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目次

主要三和音とその機能(ファンクション)③/音楽理論講座

Author: sleepfreaks

D(ドミナント)のファンクション実践

前回で、各メジャーキーの真の意味でのTonic(トニック)、Subdominant(サブドミナント)を実際に使用し
それぞれのファンクションを確認しました。

今回は、残るDominant(ドミナント)上に出来上がるコード(メジャーkeyの場合V,V7)を使用し
コード進行をよりドラマチックにしてみましょう。

✳︎Dominant(ドミナント)コードの機能を持つのは、トライトーンを持ったV7のみと考える場合もあります。
当講座では、下記画像のDominant(ドミナント)上に出来上がったコードをDominant(ドミナント)コードとし
Vより、V7がより強いと考えていくことにします。

まずはドミナントの位置付けとディグリーネームを確認しておきましょう。
赤丸で囲んだものがドミナントです。

TSDD

TSDD_2

D=Dominant(ドミナント)コードは、メジャーダイアトニックコードの中での位置付けとして、
非常に不安定さや緊張感を持ったコードです。

そのため安定感のある「T(トニック)」コードに戻ろうとする力が非常に強くなります。
この不安定→安定という流れのコード進行が、ひと段落した、終わったという、
いわゆる「終始感」を生み出します(特にIに戻った場合)。

「不安定さや緊張感」という言葉で、トライトーンを思い出された方も多いでしょう。
そのため、ただのVよりも、V7の方が安定のトニックへ戻る力が強いと言えます。

tritone-resolve

また、ドミナントには「支配的な」という意味がありますが、「V,V7 → I,Imaj7」の動きがあると、
その楽曲のkeyが明確になるという側面もあります。


T・SD・Dによる進行づくり

では、実際に聴いていきましょう。
前回のT→SDのサンプルの後に、D→Tの流れを繋げていきます。

今回もKey=Cメジャーで進めます。
VとV7のサウンドの違いにも注目して下さい。

  • I→IV→V→I C→F→G→C

CFGC

  • I→IV→V7→I C→F→G7→C

CFG7C

  • Imaj7→IVmaj7→V→I Cmaj7→Fmaj7→G→C

CM7FM7GC

  • Imaj7→IVmaj7→V7→I Cmaj7→Fmaj7→G7→C

CM7FM7G7C

いかがでしょうか?
不安定なドミナントが入ることにより、Iのトニックへの着地がよりしっかりした流れとなり、
かつ「V7を使う方がよりその傾向が強くなること」を感じていただけたと思います。

ご自身が作曲している曲の雰囲気に合わせて、
「ここは強い不安定感を出して、Iへの解決感を強めよう」などと
いろいろと考えてみるのもいいですね。

VとV7の違いをより意識してみる

前回、TからSDを連続させる流れをお見せしましたが、今回はDを連続させてみましょう。
しかも、途中からV7に変化させますので、そこにも注目して下さい。

  • T→SD→D(V)→D(V7)→T C→F→G→G7→C

ピアノのみバージョン

CFGGGGG7G7G7G7

Vはそこそこの不安定感ですが、V7でより緊張感が高まり、早く落ち着きたいと感じてきます。
やはり、Vにはなく、V7にはあるトライトーンが大きく影響していますね。

そして、これだけ引っ張るとより一層わかるのですが、Iのトニックに落ち着いた時の安心感が
前回のSDとは段違い
です。

最後に、おさらいも含めて、T・D・SDの特性をまとめておきます。

  • T=Tonic(トニック)

そのkeyの中で中心的存在です。強い安定感を持ち、曲の最初、また最後のコードとしてよく用いられます。

  • SD=Subdominant(サブドミナント)

TとDの中間的な性格のコードで、コード進行に彩りや発展的な印象を与えることができるコードです。
TからSDに進むと、コード進行に展開が生まれたと感じ取れ、浮遊感も感じられます。
Dの前で使用すると、Tで得られる解決感の流れをよりスムーズに、強固なものにできます。

  • D=Dominant(ドミナント)

I=T=Tonic(トニックコード)に戻ろうとする力が非常に強いコードです。
Dominant(ドミナント)からTonic(トニック)に戻ることで、コード進行がひと段落した、終わった、
という、いわゆる「終始感」を得ることができます(特にI戻った場合)。
そして、不安定さや緊張感、戻ろうとする力としては、VよりV7の方が強いです。

次回は、T・SD・Dのいろいろな動き方、そしてケーデンス(カデンツ)=終止形について
学んでいきましょう。




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記事の担当 伊藤 和馬/ Kazuma Itoh

講師 伊藤
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。 バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
その技術を活かし、POPSから映像音楽まで、幅広い作曲活動を行っている。

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