Pro Tools 12 新機能_2 VCAマスターなど
ミキサー周辺の機能を中心に強化された Pro Tools 12.2
Pro Tools 12.2のアップデートでは、主にミキサー周辺の高度な機能がHDからNativeへと解放されました。
第二回目となる今回は、以下の内容を取り上げてまいります。
- より細かな設定が可能となったグループ機能
- VCAマスター機能
- その他(メータータイプの追加、キャッシュ機能)
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Protools 12 新機能_1 インプットモニター、Copy to Sendなど
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Pro Tools 12 新機能_3 トラックバウンス/コミットなど
より細かな設定が可能となったグループ機能
今回の記事のメインであるVCAマスターは、グループ設定が必須となります。
グループ機能自体も進化していますので、まずはそちらからご紹介します。
インサートやセンドのグループ操作が可能に
グループの変更画面を表示し、「属性」タブを選択すると以下のようなダイアログが表示されます。
インサートやセンドの項目が追加されており、各項目にチェックを入れることで、
グループ内の同列・同種インサート、あるいはセンドの操作を同期させることができます。
また、ダイアログ左下の「保存」ボタンからは、お好みの設定をプリセットとして
各番号ボタンに割り振っておくことができるようになりました。
グループのグローバル設定
「グローバル」タブをクリックすると、ダイアログ上部「グローバルに従う」にチェックを入れた場合に
適用される設定を編集できます。
また、「グローバルに従う」としたグループに対しては、ここでの操作により
一括変更をかけることが出来ます。
(反対に個別の属性を設定したい場合は、チェックを外します)
柔軟なボリューム操作を行える「VCAマスター」
Pro Tools 12.2以降、HDからNativeへ解放となったVCAマスター機能は、
1つのフェーダーで複数のフェーダーを一括で動かせるというものです。
今までのグループ機能とは違い、オートメーションが書かれたトラックについても、
その動きを保ちながら全体の音量を上下させることが出来ます。
一方で、AUXトラックのように音が通過するわけではないので、
インサートやセンドの処理を行うことはできません。
ボリューム調整に焦点を当てた、非常に強力なミックスツールと言えます。
VCAマスタートラックの作成
グループを作った後は、VCAマスタートラックを作成してきましょう。
通常のトラックと同じ要領で、上メニュー「トラック」>「新規」と進んで下のダイアログを出します。
12.2以降のバージョンなら、選べるトラック種別に「VCAマスター」という項目が増えているはずです。
そちらを選択すれば、VCAマスタートラックが作成されます。
※12.1以前でもVCAマスタートラックを作成できてしまうバグがあるようです。
作成したVCAはセッションを開いている間は使えますが、
保存して次に開く際に無効となります(2015年11月24日現在)。
VCAマスタートラックへのグループアサイン
VCAマスタートラック作成後、有効にするにはグループをアサインする必要があります。
通常のトラックでは出力を設定する部分に、グループを選択するボタンがありますので、
クリックしてグループ名を選択していきます。
グループアサイン後に、VCAのフェーダーを上下させれば、
そのグループのフェーダー(VCAスレーブと呼びます)が一斉に上下します。
また、編集ウインドウのオートメーションレーンには、
VCA調整分の青いラインが別途表示されます。
VCAマスターを動かした後に、スレーブ個々のフェーダーを動かすのも自由です。
グループのようにいちいち解除したり、Ctrlキーを押すといった必要はありません。
※VCAマスターにアサインされたグループでは、ボリュームやミュート、ソロといった項目の
同期機能がVCAマスタートラックに移行されるため、グループ機能としては無効となります。
VCAマスターのチェーン
VCAマスターはそれ自体をグループに入れることができます。
VCAマスターが入ったグループを、別のVCAマスターにアサインすれば、
VCAをチェーンさせることも可能です。
VCAマスターによるミュート、ソロ等の操作
VCAマスタートラックのミュートやソロボタンを押すと、
スレーブトラックの一括ミュート・ソロを行うことが出来ます。
レコードオンについては、先にスレーブ側でレコードオンを行っておいたもののみ、
一括オン・オフ操作を行うことができます。
インプットモニターも同様の手順となりますが、一括で行えるのはオフのみです。
その他の追加機能
- ゲインリダクションメーター
インサートにコンプレッサー等のダイナミクス系プラグインが入っている場合、
ミキサーの各トラックメーターに、ゲインリダクションメーターが表示されます。
これにより、プラグイン画面を立ち上げることなく、コンプレッションの具合を一覧することができます。
- メータータイプの追加
Pro Toolsでは、メーターを右クリックすることにより様々なメーター種別を選べますが、
12からはさらに選べるメーターが豊富になりました(リニア、RMS、PPM、K-xx等)。
Peak/RMS/Loudnessについて
- ディスクキャッシュ機能
ディスクキャッシュ機能が拡充され、Native版でも大容量のキャッシュ割当が行えるようになりました。
これにより、大規模プロジェクトでのオーディオ再生等をよりスムーズに行うことが出来ます。
キャッシュを大きく設定した場合、システム使用状況のメモリ使用量も大きくなります。
メモリ使用量の上にディスクキャッシュのメーターが追加され、
割当量に対する使用量をモニターすることが出来ます。
次回は引き続き、先日リリースされたPro Tools 12.3の新機能を取り上げる予定です。
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