目次を見る

【ギタリストのためのAbleton Live】#4 MIDIエフェクトを使用したキーボードトラックのコード打ち込み

MIDIエフェクトを活用してコード打ち込みを楽しく便利に行う

Live 10

第4回目は鍵盤楽器のコードをより打ち込みやすくする、MIDIエフェクトを中心に進めていきます。
Ableton Liveの特徴でもある自由なMIDIルーティングを制作に活かし、単音のMIDIノートからコードを演奏させる手順や、これらを応用した更に便利な活用法をお伝えしていきます。

【ギタリストのためのAbleton Live】#4解説動画


  

  1. 1ドラムトラック制作のワークフロー
  2. 2ギターを使用したMIDIとAudioレコーディングのワークフロー
  3. 3Instrument RackとExternal Instrumentでリードサウンドを作成する
  4. 4MIDIエフェクトを使用したキーボードトラックのコード打ち込み
  5. 5セッションビューを活用した楽曲構築方法
  6. 6多彩なLiveのミックス機能解説
  7. 7解説プロジェクトのダウンロード

コード系のMIDIエフェクトを設定する

ここでは単音のMIDIノートからコードを生成するMIDIエフェクトを活用していきます。
鍵盤の演奏が苦手という方でも、簡単に打ち込みが行えます。

Probability Arp

コード演奏を行いたいMIDIトラックに対して、「Pack」→「Probability Arp」を適用します。

Probability Arp Setting

上部のCHORDを「On」に設定して「Shape」から演奏するコードタイプを指定するだけです。
これで入力された単音のMIDIノートがルートとなるコードが演奏されます。

ただ、このままでは全ノートが同じコードタイプとなってしまいます。
例 : C7 F7 A7 など。

そのため、演奏されたMIDIノート(ピッチ)に応じてコードタイプを設定していきます。

グループ

MIDIデバイス(Probability Arp)を右クリックして「グループ」を選択します。

Effect チェーン

作成されたラックの赤囲み部分をクリックしてチェーンに切り替えます。

チェーンの複製

演奏させたいコードタイプの数だけチェーンを複製します。

  • Mac : Opiton + Drag
  • Windows : Control + Drag

を行うことで素早く複製を行うことができます。
あとは各チェーンに配置されているProbability Arpへ好みのコードを設定します。

次にどのMIDIノートで指定したコードを鳴らすのか?という設定を行います。
ここで活躍するのが「Scale」デバイスです。

Scale setting

「Scale」を各チェーンにドラッグして「Probability Arp」の前に適用します。
どのMIDIノートが演奏されると、Probability Arpが反応するのか?という定義をScaleのマトリクスで指定します。

これを各チェーンごとに設定することで、MIDIノート(ピッチ)ごとに異なるProbability Arp設定が演奏できるという仕組みです。

単音MIDIノート

単音のMIDIノートで指定したコード演奏が実現します。

コードを楽曲に合わせて簡単に移調する設定

作成したコードセットを移調したいという際に便利な方法を解説します。

Baseを使用した移調

「Scale」に備わっている「Base」ノブを回すことで半音単位の移調を行うことができますが、全チェーンを1つずつ設定するのはなかなか大変です。
マクロ機能を使用することで、一括で全チェーンの移調を行うことができます。

マクロ設定

ラック内のマクロボタンをクリックするとマクロの編集モードに入ります。

マクロ設定-1

マクロにアサインしたいノブ/パラメーターをクリックして(ここではBase)マクロの「Map」をクリックします。
これを移調させたい全チェーンで行っておきます。

マクロの設定後

設定の完了後、1つのマクロで全チェーンの移調を一斉に行うことができます。
ライブパフォーマンスにも活躍する機能です。

作成したMIDIエフェクトの状態を保存する

作成したMIDIエフェクト/ラックを他の場面や、楽曲で使用したいという際は保存を行なっておくと便利です。

保存 Rack

ラックの上部に配置されている保存ボタンをクリックします。

ユーザーライブラリ

保存した状態はプリセットとして「ユーザーライブラリ」→「MIDI Effect Rack」に保存されるため、すぐに設定を呼び出すことができます。

演奏されているコードをMIDIへ記録する

上記で指定したコードを基にして、他トラックもアレンジするという場面も多いかと思います。
このような際は、単音で演奏されているコード構成音をMIDIノートへ変換すると便利です。

MIDI変換

新たにMIDIトラックを作成し、MIDI入力部分を上記「Probability Arp」で演奏されているトラックに合わせます。

REC Chord-1

設定後にトラックをレコーディングすることで、Probability Arpで演奏されているMIDIノートが全て記録されます。

演奏したギターコードをMIDIノートに変換する

ギタリストの皆様にもう1つお勧めしたいコード入力がオーディオファイルをMIDIへ変換する機能です。
演奏したギターフレーズをすぐにMIDIに変換できるため、制作のスピードが格段にアップします。

その方法も非常に簡単です。

ハーモニーを新規MIDIトラックに変換

演奏が記録されたオーディオクリップを目的のMIDI音源へドラッグするか、オーディオクリップを右クリックして表示される「ハーモニーを新規MIDIトラックに変換」を選択します。

MIDI変換後 オーディオから

このようにMIDIイベントに変換されます。
ギターをレコーディングする際には、エフェクトを通さずクリーンサウンドで行うことで解析の精度を高めることができます。


いかがでしたでしょうか。
柔軟なMIDIルーティングを活かした単音ノートからのコードコントロール。
そして、ギターなどのオーディオクリップのMIDI変換など、ギタリストにとって非常に嬉しい機能が満載です。
是非、制作に取り入れて快適な楽曲制作を行なってください!

https://www.ableton.com/ja/trial

記事の担当 宮川 智希/Tomoki Miyakawa

Sleepfreaks DTM講師 宮川 智希-1
  1. 講師のプロフィールを読む