ドラゴンクエスト「おおぞらをとぶ」1. 楽曲の構成について
「おおぞらをとぶ」とは

エニックス(現スクウェア・エニックス)より発売された
 「ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…」において使用されたBGMの一つです。
作曲は、数々の名曲を世に送り出してきた「すぎやまこういち」氏。
 「おおぞらをとぶ」は、ドラゴンクエストシリーズの楽曲の中でも特に人気が高く、
 最近では、TOYOTAのハイブリッド車「AQUA」のTV-CMで耳にした方もいらっしゃるかもしれません。
原曲のFC(ファミリーコンピューター)版では、同時発音数が3(+ノイズ1)という制限の中、
 美しいメロディとアルペジオだけで雄大な世界観を表現していました。
 名曲のエッセンスというものは、シンプルな中にこそ存在すると言えるかもしれません。
というわけでこのシリーズでは、FC版の「おおぞらをとぶ」を忠実に再現し、解説していきます。
解説対象楽曲
解説動画
1. 楽曲の構成について(当記事となります)
 2. キー(調性)について
 3. コード進行について
 4. ベースラインに着目する
 5. 裏コードについて
 6. ベースライン・クリシェ
 7. ペダルポイント
 8. ピカルディ終止
楽曲構成について
ゲームのBGMとして、ループ再生できる構成になっています。
 ここでのループ区間は、16小節間です。
16小節間は、さらに8小節からなる、ほぼ同じフレーズが2回繰り返される構成ですが、
 (8小節のまとまりを「大楽節」といったりします)
 2回目の最後の1小節と2拍だけが、1回目と異なっています。
4小節のブロック(「小楽節」ともいいます)に区切って考えてみると、
 【A】→【B】→【A】→【B'】
 というメロディの構成になっています
曲中でのテンポの変化について
非常に特徴的なテンポチェンジが行われています
1回目の8小節間の終わりのフレーズから、2回目の8小節がはじまるつなぎ目のところです。
フレーズの8小節目3拍間で、rit.(リタルダンド)だんだん遅く
 8小節目4拍目で、molto rit.(モルト リタルダンド)非常に遅く
次の小節の2拍間で、accel.(アッチェレランド)だんだん速く
 3拍目から、a tempo(ア・テンポ)元のテンポで、
 次のフレーズの頭で、すぐにテンポを戻すのではなく、
 徐々にテンポを戻していくあたりの印象が、とてもクラシカルでユニークです。
記事の担当 侘美 秀俊/Hidetoshi Takumi

武蔵野音楽大学卒業、映画/ドラマのサウンドトラック制作を中心に、数多くの音楽書を執筆。
 オーケストレーションや、管弦楽器のアンサンブル作品も多い。初心者にやさしい「リズム早見表」がSNSで話題に。
 北海道作曲家協会 理事/日本作曲家協議会 会員/大阪音楽大学ミュージッククリエーション専攻 特任准教授。
 近年では、テレビ東京系列ドラマ「捨ててよ、安達さん。」「シジュウカラ」の音楽を担当するなど多方面で活躍中。
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