sus系コード③ sus2(サスツー)/音楽理論講座
サスツーコードの概要
今回は、比較的新しいコード、「sus2(サスツー)」について学んでいきましょう。
昔は見かけることはなかったようですが、近年ではWebサイトや本でも普通に掲載されています。
DAW上でも見かけますね。
sus4、7sus4、omitの知識が必要ですので、未読の方はそちらを先にお読みください。
サスツーの響き
まずは、サスツーのサウンドを確認してみましょう。
コードの構成音を順に鳴らした後に、コードが鳴ります。
- Csus2
先にお伝えしておくと、sus2はsus4同様、3rdの音(m3rd、M3rd)がないのが特徴です。
明るい・暗いとは分けられず、クールな響きがします。
他のトライアドのコードと交互に聴いて比べてみましょう。
- C→Csus2→Cm→Csus2
サスツーの表記
サスツーの表記にはほとんど種類がありませんが、少し特殊な表記法も存在します。
一般的には以下のように表記されます。
- Cサスツー= Csus2
- Eサスツー= Esus2
※Cadd9(omit3)に関しては後ほど説明します。
サスツーの成り立ち
add9の回で使用したCメジャースケールの図を用いて、sus2の「2」に注目してみましょう。
Cメジャースケールの場合、2番目は「レ」です。
既にお気付きの方もいらっしゃると思いますが、サスツーコードにはこの「2」の音が含まれます。
譜面とピアノロールで確認してみましょう。
他のトライアドのコードと合わせて、構成を確認してみましょう。
Csus2は、Cadd9のM3rdをオミットしたと捉えることもできます。
ただ、sus2の方が表記として短いため、使用されるようになったと思われます。
サスツーを使ってみる
サスツーの代表的な使われ方を見てみましょう。
- Fsus2→F→Csus4 →C
曖昧な感じからメジャーへの落ち着きが感じられますね。
- Csus4→C→Csus2→C
このように、同じルートでsus2とsus4を交互に使用して動きを出す手法もよく見かけます。
次はメジャーやマイナーをsus2に変えてみた例を聴いてみましょう。
- 変更前 Am→G→F
- 変更後 Asus2→Gsus2→Fsus2
明るいとも暗いともいえない、クールな印象になりました。
以上のように、様々な使い方ができそうですね。
使用されている曲を見つけたら、前後のコードも含めて分析してみてください。
ギターにおけるサスツーコードの考え方
上記は、ギターにおけるCadd9の押さえ方(ボイシング)ですが、Cadd9はM3rdが含まれるコードでしたね。
そのため、このコードは「sus2なんじゃないの?」と議論されることがあります。
他の楽器がM3rdを弾いていることでadd9が成立していたり、アレンジ上問題なければどちらでも構いませんが、ギター単体でしっかりと明るさを出したい、もしくは出したくない場合など、意識的に使い分けた方が良いでしょう。
ドミナントセブンス・サスツーについて
「ドミナントセブンス・サスツー(7sus2)」は、実際には他のコード名でも表現できることがあるため、見かけることは少ないです。
ただ、前後のコードとの関係性を明確にするために、7sus2という表記が使用される場合があります。
もし見かけた場合は、以下のような構成になります。
次回は、「add11(add4)」について解説します。
記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。