの選択肢から理想のサウンドを見つけられるようになっています。
実際にOmnisphere 3のプリセットで制作したサンプル楽曲をお聴きください。
▶︎A : Omnisphere 3のみ / B : ドラムとベース(別製品)を入れたもの
このように、シンセサウンドはもちろん、生楽器系のサウンドも豊富に収録されており、あらゆるジャンルに対応できる充実したライブラリとなっています。
直感的な音作りを実現する新ワークフロー
今回のアップデートでは、シンセの知識が深くない方でも直感的に音作りができる、強力な新機能が追加されました。
Patch Mutations(パッチ・ミューテーションズ)
注目の新機能が「Patch Mutations」です。
これは、読み込んだプリセットから魅力的なバリエーションを瞬時に生成する機能です。
▶︎Patch Mutationsを使用して生成したサンプル例
「Mutate」ボタンをクリックするたびに、読み込んだプリセットの音色バリエーションが生成されます。
「Default」では自然な変化、「Extreme」ではサウンドの特性を大きく変えることができ、生成されたバリエーションは自動で保存され、後から呼び出すことも可能です。
プリセットを少し変えたいけれど、どのパラメーターを触れば良いか分からない、という場面で非常に役立ちます。
Adaptive Global Controls(アダプティブ・グローバル・コントロールズ)
「Global」ページの表示も刷新され、「Adaptive Global Controls」が搭載されました。
Tone、Ambience、Filter、Envelopeなど、サウンドの全体的な調整が簡潔に行えるようになっています。
一見、どのプリセットでも共通のパラメータに見えますが、選択中のサウンドに応じて主要なパラメーターが調整できるよう最適化されている点が特徴です。
これにより、サウンドが破綻しない範囲で直感的に音をコントロールでき、自分好みの音に素早く近づけることができます。
単体プラグインとしても使用可能に!進化した「FX Rack」
今回のアップデートにおける大きな進化の1つが、エフェクトです。
Omnisphere 3には合計93種類のエフェクトユニットが搭載されており、その中には35種類の新しいエフェクトユニットが含まれています。
驚くべきことに、これら全てのエフェクトが単体のエフェクトプラグイン「Omnisphere FX Rack」としてDAWで使用可能になりました。
定番のビンテージEQやコンプレッサー(Optical Leveling Amp, Classic 1176 Limiterなど)、アナログテープサチュレーターなどの歪み系、Solar ShimmerやVelvet Verbといったリバーブまで、シンセの付属プラグインの枠を超えた多彩なエフェクトが揃っています。
ラック形式で最大4つのエフェクトチェーンを作成でき、ボーカルやドラム、マスタリング用のプリセットも備わっているため、サウンドデザインからミキシングまで様々な用途で使用できます。
シンセエンジンの大幅な強化
シンセサイザーの心臓部であるフィルターとオシレーターが大幅に強化されました。
フィルターセクションの完全刷新
新しいフィルタータイプが36種類追加され、総数は69種類に達しています。
特に新しいフィルターは、アナログシンセのような温かみのあるサチュレーション効果が再現されるようになり、より深みのあるサウンドメイクが可能です。
また、2つのフィルターを直列(series)または並列(parallel)にルーティングできるデュアルフィルターアーキテクチャを採用しています。
Vintage Oscillator Drift
アナログシンセ特有のピッチの揺らぎを再現する「Vintage Oscillator Drift」機能が追加され、温かみのあるアナログ風のサウンドを実現できます。
その他の新機能
主要な機能以外にも、制作フローを強化する多くの機能が追加されています。
- MPE対応:ノートごとに多彩な表現が可能
- Quadzone Modulation:4つのレイヤーを独立変調し、複雑なサウンドを生成
- 世界初のポリフォニック周波数シフター:ピッチを完全トラッキング、直列/並列使用可能
- ハードウェア統合:300以上のデバイスをハンズオンコントローラーとして使用可能
- ユーザーオーディオのインポート:WAV/AIFF(最大24-bit/192kHz)をサウンドソースとして使用可能
- 完全な後方互換性:Omnisphere 1/2のプロジェクトと100%互換
システム要件
Windows
・OS:Windows 10以降
・対応フォーマット:VST3、VST2、AAX
Mac
・OS:macOS 13 Ventura以降
・対応フォーマット:AU、VST3、VST2、AAX
・Apple SiliconとIntel両対応
共通
・CPU:2.4 GHz以上
・メモリ:8GB以上(16GB以上推奨)
・ストレージ:64GB以上の空き容量
・64-bitホスト必須
価格
Omnisphere 3の国内での販売価格は以下の通りです。
・フルバージョン(新規購入):85,800円(税込)
・アップグレード版(Omnisphere 2から):33,000円(税込)
※価格は2025年10月時点の情報です。最新の価格は販売サイトでご確認ください。
10年ぶりのメジャーアップデートにふさわしい、大幅に強化された総合シンセサイザー、Omnisphere 3。
既存ユーザーはもちろん、これからシンセ音源を検討している方も、ぜひチェックしてみてください!
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- ソフトシンセ_使用法




















