ナチュラル・マイナーダイアトニックコードのディグリーネーム(3和音)/音楽理論講座
ナチュラル・マイナーダイアトニックコードの活用に向けて
今回は、メジャーの際の流れ同様、今度はナチュラル・マイナーのダイアトニックコードをローマ数字(ディグリーネーム)に置き換える方法を学んでいきます。
実は、”非常に間違えて覚えやすいポイント”があります。
未読の方や忘れてしまった方は、本シリーズの21~26回あたりで、ディグリーネームに置き換える利点のイメージを固めておきましょう。
解説に使用する表は、下記URLよりダウンロード可能です。
学習にお役立ていただければ幸いです。
https://sleepfreaks-dtm.com/music/Natural_Minor_Diatonic_Triad.zip
※訂正:初回投稿時に表に一部誤りがあったため、修正したものをアップロードしました。(2016/11/5)
ダイアトニックコードの法則性に注目する
ここまで各キーでの、ナチュラル・マイナーのダイアトニックコードの作り方を学んできましたが改めて、各キーのナチュラル・マイナーのダイアトニックコード(3和音)の一覧表を見てみましょう。
メジャー同様、これらを丸覚えすることは非常に大変です。
しかし、前回〜前々回で触れた通り、どんなキーで作り上げても”スケールに沿って左から出来上がるコードの性質は同じ”という点がポイントです。
このように、いずれも
マイナー、ディミニッシュ(トライアド)、メジャー、マイナー、マイナー、メジャー、メジャー
の並びになっていることがお分かりいただけると思います。
ナチュラル・マイナーダイアトニックの落とし穴
さて、ここであえてメジャーの時とは違う順番で進めてみます。
「コードの性質通り並べれば・・・」ということでこのように進めてしまいがちです。
この状態(bがなかったり)でも表記されているものもありますが、当講座では、他のスケール、ダイアトニックコードとの違いの意識や後々のテクニックのために「b」をつけて進めていきます。
もし、このローマ数字表記のままAから始めるとすると、こうなってしまいます。
なぜでしょうか?
ここで、スケールに数字を振ったときのことを思い出してください。
7. マイナースケールとスケールディグリー
27. 音名の相対表記(Scale Degree Names)
-
メジャー・スケールが
- 1 2 3 4 5 6 7 (8)
- 1 2 b3 4 5 b6 b7 (8)
であるのに対し
ナチュラル・マイナーは
でした。
ということは、Aを主音(Tonic)として関係性を考えた場合、上記の通り3(III)はC#、6(VI)はF#、7(VII)はG#となり、白鍵だけで出来上がっていた、Aナチュラル・マイナースケールではなくなってしまいますね。
わかりにくい場合は、Cを主音(Tonic)として考えてみましょう。
メジャーの際に考えた手順でいきます。
メジャーではこのように、スケールの始まりの音から順番にローマ数字を振っていきました。
Cメジャースケールは
C D E F G A B (C)
1 2 3 4 5 6 7 (8)
Cナチュラル・マイナースケールは
C D Eb F G Ab Bb (C)
1 2 b3 4 5 b6 b7 (8)
ナチュラル・マイナーダイアトニックコードのディグリーネーム(3和音)
そして、ここからダイアトニックコードを作りましょう。
手順は前回〜前々回に掲載した通りです。
併せて、ローマ数字の隣に各コードの性質を付記していきます。
- ディグリーネームの記述法は、メジャーの横に「△」をつけたり、マイナーは小文字(「ⅲ」等)で示すなど、様々な表記法があります。本講座では上記の記述で統一します。
メジャー同様、スケールの音をローマ数字の箇所に入れるだけですね。
いきなりナチュラル・マイナースケールがわからなくても、メジャースケールが分かれば、その3/6/7をbさせればいいというわけです。
ちなみに、それぞれの呼び名は以下の通りです。
- Im =ワン・マイナー
- IIdim = トゥー・ディミニッシュ(トライアド)
- bIII= フラット・スリー・メジャー
- IVm = フォー・マイナー
- V m= ファイブ・マイナー
- bVI = フラット・シックス・メジャー
- bVII = フラット・セブン・メジャー
最後に、ローマ数字表記ありのナチュラル・マイナーダイアトニックコード(三和音)一覧表を載せておきます。
ぜひ、ご利用ください(リンク先を保存で大きいファイルを取得できます)。
<お詫びと訂正>
第21回で掲載しました、メジャー・ダイアトニックコード(三和音)一覧表についてですが、後で「A♭」の行が抜けていたことが判明しました。
該当の記事にて訂正させていただきましたが、こちらにもダウンロードリンクを付記いたします。
・三和音
https://sleepfreaks-dtm.com/music/Major_Diatonic_Triad.zip
・四和音
https://sleepfreaks-dtm.com/music/Major_Diatonic_Tetrad.zip
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記事の担当 伊藤 和馬/ Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。 バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
その技術を活かし、POPSから映像音楽まで、幅広い作曲活動を行っている。