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[保存版] コンプレッサーのタイプ別活用法

様々なコンプレッサーを使い分けてステップアップを図ろう

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ハードウェアをシミュレートしたコンプレッサーは、現在各プラグインメーカーから多数発売され、DAW環境においてもスタンダートとなりつつあります。
一方で、スタジオで実機に触れたことがないユーザーがそういったプラグインを使うケースも増え、「コンプの種類は色々あるけれど、どう違うのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、Slate Digital社「Virtual Mix Rack」「Virtual Bus Compressor」、Waves社「CLA-2A」を例として、コンプレッサーのタイプの違い、その活用法を解説していきます。

1_タイプ別コンプレッサー活用法 FET/VCA/真空管

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2_タイプ別コンプレッサー活用法 Optical

FETタイプ

FET

FETタイプのコンプレッサーの特徴は、何と言ってもそのアタックタイムの早さです。
様々なシーンで使用されるコンプですが、特に、音の立ち上がりが鋭いドラムやパーカッションなどの打楽器系でその効力を発揮します。

Fet_char

また、このタイプのコンプはスレッショルドがなく、インプットボリュームでコンプのかかりの深さを調整するのも特長です。
同じ1176系FETコンプレッサーの使い方として、こちらの記事もご参照ください。

Fet_Input

アタックタイムを早く設定できるため、他のコンプに比べ深めにコンプをかけることもできます。
積極的に音を作り込めるコンプといえるでしょう。

アタックやリリースの値でもかなりニュアンスが違ってくるので、音を出しながら楽曲に合うポイントを念入りに探すようにしてください。

VCAタイプ

VCA

VCAタイプのコンプレッサーは、ナチュラルな効き方をする点が特徴です。
主にマスターやバストラックなどに使用され、集められた音に自然な一体感や迫力を加える際に用いられます。

VCA_char

VCAタイプのコンプをバスに用いる際は、ゲインリダクションを-2db程度に留め、アタック遅め・リリース早めに設定するのが一般的です。
メイクアップは、リダクションされた分を補う程度ゲインを上げるように用いましょう。

VCA_setting
◆VCAをバスに適用した際の設定例

真空管(チューブ)タイプ

Tube

真空管(チューブ)タイプのコンプレッサーは、通すだけでも若干の倍音付加効果があるのが特徴です。結果的にカラッとした明るい音となり、抜けの良いサウンドとなります。

Tube_char

また、この「Fc-Mu」の様に、Fairchild 670系の真空管タイプコンプレッサーには、インプットとスレッショルドが別のツマミとして用意されているのも特長です。
この活用法としては、インプットの突っ込み具合で倍音付加効果(歪み)の強さを決めた上で、アウトプットで音量を調整し、インプット量に合わせてスレッショルドを調整する、という流れで操作すると良いでしょう。

Tube_flow

あえてコンプレッションを行わず、通すだけという、エフェクター的な使われ方もよくされています。
後編の動画でご紹介していますが、ボーカルにかけると、エンハンサー的な効果を得ることができます。

OPT(光学式)タイプ

Opt

OPT(光学式)コンプレッサーは、コンプの中でも最も原始的な方式を採っているタイプです。
大きな特徴として、アタックやリリースといったコンプに欠かせないパラメーターがありません。そして、固定値のアタックタイムは非常に遅いのですが、その遅さによってナチュラルなコンプ効果が得られるため、現在でも現役で使用されています。

Opt_char

使い方のコツとしては、あまり深くかけるとコンプがかかりっぱなしとなるため、-2〜-3db程度のゲインリダクションにとどめておくことでです。特にボーカル等のレベルを自然にそろえる際に、重宝します。

詳しい使い方は以下の記事にもまとめてありますので、ぜひご覧ください。

最後に、対照的な二つのタイプである、FETとOPTを比べてみましょう。

Opt_FET

OPTコンプを、試しに音の立ち上がりが鋭いスネアドラムに適用してみると、やはりアタックが遅すぎてFETのようなコンプ効果は得られません。コンプを深めにかけてもダメです。
やはりコンプの特性を踏まえた使い分けが必要という、いい例ですね。

慣れてくれば、この音、この用途にはこれ、といった具合に素早く判断できるようになります。
ぜひ、それぞれの特性を掴んで、使い分けられるようになって下さい。