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「音楽業界への道標」第9回 コバソロさんインタビュー

マルチクリエイターのコバソロさんへインタビュー

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音楽業界への道標、第9回目となる今回は先日YouTubeのチャンネル登録者数が100万人を突破したばかりのコバソロさん(@kobamakolts)にお話を伺ってきました。「歌ってみた」のカバー動画を中心に、作曲から動画編集まで全てをこなす次世代ミュージシャンのコバソロさんが、これからの「音楽での生き方」についてどう考えているのか等々、まさに道標となるお話を沢山聞けましたのでぜひご一読ください!

ーーーコバソロさんのことをご存知の方も多いと思いますが、改めて現在の活動を教えてください。

コバソロ :仕事内容としてやっているのはYouTube上(kobasolo)での活動、楽曲提供やそれに付随するアレンジ作業やミックス、映像関連だとMV(ミュージックビデオ)作成、またいろんな事務所と協力しながら新人開発といったこともしています。

ーーーコバソロさんは音楽だけに限らず、映像編集など多くのことを一人でされていますが、あまり分担をしないのには何か理由があるのでしょうか?

コバソロ :単純に仲間がいないんです…。(笑)
もともとはユニットとして二人組で活動をしていたのですが、それが解散し事務所からも放り出されてしまったところからのスタートだったので、「全てを自分でやらざるを得ない状況」だったんです。

ーーーそれが今でも続いているような状態ということでしょうか?

コバソロ :そうですね。住んでいる場所も郊外で、なかなか人を呼べないという理由もあります。またYouTubeでの活動は流動的というか、突発的にプロジェクトを進めることも多いのでなかなか共同作業がしづらいという面もありますね。

ーーーちなみにコバソロさんは肩書きとしては何になるのでしょうか?

コバソロ :実はまだちゃんとしたものは決まっていなくて。欲しいんですけどね。(笑)
基本的には記事を書いてくれる方や読んでくれる方にお任せしています。

ーーー現在の活動場所としてはYouTubeがメインなのでしょうか?

コバソロ :そうですね。動画数としては300本くらいアップされています。あとはたまにライブをしたりすることもありますね。

ーーー動画はどういった動画が、どのくらいの割合でアップされているのでしょうか?

コバソロ :7割くらいがMVで、3割くらいが「VLOG」といって動画版のブログですね。MVの中では8〜9割くらいが「歌ってみた」系のカバー動画で、残りの1割がオリジナル曲です。

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コバソロさんの作業スペース
今の活動に至るまでの歩み

ーーーコバソロさんはいつから音楽活動をされていたのでしょうか?

コバソロ :音楽を始めたのは高校を卒業してからですね。

ーーーかなり遅かったんですね。どういったきっかけだったのでしょうか?

コバソロ :高校の文化祭で友人に「デュエットで出場してみないか」という誘いを受けたんです。歌の大半は友人がメインだったのですが、最後の一曲だけ僕がメインで歌ったんです。その時に非常にキャーキャー言われまして。(笑)
それがきっかけで始めました。

ーーー「モテたい!」というのがきっかけの方は意外と多いですよね。

コバソロ :そのまま高校卒業後に大阪の音楽の専門学校に進学しました。ちなみに当時ギターも持ってはいたのですが、ほどんど弾けない状態でした。ピアノも同様ですね。

ーーー今では編曲もこなすコバソロさんですが、ギターなどはいつから本格的に練習し始めたのでしょうか?

コバソロ :専門学校時代に組んだ二人組で卒業後に上京し、活動することになったのですが、当時所属していた事務所の方に「小林君、ギター弾いてみなよ」と勧められてからちゃんと弾くようになりました。年齢でいうと20歳くらいでしょうか。

ーーーWikipediaにも載っていますが、ユニット時代もかなり精力的に活動されていたのでしょうか?

コバソロ :そうですね。路上ライブを中心に全国津々浦々、活動していました。ただ相方の体調面の問題などもあって基本的には一人で動いていましたね。CDを持って夜行バスに乗り、売り尽くしたら補給するために東京に戻って…という日々でした。

ーーー当時目標としていたのは、やはりメジャーデビューだったのでしょうか?

コバソロ :はい。コブクロや、ゆずみたいに、メジャーレーベルに所属して事務所からのプッシュを受けて紅白に出場して…という道を目指していました。

ーーーその後メンバーの喉の病気がきっかけでユニットの活動を休止し本格的にソロ活動を始めたとのことですが、YouTubeでの活動を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

コバソロ :もともとユニットではコーラスや後ろで演奏をすることが多く、サポート役のような立場だったので、解散してソロになったときに自分の前に立ってくれる人物がいなくなってしまったんです。当時25歳くらいだったのですが、ここからソロで活動を始めてメジャーレーベルに所属して売れて…という道はちょっと現実的では無いなと思い、「どうやってインディーズの世界で一人で活動するか」という方向に考えをシフトしました。

ーーーそこで大きく方向転換をしたんですね。

コバソロ :ソロ活動の1年目は、「ユニットで活動していた頃の最大動員数を超える」ということを目標にライブ活動を積極的に行いました。その時にGoose houseと一緒になることが何度かあって、「今YouTubeというメディアがキテるらしい」という話を知りました。確か6年くらい前だったと思います。

ーーーそれがYouTubeで本格的に活動を始めるきっかけだったんですね。

コバソロ :YouTubeのチャンネル自体は2008年くらいに開設していたのですが、ちゃんと動画を投稿し始めたのは2012年くらいからですね。

ーーーYouTubeを最初に始めた頃から、今のようなカバー動画を主体とした活動だったのでしょうか?

コバソロ :そうですね。当時日本だと、「カバー動画を作り込む」というコンテンツがほとんどなかったんです。あったとしても単発ばかりだったので、「これを継続的にやっていけば確実に伸びるのではないか」と思ったのがきっかけです。

ーーー今でも、なかなかコバソロさんほど作り込んだカバー動画を作成している方はいないように思います。

コバソロ :当時、単純に定点カメラで歌うだけという動画は沢山あったので、それでは伸びないなと思い今のスタイルを考えました。ちょうど空いている席を見つけて、その部分に力を注いでいった形ですね。楽曲のアレンジをしている時も、映像化した時に「魅せる」ことができるのかを常に考えながら作業しています。

ーーー今ではチャンネル登録者数も100万人を突破し大ブレイク中のコバソロさんですが、動画投稿を始めた頃から反響は大きかったのでしょうか?

コバソロ :いえ、一気に再生数が伸びたわけではなく本当に少しずつですね。一番最初にアップした動画はTEEさんの「ベイビー・アイラブユー」という曲のカバーなのですが、数週間で1000回いけばいいなってくらいでした。ただ、急に1本の動画がバズって伸びる…ということは無いと思っていたので、めげずに継続的に投稿していきチャンネル登録数100万までたどり着くことが出来ました。

ベイビー・アイラブユー/TEE(Cover)- Baby I Love You

ーーー動画投稿をしていくなかで、転換期となった動画はありますか?

コバソロ :初の「知り合いじゃない方」とのコラボがLefty Hand Creamさんとの作品だったのですが、思った以上に反響が大きかったんです。その頃からコラボ作品の手応えは感じ始めましたね。

Aiuta – whiteeeen – 愛唄~since 2007~ 『ストロボ・エッジ』主題歌(Kobasolo & Lefty Hand Cream Cover)

ーーーコバソロさんは沢山の方とコラボされていますが、声をかける時特に気をつけていることはありますか?

コバソロ :依頼するときはなるべく「余白」を持たせるようにしています。例えば期限を設定しなかったりと、相手の負担をなるべく減らせるよう最大限努力していますね。あとメールも全力で丁寧です。

使用機材について

ーーー動画投稿を始めた当初、そして現在使用している機材ついて色々をお伺いしたいのですが、まず音楽制作ではどういったものを使っているのでしょうか?

コバソロ :ユニットを組んでいた頃自身の楽曲をアレンジするためにDTMを始めたのですが、一番最初に触ったのはMOTUのDigital Performerですね。その後Cubase 8に移行し、以来ずっとアップデートせずに使用しています。マイクはNeumannのU87ですね。今まではRODEのNT1000で頑張っていたのですが、最近買い換えました。ソフト音源はNative InstrumentsのKOMPLETE Ultimateと、IK MultimediaのMiroslav Philharmonik 2をよく使用しますね。

ーーーDTMはどうやって学んだのでしょうか?

コバソロ :完全に独学ですね。あとはとにかくCDをたくさん聴いて、「この音はどんな楽器を使っているんだろう」と研究を重ねました。

ーーー主にYouTubeでコンテンツを公開しているコバソロさんですが、ミックスに関して気をつけていることはありますか?

コバソロ :やはりボーカルは特に気を遣って処理していますね。ただ特殊なプラグインを使用しているわけではなくEQとコンプレッサー、必要に応じてノイズ除去をするくらいです。
あとモニターに関しては、通常のスピーカーに加えてMac本体やスマホから出る音も必ず確認するようにしています。聴き手がどんな環境で聴いているのかはかなり意識して処理していますね。

ーーー撮影ではどういった機材を使用していますか?

コバソロ :動画投稿を始めた当初はCanonのEOS Kiss X3を使用していました。Canonの一眼レフで、動画撮影機能が搭載された機種ですね。めちゃくちゃ安いカメラで、中古でレンズも含めて2万円ちょっとで購入した覚えがあります。あとは間接照明もなるべく安く、5000円以内で収まるように100円ショップやホームセンターで取り揃え、上手く撮れるよう試行錯誤しながら配置しました。編集ソフトはWindowsのMovie Makerを使用していましたね。とても古いPCを使用していて死ぬほど重かったです。そういったこともあり、最初の動画は制作に1ヶ月ほどかかりました。

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コバソロさんとCanon EOS Kiss X3

ーーー限られた予算や機材の中で、試行錯誤しながら制作していたんですね。ちなみに現在はどういった機材を使用しているのでしょうか?

コバソロ :カメラはCanonのEOS C100をメインで使っています。編集ソフトとしてはFinal Cut Pro Xです。

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Canon EOS C100

ーーー動画を制作するにあたり、参考にしたサイトや動画はありますか?

コバソロ :海外の「歌ってみた」動画はかなり勉強になりましたね。僕がこの活動を始める前から海外では作り込んだカバー動画が沢山あったので。

これから音楽で生きていこうとしている方に向けて

ーーーコバソロさんが今まで活動してきた中で、特に辛かった時期はありますか?

コバソロ :ソロ活動からYouTubeへの転換期でしょうか。あとはコラボ動画を始めた頃なんかもそうですね。新しいことを始めると、やはり元々のファンからの反感を買ってしまうこともありますし、一人で活動していたこともあって味方が少ない状態だったので。自分の志ひとつで活動するのは、やはりしんどい部分も大きかったです。

ーーー沢山の不安の中で、折れずに頑張るためのコツはありますか?

コバソロ :「これはいける」という確信は自分の中にあったので、ひたすらそれを信じて進みました。あとはYouTubeのアナリティクス(再生数や視聴層を解析できるツール)を見ると、少しづつではありますが伸びていたので、そういった数字も後押ししてくれていたように思います。

ーーー実際にコバソロさんが今のスタイルで、生活出来るようになったのはいつ頃からだったのでしょうか?

コバソロ :2〜3年ほど前だったと思います。収入源としてはYouTubeの広告収入や楽曲提供、MV制作などでしょうか。

ーーーそれまでは音楽とは別の仕事をしながら生活していたのでしょうか?

コバソロ :いえ、上京するタイミングで「音楽で生きていこう」と決めていたので最初の1年以外はアルバイトも就職もしていないです。

ーーーええええ!どうやって生活していたのでしょうか?

コバソロ :基本的には路上ライブですね。多分普通のサラリーマンくらいの収入はあったと思います。

ーーーそれはかなりすごいことだと思います。

コバソロ :全国を周ってCDを売って、無くなったら補給して…といった風に活動して、売り方自体も相当工夫しました。もちろんそういったものも全部独学です。

ーーー先ほどのYouTubeの話もそうですが、コバソロさんのお話を聞くと音楽をしている方はあまり「どう自分を売り出すか」を考えていないのかもしれないと思いました。

コバソロ :そうかもしれませんね。僕が言うのも恐縮なのですが、今の時代誰でも様々な形で発信できますし、そうなってきた以上「作った楽曲を聴いてくれる方に届ける」責任は持つべきだと思っています。

ーーーコンテンツを作るということ以外にやっておいた方がいいことはありますか?

コバソロ :僕は様々なジャンルの本や記事(小説、ビジネス、歴史等)を読むようにしています。やはりコンテンツの在り方は変わってきているので、自分の立ち位置を再確認するためにもとても参考になると思います。

ーーーある意味「自分の在り方」自体を考えるような、幅広い視野で物事を考える必要があるんですね。

コバソロ :これから人工知能もますます発展していますし、今後益々「生き方」に焦点が合っていくんだろうなと思います。

ーーーそうなってくると、コンテンツを作るだけでなく「人間力」がさらに必要とされてくるのかもしれませんね。

コバソロ :僕自身、一人で放り出された時に「誰かに必要とされたい」と思ったことがいろんな活動に繋がっています。

ーーーそれでは最後に、これからコバソロさんのような生き方を目指している方に向けてのアドバイスをお願いします。

コバソロ :これから益々動画コンテンツは発展していくと思うので、ぜひ音楽だけでなく広い視野で活動してみるのがいいのではないでしょうか。あとはまず「やってみる」ことが重要だと思います。もし具体的な案が無ければ「真似」からやってみるのも1つの手ですし、動き出すことが大事ですね。

ーーーありがとうございました。

恋せよオトメ feat. 春茶 / コバソロ

記事作成者

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取材・執筆:momo (田之上護/Tanoue Mamoru)

1995年生まれ。Digital Performerユーザー。音楽学校を卒業後作曲家として福岡から上京。
2017年8月ツキクラ「STARDUST」に作・編曲で参加し作家デビュー。
「心に刺さる歌」をモットーに、作詞作曲・編曲からレコーディングまで全てをこなすマルチプレーヤー。
アートユニット「Shiro」の作編曲担当としても活動中。

TwitterID :@momo_tanoue

「Shiro」 Website : https://www.shiro.space/
「Shiro」 TwitterID :@shiro_unit