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add9(アドナインス)コード/音楽理論講座

add9コードの概要

今回は、残りのsus系コードを学ぶ前に、バラードはもちろん、幅広いジャンルで使用され、また後の回の「テンションコード」にも繋がる「add9(アドナインス)コード」を学んでいきましょう。
共通音を意識したアレンジでもよく使用されるコードです。

「9」という数字は少し馴染みがないかもしれませんが、これまで学んだmaj7やm7、sus4と同じように、ルート(根音)からの距離を表しています。
コードのサウンドを確認する前に、まずはこの「9」という数字が何を意味するのか見ていきましょう。

スケールに数字を振って覚え易くするという方法を以前ご紹介しました。

これまでは8までしか出てきませんでしたが、2回り目のメジャースケールも打ち込んで、数字を振っていきましょう。
例えばCメジャースケールだと以下のようになります。

このようにすると、「9」という数字がどの音を示すかがわかりますね。
ご覧の通り、Cメジャースケールの場合、「9」は「D」を指します。

そして、メジャー(トライアド)に9thをaddする(加える)と、add9(アドナインス)コードが出来上がります。
✳︎一般的に「メジャー・アドナインス」とはあまり呼ばれず、単に「アドナインス」と呼ばれます。

つまり、Cadd9の構成音はC,E,G,Dということですね。


アドナインスの響き

まずはadd9コードのサウンドを確認してみましょう。
コードの構成音を順にならした後に、コードが鳴ります。

メジャー(トライアド)のシンプルな明るさでもなく、メジャー・セブンスの切ない雰囲気でもない、透き通った印象を受けます。
非常にきれいな響きですね。


アドナインスの表記法と成り立ち

アドナインス、以下のように表記されることが多いです。

最も一般的なのは、以下のような表記方法です。

  • Cアド・ナインス= Cadd9
  • Fアド・ナインス= Fadd9

一方、Cadd2という表記も稀に見られます。
ピアノやギターなど、楽器でも違う場合があります。

数字に注目してみましょう。

2と9はオクターブ違いのDですね。
四和音のコードを学んだ際に、”逆転の発想”がありました。

同じ考え方で、9thの音をルートの全音上の音として覚えるのも良いでしょう。
ルートから遠いようで実は近いというイメージを持つことで、音を素早く見つけることができます。

また、2と9を別々のものとして捉える考え方もあります。


マイナー・アドナインス

せっかくなので、マイナーのアドナインスコードも覚えておきましょう。
addの前に小文字の“m”や“-”が付くことが多いです。

音を聴くとわかりますが、こちらはかなり切ない響きのコードです。
(コードの構成音を順に鳴らした後に、コードが鳴ります。)

アドナインスの構成

例として、Cadd9/Cmadd9コードの基本形を、譜面とピアノロールで確認しておきましょう。


覚え方は上述の通り、メジャー(マイナー)トライアド+M9thということになります。

※マイナーコードで、9th(M2nd)を使用する場合、m3rdは半音で隣接するため、響きが雰囲気に合わない場合は、オクターブ上の音を試してみてください。


アドナインスを使ってみる

では、アドナインスを実際に使用してみましょう。
共通の音を意識した使い方をしてみます。

  • Key=Cメジャー:Am7→G→Fadd9

この進行では、トップノートが共通音として綺麗に響き、流れもスムーズです。

  • Key=Cメジャー:Dm7→G7→Cadd9

II-V-I進行においてもアドナインスコードを組み込むことは非常に効果的で、なんとも後ろ髪を引かれるような終わり方を感じることができます。

さらに、メロディーの中で9thの音が目立つように使用されている場合に、add9のコードを使ってそのメロディーを強調することができます。
このテクニックは、楽曲分析の際にも非常に有効です。
メロディーとコード進行の関係性に注目してみてください。


記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh

伊藤 和馬

18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。

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