主要三和音とその機能(ファンクション)②/音楽理論講座
主要三和音 = 真のT・SD・Dのファンクション
前回、各メジャーキーの主要三和音についてご説明しました。
各キーのトニック、サブドミナント、ドミナント上に出来上がったコードでしたね。
ディグリーネームと省略形のアルファベットでも、確認しておきましょう。
これらを、真の意味でのTonic(トニック)、Subdominant(サブドミナント)、Dominant(ドミナント)コードと捉えていただき、ここから読み進めて下さい。
メジャーkeyでは
- T = I,Imaj7
- SD = IV,IVmaj7
- D = (V),V7
上記画像ではV7を黄色の丸で囲んでいますが、これは第14回で学んだトライトーンが含まれており、特別な意味を持っています。
そのため、Dのファンクションについては、次回の記事で解説します。
今回はまず、TとSDのファンクションについて学んでいきましょう。
TとSDによる進行づくり
トニックとサブドミナント、それぞれのファンクションを文章で表すと以下のようになります。
- T=Tonic(トニック)
そのキーの中心的存在です。
強い安定感があり、曲の始まりや終わりによく用いられます。 - SD=Subdominant(サブドミナント)
TとDの中間的な性格を持つコードで、進行に彩りや発展をもたらします。
TからSDに進むと新たな展開が生まれ、和音の変化で浮遊感を与えます。
Dの前に使うと、Tでの解決感をより強調できます。 - I→IV(C→F)
- Imaj7→IVmaj7(Cmaj7→Fmaj7)
- I→IVmaj7(C→Fmaj7)
- Imaj7→IV(Cmaj7→F)
- I→IV~~~~~(C→F~~~~~)
- I→IV→I(C→F→C)
- 主要三和音(トニック、サブドミナント、ドミナント)はコード進行において特に重要である
- Tは安定感があり、曲の始まりや終わりによく使われる
- SDは進行に彩りや発展をもたらし、Dの前に使うと解決感が強まる
文章だけでは分かりにくいと思うので、実際にT→SDの例を聴いてみましょう。
Key=Cで進めますので、【T=C,Cmaj7、SD=F,Fmaj7】ということになります。
なお、必ずしもTから始める必要はありません。
SDを最初に置き、浮遊感から始める場合もあります。
この点については、後の記事で詳しく触れます。
どうでしょうか?
TからSDに移った時に、「ここからどこへ向かうんだろう?」という期待感が生まれたと思います。
試しに、ここからずっとFを続けてみましょう。
「期待させるだけさせておいて、何も起きない」という宙ぶらりんな感じになってしまいますね。
これが、TからSDに展開した時に起きる「浮遊感」の特徴です。
浮遊したからには、着地したくなるのが自然の理ですね。
では、TからSDに展開した後、またTに戻ってみましょう。
どうでしょうか?
安定した雰囲気に”緩やかに”戻ってきたと感じられるはずです。
まとめ
今回の記事のポイントは下記の通りです。
次回は「D(ドミナント)コード」について解説していきます。
Dを使うと、もっとドラマチックな展開が演出できます。
3和音と4和音の違いについても取り上げますので、ご期待ください。
記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。