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ディグリーネーム(4和音)の活用とノンダイアトニックコードの存在/音楽理論講座

4和音コードも含めた実践とノンダイアトニックコードの存在

今回は4和音も交え、ディグリーネームを実践的に活用していきましょう。
ノンダイアトニックコードなどの高度な内容も取り上げますが、同じ曲を使って進めるので、感触だけでも掴んでおいてください。
また、前回の内容が必須となるため、未読の方はそちらから先にご覧ください。

major_diatonic_tetrad


4和音ディグリーネームによる楽曲の分析

まずはこちらのサンプルをお聴きください。

これは世界中の人々にカバーされ、日本でも有名な「Fly Me to the Moon (In Other Words)」の前半部分です。
とてもおしゃれなコード進行で、実際はもっとスウィング感を持って演奏されます。
今回は、こちらを解き明かしてみましょう。

まずはキーの把握です。
譜面がある場合、シャープやフラットの位置を確認することでキーを特定できます。

シャープもフラットも付いていないキーは…

Cメジャー、またはAマイナーですね。

この曲を聴いてみると、明るいメジャーの雰囲気から、クールで暗いマイナーの感じにシフトしているのを感じませんか?

コードネームも確認してみましょう。

特に最後の3小節あたりで、暗さやマイナー感が強く感じられます。
ここで理論講座13回目のマイナーセブンスでの内容を思い出してみましょう。

  • マイナーコードは、突き抜けた暗い印象
  • マイナーセブンスは、暗さの中にも煌びやかさがある複雑な響き

今回の曲では、最後のコードをAmに置き換えてみると、その違いが分かりやすいかもしれません。

他の曲を聴く際やご自身で作曲する際にも、この微妙な違いを意識してみてください。

キーのスケールにはない「♯」や「♭」の扱い

譜面がない場合は、耳コピを行ってメロディーやコードからキーを読み取っていきます。

  • メロディ

  • コード


ここで改めて気付くと思いますが、Cメジャースケールの音が中心なのになぜかG#が含まれています。
また、C7コードにはB♭が入っています。

次に、Key=Cメジャーのダイアトニックコードを確認してみましょう。

  • 3和音

  • 4和音

C7やE7といったコードは、ダイアトニックコードには見当たりません。

これまでの学習を元に好きな曲を解析していると、ダイアトニックコードにないコードが出てくることがあります。
そのようなとき、どのように対処すれば良いのか迷うことがあるでしょう。

ここで重要なのは、世の中の多くの曲には「ダイアトニックコード以外のコード」=「ノンダイアトニックコード」が使われているということです。
もちろん、ダイアトニックコードだけで作られた素晴らしい曲もたくさんあります。

ノンダイアトニックコードの使い方についてはもう少し先で詳しく解説します。
ここでは、上記の進行をどう分析するかについて押さえておきましょう。

3和音のときと同じ手順で、表を見ながらディグリーネームに置き換えていきます。

「?」とつく部分以外は今までの要領で分析できました。
では「?」(ノンダイアトニックコード)はどう扱うのでしょうか。
考え方はシンプルです。

21回目でご紹介したように、ディグリーネームの各ローマ数字は、スケールに対応しています。

これを応用して、たとえダイアトニックコードになくても、「スケールの何番目か?」でローマ数字に置き換えましょう。

Key=Cメジャーの場合、C7はI7、E7はIII7となります。

これで分析が出来ました。

キーが変わったように聴こえる謎

「Fly Me to the Moon」の最後に感じる暗い展開については、マイナーのダイアトニックコードや各コードの機能(ファンクション)を学ぶことで、異なる見方ができるようになります。

この異なる視点について解説する際も「Fly Me to the Moon」を使用しますので、頭の片隅に入れておいてください。
次回も引き続き、4和音コードも交えた楽曲のキー変更やコード進行の例を取り上げていきます。


記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh

伊藤 和馬

18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。

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