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楽曲クオリティがここまで変わる!「Waves Sync Vx」ボーカルタイミングを自動で最適化

ボーカル編集を劇的に効率化する最新ARAプラグイン

現代の音楽制作では多くの楽曲で「ハモリ」や「ダブリング」など複数のボーカルテイクが使用されることが一般的です。

同時にいくつものボーカルが重なっている場合、メインの歌声と重ねる歌声とのタイミングがずれていると、折角の良いテイクも魅力が半減してしまいます。

Wevesから新たにリリースされた「Sync Vx」は、従来では時間がかかっていた「ボーカルのタイミング合わせ」を自動で行うことができる革新的なARAプラグインです。

ここでは製品の実力と、詳しい使い方をビギナーの方でも分かりやすいよう解説していきます。

Waves Sync Vx 使い方動画



プラグインの読み込み方法

Sync Vxは「ARA」専用プラグインで、Cubaseや Studio Oneなど対応DAWでのみ動作します。
読み込み方法は通常のVSTやAudioUnitプラグインとは異なります。

CubaseでのSync Vx読み込み方法

合わせたいボーカルやハモリのイベントを複数選択し、「オーディオ」メニューから「エクステンション」を選択。表示されたリストから「Sync Vx」を選択します。

Studio OneでのSync Vx読み込み方法

Sync Vx - Studio One

合わせたいボーカルやハモリのイベントを複数選択し、「イベントFX」から「Sync Vx」を追加。

注意:Sync VxをDAWのプラグインスロットに通常のプラグインとして挿入しても機能しません。必ずARA拡張機能として読み込む必要があります。

リファレンストラックの設定

Syc Vx - Make Ref

まずは基準にしたいトラックの「MAKE REF」ボタンを押します。
処理が完了すると、画面中央のインジケーターが「IN SYNC」に変わり、この段階ですべてのトラックが自動的にリファレンストラックに合わせて調整されます。

Sync Vx - Bypass

「Bypassボタン」では一度にすべての補正効果を無効にできるので、Sync Vx適用前と適用後のサウンドを聴き比べてみましょう。

▶︎【A:Sync Vx適用前】【B:Sync Vx適用後】

このように手間をかけずとも自然な仕上がりが実現できるので、ビギナーの方であっても簡単にタイミングを揃えることができます。

タイミング補正強度の調整

Sync Vx - Time

初期状態では補正度合いが最大(100%)に設定されるので、人工的に感じられることもあります。
より自然な仕上がりを求める場合は、補正の強度を調整できます。

すべてのトラックで、補正強度を一括で調整する場合

Sync Vx - Time All

トップバーの「Time」ノブの値を下げることで、すべてのトラックの補正度合いを一括で調整できます。

トラックごとに個別で調整する場合

Sync Vx - Time Track

各トラックに表示される「Time」スライダーで、トラックごとの補正の強さを個別に設定できます。

例えば、掛け声などの「あえてタイミングを揃えたくないトラックでは値を下げておく」といった使い方ができます。

イベントごとに細かく調整する場合

Sync Vx - Time Event

イベントの先頭のメニュー(3つのドット)からは、各イベントごとでも補正の強さを変更できます。

Sync Vx - Time Event 2

DAW側でオーディオイベントを分割すると、リアルタイムで同期されるので、1つのトラックの中で場所ごとに細かく調整ができます。

手動での補正(Sync Markers)

自動でのタイミング合わせが思うような結果にならなかった場合は、手動で調整することもできます。

Sync Vx - SyncMarker

直したい箇所で右クリックし、「Create Sync Marker」からマーカーを作成します。
このマーカーを移動することで波形を動かし、タイミングを好きなポイントに合わせられます。

Sync Vx - SyncMarker Rnage

また、Sync Marker作成時に両側に表示される範囲は、タイミング移動を行った場所と、そうでない場所でサウンドが自然に繋がるよう補正される範囲を決めるものです

その他の高度な調整機能

複数のリファレンストラックの設定

Sync Vxではリファレンストラックを最大で4つまで設定でき、ボーカルトラックが多数使用された、より大規模なプロジェクトにも対応できます。

Sync Vx - Make Ref 2

新たにリファレンスとして設定する場合は、リファレンス選択ボタンをクリックし、「Make Ref >」内から選択・切り替えができます。

Sync Vx - Ref Follow

追従させるトラックを別のリファレンスに切り替える場合は、「Sync to」のリストから、リファレンスの指定を行います。

この操作を覚えておくことで、メインボーカルが途中からトラックが切り替わるようなプロジェクトでも、簡単に設定ができます。

部分的な補正の無効化

特定の範囲だけ補正を無効にする機能も用意されています。

Sync Vx - Bypass Selection4

範囲を指定後に、右クリックメニューから「Bypass Selection」を選択します。
無効後にもう一度メニューを表示させることで、無効化の解除も簡単に行えます。

タイムワープアルゴリズムの選択

タイミングが大きく補正された場合には、稀にサウンドの質感が崩れることがあります。
Sync Vx - Timewarp

そのような時には「TimeWarp」のモードを変更すると解決できることがあります。

ピッチ調整機能

Sync Vxはタイミングだけでなく、「ダブリング」など、同じ演奏を行なっているトラック間のピッチも揃えられます。

Sync Vx - Pitch_srcnn_anime_noise2

片側をリファレンスに設定し、もう一方を追従させて、ピッチのSyncを有効にするだけで、簡単に揃えることができます。
また、ピッチでもタイミング同様に、すべてのトラック、個別のトラック、イベントごとで補正の強度が調整できます。

ピッチとフォルマントの調整

Sync Vxにはタイミングやピッチを他トラックに合わせるだけではなく、単独のトラックでピッチや音質を調整する機能も備わっています。

Sync Vx - Transpose

  • Transpose:各トラックの下矢印や、イベントの終端で表示できる「Transpose」は半音ごとのピッチ移動ができます
  • Fine:より細かい単位でピッチが変更できます
  • Formant:ピッチを変更した時に声の質感が予想外に変わってしまった場合には、フォルマントで声色を調整できます

推奨動作環境について

対応DAW
  • Pro Tools 2024.10
  • Logic Pro 11 (Apple SiliconではRosettaモードでのみ対応)
  • Nuendo 13
  • Cubase 13, 14
  • Studio One Professional 6, 7
  • REAPER 7
  • Cakewalk Sonar 2024.11
Windows
  • OS:Windows 10 64 bit, Windows 11
  • CPU:Intel or AMD CPU
  • メモリ:16 GB RAM
Mac
  • OS :macOS Monterey 12, Ventura 13, Sonoma 14, Sequoia 15
  • CPU:Intel、Apple Siliconベースのプロセッサに関する注意点も参照してください。
  • メモリ:16 GB RAM

このようにSync Vxは、ボーカルのタイミング合わせを大幅に効率化する次世代のARAプラグインです。
自動補正機能から手動での細かい調整まで可能なため、初心者から上級者まで幅広いユーザーに役立ちます。
ARA対応DAWをお使いの方で、ボーカルの編集を行われている方は、ぜひお試しください!