いきものがかり「ありがとう」コードアナライズ_5 ピボット・コード
「ピボット・コード」について
いきものがかりの「ありがとう」のコードアナライズ第5弾です。
今回は、「ピボットコード」について解説いたします。
解説対象楽曲
解説動画
1_キーの判別方法
2_コード進行
3_ノン・ダイアトニックコードについて
4_ツー・ファイブ
5_ピボット・コード(当記事となります)
6_ダブルドミナントとサブドミナントマイナー
7_分数コード(オン・コード)について
転調の「軸」となるピボット・コード
「ありがとう」サビの中盤に出てくるBm7(♭5)は、
CメジャーキーのダイアトニックコードではVIIのコードですが、
これは単独で使われることは稀で、次に繋がるE7との関係性が重要です。
E7がAマイナーキーの「V(ドミナント)」と考えるとBm7(♭5)は「II(サブドミナント)」にあたり
前回お伝えした「ツー・ファイブ」の関係になっています。
続くAm7も、Cメジャーキーのダイアトニックコードにも含まれますが、
同時に、別のキーにも含まれる可能性を検討してみます。
直後のD7がドミナントになるキーを考えると、Gメジャーであることがわかります。
続くGメジャーコードが省略されていると考えると、D7がGメジャーキーの「V(ドミナント)」であり、
Am7は「II(サブドミナント)」にあたり、上記と同じく「ツー・ファイブ」の関係になっています。
前後の調で共通するコードを軸にして、転調(一時的な借用も含む)する方法がありますが、
この軸になる共通の和音を「ピボット・コード」といいます。
橋渡し役のコードで、鉄道路線の駅なら「乗り換え駅」というイメージです。
このようなピボット・コードを利用することで、前後の流れの中で極めて自然に、意識されないような転調(一時的な借用も含む)を演出することができます。
記事の担当 侘美 秀俊/Hidetoshi Takumi
武蔵野音楽大学卒業、映画/ドラマのサウンドトラック制作を中心に、数多くの音楽書を執筆。
オーケストレーションや、管弦楽器のアンサンブル作品も多い。初心者にやさしい「リズム早見表」がSNSで話題に。
北海道作曲家協会 理事/日本作曲家協議会 会員/大阪音楽大学ミュージッククリエーション専攻 特任准教授。
近年では、テレビ東京系列ドラマ「捨ててよ、安達さん。」「シジュウカラ」の音楽を担当するなど多方面で活躍中。
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