四和音のコード マイナーセブンス・フラットファイブ/音楽理論講座
不安定ながらゴージャスな響き「マイナーセブンス・フラットファイブ」
今回は、前項のドミナント・セブンスコードに引き続き、マイナーセブンス・フラットファイブについて学んでいきます。
このコードは、「ハーフ・ディミニッシュト」「ハーフ・ディミニッシュ」「ハーフ・ディミニッシュトセブンス」「ハーフ・ディミニッシュセブンス」などとも言います。
✳︎ただし、ディミニッシュセブンスとは別のコードなのでご注意ください。
マイナーセブンス・フラットファイブは、名前が長くなんだか難しそうに思えますね。
しかしながらこのコード、まさに名前のとおりで実はシンプルです。
まずは、Cマイナーセブンス・フラットファイブのサウンドを確認してみましょう。
コードの構成音を順に鳴らした後に、コードが鳴ります。
途中までは怪しい雰囲気でしたが、最後にまとめて聴いたときは不安定ながらゴージャス感のある響きにも聴こえますね。
マイナーセブンス・フラットファイブの表記
マイナーセブンス・フラットファイブは下記のように表記されることが多いです。
中でも一般的なものは以下の通りです。
- Cマイナーセブンス・フラットファイブなら= Cm7-5
- Dマイナーセブンス・フラットファイブなら= Dm7-5
次いで、「Cm7♭5」「Dm7♭5」のような表記も目にします。
マイナーセブンス・フラットファイブの基本形
Cm7-5を、譜面とピアノロールでそれぞれ確認してみましょう。
ここで何か気がつきませんか?
途中までディミニッシュ(トライアド)と同じですね。
そして、マイナーセブンスコードと似ています。
改めてコード名に注目してみましょう。
- “マイナーセブンス” “フラット” “ファイブ”
マイナーセブンスの”5″(ファイブ)が”♭”(フラット)しているとコード名から読み取れますね。
Cm7とCm7-5を比べてみると一目瞭然、マイナーセブンスコードとの違いはたった一つです。
ご覧いただいたとおりマイナーセブンスコードの基本形のP5thを半音下げ、dim5thにすることにより、マイナーセブンス・フラットファイブの基本形に変化させることができます。
簡単な覚え方として、以下の通りに捉えておくとよいでしょう。
- ディミニッシュ(トライアド)にm7thを足す
- あるいはコード名の通り、マイナーセブンスの”P5th”を半音下げる(”dim5th”にする)
マイナーセブンス・フラットファイブの音程は以下の通りです。
- インターバルで覚えるなら、R(ルート) m3rd dim5th m7th
- スケールディグリーで覚えるなら、1 b3 b5 b7
マイナーセブンス・フラットファイブのまとめ
今回の学習ポイントをまとめると下記の通りです。
- マイナーセブンス・フラットファイブは、不安定ながらゴージャス感のある響きを持つ
- ディミニッシュ(トライアド)にm7thを足したものと同じ構成音を持つ
- マイナーセブンスコードのP5thを半音下げ、dim5thにすることでマイナーセブンス・フラットファイブになる
- マイナーセブンス・フラットファイブの構成音は、R(ルート), m3rd, dim5th, m7th(1, ♭3, ♭5, ♭7)
3和音と4和音コードのまとめ
ここで、今まで出てきた3和音/4和音のコードをまとめて復習しておきましょう。
再度ご注目いただきたいのは、ディミニッシュ(トライアド)、マイナーセブンス・フラットファイブ共にトライトーンが含まれているという点です。
他にもたくさんコードはありますが、今回でひとまずコードの作り方は終わりです。
次回以降は伴奏などで使用するコードはどう選択していけばいいのか
という点に焦点を当てていきます。
これまでの項目で、楽曲のキーと使用するスケールの関係はご理解いただけたと思いますが、コードもそれと関連しますので、全ての知識が活かされてきます。
ぜひここまでを復習しながら進んで下さい。
記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。