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DTM初心者のためのマイク選び|基本的な知識と人気製品をランキング形式で紹介!

DTMer3272人に聞いた!初心者からプロまでが選ぶ人気のマイクとは

DTMで制作する楽曲のクオリティ、特にボーカルや生楽器のサウンドは、使用するマイク一本で大きく変わります。
しかし、いざマイクを選ぼうとすると価格帯も種類も多すぎて「どれが自分に合うのか分からない」「コンデンサーマイクとダイナミックマイクはどう違うの?」といった、疑問の声も少なくありません。

そこで今回は、マイク選びで押さえておきたい基本知識と実践的なセッティング方法、そして3272人のDTMerが選んだ人気の製品を紹介します。

動画 : マイクの人気No.1はどれ?3272人に聞いたベスト5(2020年版)

DTMでマイクは必要?アンケート結果による傾向

そもそも、「DTMでマイクは必要ですか?」と聞かれることもよくあります。
興味深いことに、弊社が行ったアンケートでは、アマチュアの941名、プロの63名が「マイクを使用していない」と回答しています。
この背景には、近年の高性能なソフトウェア音源やボーカル支援ソフト(ボーカロイドなど)の充実により、必ずしも生音を録音しない制作スタイルが確立されつつあることが伺えます。
この結果が示す通り、制作スタイルによってはマイクが必須というわけではありません。
しかしながら、自身の歌声や楽器の音といった「生のパフォーマンス」を楽曲に加えたい場合は、マイクは依然として不可欠です。

マイクに関する基本的な知識

マイク選びで失敗しないためには、基本的な知識を持っておくことが大切です。
次に、特に重要となるマイクの主な種類と、音を拾う範囲を示す「指向性」について解説します。

マイクの主な種類:「ダイナミック」と「コンデンサー」

マイクは、主に「ダイナミックマイク」と「コンデンサーマイク」の2種類あります。
それぞれに特性があり、どちらを選択するかによって、レコーディングの質や扱いやすさが変わってきます。

ダイナミックマイク

ダイナミックマイクは耐久性に優れ、大きな音量にも歪まずに対応できるのが最大の特徴です。
多くはマイク正面の音を的確に捉えるように設計されており、ライブやカラオケで広く使用されています。
レコーディングでは、そのタフな特性から、エネルギッシュな音をそのままの迫力で録りたい場合に真価を発揮します。
具体的には、アンプを通したギターやベース、アタックの強い打楽器などの収録に適しています。

コンデンサーマイク

コンデンサーマイクは感度が高く、息づかいのような微細なニュアンスまでクリアに捉えることが得意です。
一般的なレコーディングスタジオで最も普及しているのは、このタイプのマイクです。
ミックスの中でも埋もれにくい、きらびやかで抜けの良いサウンドが得られるため、表現力が求められるボーカルや、アコースティックギターの録音に最適です。

ただし、コンデンサーマイクは非常にデリケートなため、衝撃や湿気に注意が必要です。
また、動作には電源供給が必要で、オーディオインターフェイスが「ファンタム電源(+48V)」に対応している必要があります。

狙った音を録るための重要ポイント : 指向性

指向性とは、マイクがどの方向の音を拾いやすいかを示す特性のことです。
いくつかの指向性パターンがあり、自宅でのレコーディングでは、「単一指向性」が最も一般的に使われます。

  • 単一指向性 (カーディオイド) : 正面の音を捉える最も標準的なタイプで、宅録でのボーカルや楽器の録音に有効
  • 超単一指向性 (スーパーカーディオイド) : より鋭く音を狙い側面ノイズに強く、真裏の音も少し拾うタイプで、音の分離・集音が求められるライブなどに有効
  • 双指向性 (バイディレクショナル) : マイクの前後から集音するタイプで、対面での会話や特定のステレオ録音に有効
  • 無指向性 (オムニディレクショナル) : 360度全方向から集音するタイプで、会議の議事録や、その場全体の雰囲気を録音したい場合に有効

高価なコンデンサーマイクの中には、これらの指向性をスイッチで切り替えられる多機能なモデルも存在します。

マイクだけじゃない!レコーディングに必要な機材

クリアな音でレコーディングを行うためには、マイク以外にも揃えておきたい機材がいくつかあります。
下記は特に重要となるため、併せて購入することをおすすめします。

ポップガード

歌を録音する際に、「パ」「ピ」「プ」といった破裂音(「ふかれ」と呼ばれます)がマイクに直接吹きかかることで生じるノイズを防ぐためのフィルターです。
特に、息づかいのような繊細な音まで拾うコンデンサーマイクを使用する場合は用意しておくと良いでしょう。

マイクスタンド

マイクを適切な高さや角度で安定して固定するためのスタンドです。
レコーディング中にマイクを手で持つと、ノイズや音の揺れの原因となります。
マイクの重さに耐えられ、安定感のあるものを選んでください。

ケーブル

ケーブルは用途によって種類が異なり、間違えるとノイズの原因になったり、機材が正しく動作しない場合があります。

マイクケーブル(XLRケーブル/キャノンケーブル)

マイクをオーディオインターフェイスに接続するための専用ケーブル。
ノイズに強い「バランス接続」という方式で、コンデンサーマイクに必要なファンタム電源もこのケーブルで供給されます。

楽器用ケーブル(シールド/TSケーブル)

エレキギターやベース、シンセサイザーなどの楽器をオーディオインターフェイスに接続するためのケーブル。
「アンバランス接続」というノイズに弱い方式で、マイクケーブルとは差し込み口の形状が異なるため、マイクの接続には使用できません。

実践!ボーカルレコーディングの基本セッティング

人気マイクのランキングを見ていく前に、適切なマイクのセッティング方法についても紹介しておきます。
ここではボーカル録音を例に、特に重要な手順を解説します。

ステップ1:マイクの高さ・距離・向きを決める

まずは、マイクの正面(音を拾う面)が、口元の高さにぴったり合うように調整します。

距離は、20〜30cm離れた位置から試しましょう。
マイクに近づくほど低音が強調される「近接効果」も考慮し、楽曲に合わせて最適な距離を探してください。

なお、マイクには表面と裏面があります。
製品のロゴや印(例では金色の点)を目印に、必ず表面を口元に向けてください。

ステップ2:ゲイン(入力レベル)を調整する

オーディオインターフェイスのゲインノブを調整し、入力される音量を決めます。
このとき、実際に歌う曲の中で「最も声が大きくなる部分」を歌い、その音量でもレベルメーターの0dBを超えて音割れ(クリッピング)しないように設定することが重要です。

ステップ3:ファンタム電源を入れる(コンデンサーマイクの場合)

コンデンサーマイクを使用する際は、オーディオインターフェイスの「+48V(ファンタム電源)」スイッチをONにするがあります。
注意点として、必ず「マイクケーブルを接続 → ファンタム電源をON」の順番で行なってください。
電源が入った状態でケーブルを抜き差しすると、マイクが故障する可能性があります。

DTMユーザー総合マイクランキング ベスト5

第1位 : SHURE SMシリーズ

堂々の第1位に輝いたのは、SHUREのSMシリーズ。
その中でも特に「SM58」は通称「ゴッパー」と呼ばれ、ボーカル用ダイナミックマイクの代名詞的存在です。
ライブハウスやリハーサルスタジオで必ずと言ってよいほど普及しており、その頑丈さと信頼性の高さから楽器店でも「最初の1本」として推奨されることが多い、まさに定番中の定番です。

また、同じく人気の「SM57」は、SM58に比べて指向性がタイト(鋭い)設計になっており、狙った音以外の余計な音を拾いにくい特性を持っています。
この特性から、ギターアンプの集音やドラムのスネアなど、特定の楽器の音をピンポイントで捉えたい場合に絶大な信頼を得ており、こちらも多くのスタジオで標準機材として導入されています。

第2位 : Audio-Technica ATシリーズ

第2位となったのは、コストパフォーマンスの高さで定評のあるAudio-TechnicaのATシリーズ。
シリーズ内で特に人気を集めているのが「AT2020」で、1万5千円前後という手頃な価格帯でありながら、コンデンサーマイクならではのクリアで繊細な音質を実現しています。
ボーカルはもちろん、アコースティックギターの収録にも十分なクオリティを発揮し、近年ではその手軽さと音質のバランスから、ライブ配信用のマイクとしても人気が高い製品です。

さらに、ロングセラーモデルAT「4033A」をベースに設計された「AT4040」は、本格的なレコーディングを目指すユーザーに人気で、より幅広いダイナミックレンジと高い解像度を実現しています。
価格は約4万円前後となりますが、その価格に見合う、あるいはそれ以上の価値を持つサウンドクオリティが評価されています。

第3位 : RODE NTシリーズ

第3位に入ったのは、オーストラリアのメーカーRODEのNTシリーズ、
中でも特に人気が高いのは「NT1-A」で、RODEの誇る高度な製造技術により「超低ノイズ」を実現したコンデンサーマイクとして知られています。
扱いやすく、ポップガードやショックマウント、ケーブルなどがセットになったパッケージで販売されていることも多く、ボーカルレコーディングをこれから本格的に始めたいという初心者の方にもおすすめの製品です。

第4位 : AKG Cシリーズ

第4位は、独自のカラッとした明るいサウンドキャラクターでファンを魅了するAKGのCシリーズ。
特に支持を集めているモデルが「C214」で、サウンドニュアンスを的確に捉える能力に長けており、ボーカルはもちろん、アコースティックギターやパーカッションといった楽器の収録にもその実力を発揮します。
入力感度を-20dB減衰させるパッドスイッチや、不要な低域をカットするローカットスイッチも搭載しており、ドラムのようなアタックの強い音源や、様々なレコーディングソースに柔軟に対応できる点も魅力です。

さらに、上位モデル「C414 XLII」は、プロフェッショナルな現場での使用率が非常に高く、多くの商業スタジオで標準マイクとして導入されており、そのサウンドクオリティと信頼性は折り紙付きです。

第5位 : SENNHEISER Eシリーズ

第5位に滑り込んだのは、SENNHEISERのEシリーズです。
特にボーカリストからの支持が厚い代表モデル「E945」は、超単一指向性という非常にシャープな指向特性により、マイク正面以外の余計な音を拾いにくいのが大きな特徴です。
これにより、ライブステージなどの周囲の音が大きい環境でも、ボーカルの声をクリアに届けます。
また、収音可能なサウンドの帯域も広く、ダイナミックレンジにも優れているため、表現力豊かなパフォーマンスを忠実に伝える力を持っています。

プロが使用するマイクランキング ベスト5

次に、プロフェッショナルユーザーが実際に現場で使用しているマイクのランキングです。
先述のSHURE SMシリーズは「殿堂入り」として除外して集計した結果、興味深いことにベスト5は全てコンデンサーマイクとなりました。
これはまさに「プロが選ぶコンデンサーマイクランキング」と言えるでしょう。

NEUMANN U87Ai

そこで、最後にプロユーザーランキング3位に輝いたNEUMANN U 87 Aiを簡単に紹介しておきます。
本製品は、プロのレコーディングエンジニアやアーティストから絶大な信頼を得ており、「このマイクを置いていない商業スタジオは無いのではないか」とまで言われるほど、業界標準として君臨するボーカルマイクの最高峰です。
現在の価格は40万円前後と非常に高価ですが、その価格に見合う圧倒的なサウンドクオリティと表現力を持ち、多くのボーカルレコーディングにおいてファーストチョイスとして試される、まさに「王道」の一本です。

まとめ

今回紹介したように、マイクにはそれぞれ得意なことや特徴があります。
もしマイクの導入を考えるなら、まずは下記の点を考慮して検討を進めてみてください。

  • 何を録りたいのか(ボーカル、アコギ、エレキギターなど)
  • どんなサウンドを目指すのか(クリアで繊細、パワフルで太いなど)
  • 予算はどれくらいか

これらの点を総合的に考え、自分の制作スタイルに合ったマイクを選ぶことが、作品のクオリティを向上させるための重要な第一歩となります。
ぜひこの記事を参考に、あなただけの最高のパートナーを見つけてください。

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