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アフターコロナ(ウィズコロナ)でDTM業界は、どう変わる?

Author: sleepfreaks

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アフターコロナ(ウィズコロナ)でDTM業界は、どう変わる?ということで、いつものコンテンツの雰囲気とは少し感じが違うのですが、ビジネス視点でDTM(デスクトップミュージック)や音楽産業について語っていきたいと考えています。
様々な資料を集めてまとめていますので、最後までご覧いただければ幸いです。

YouTube生放送 動画

目次
  1. 1DTMユーザー数が急増?
  2. 2日本のDTMユーザー数は?
  3. 3新型コロナウイルス発生以前(ビフォーコロナ)の音楽市場は?
  4. 4新型コロナウイルスの影響で利用者が増えたサービス
  5. 5アンケート結果からDTMerや音楽リスナーを見る
  6. 6DTMでお金を稼ぐ際の注意点
  7. 7eラーニング(オンラインレッスン)の市場規模
  8. 8まとめ


DTMユーザー数が急増?

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新型コロナウイルスによる影響により、世界各国、様々な産業が大きな影響を受けていますが、DTM(デスクトップミュージック)業界も例外ではありません。
それは「ユーザー数の急増」です。この話を聞いて意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ところで、日本にはどれくらいのDTMer(DTMユーザー)がいるのでしょうか?

日本のDTMユーザー数は?

日本のDTMユーザー数を調べている資料というのは、ほとんど存在していないため、正確な数は「分からない」というのが正直なところです。
ユーザー数の話が出てくる場合、よく用いられるのが、2011年にヤマハ社がVocaloid3を発表した時の資料にある推測値です。

Number of DTM users in 2011

出典:ITmedia NEWS
  • DTM楽曲制作者:10万人(プロ:1万人)

2011年はこのくらいではないかと言われていたようです。
このまま話が終わってしまうと「ユーザー数の急増をどう説明するんだ」というお叱りの声が聞こえてきそうですので、どうか続きをお読みください。

Sleepfreaks-Media-Site-Number-of-contents

現在ご覧いただいているこのサイトは、DTMに関する情報に特化しており、記事数は3,000本超、動画数も1,100本以上公開しております。
そのため、毎日様々な方が、このウェブサイトへアクセスしてくださるため、昨年の同じ時期と比べてアクティブユーザー数やページビュー数が増加していることが分かります。

Sleepfreaks-Media-Site-MAU-PV-2020

ざっくりとした数字ですが、このように伸びていました。

  • MAU(月間アクティブユーザー数):20万人 → 32万人
  • PV(月間ページビュー数):74万PV → 120万PV

これは自宅にいる方が増えたことや、DTMメーカー各社が通常30日間のトライアル期間を60日間や90日間に延長したり、自粛期間中に様々な制作支援を行なっていたことも大きいと考えています。
この記事をご覧になっている方の中には、この機会にDTMを始めた方もいらっしゃるかもしれませんね。

さて、「アフターコロナ」を考える前に、新型コロナウイルス以前(ビフォーコロナ)の音楽市場はどうだったのかについて確認していきたいと思います。

新型コロナウイルス発生以前(ビフォーコロナ)の音楽市場は?

IFPI Global Music Report-2020

まずは世界の音楽市場から見ていきましょう。
IFPI(国際レコード連盟)の資料によると、2019年の全世界の売上高は202億ドル(日本円にすると約2兆1,700億円)のようです。
CDの売り上げからダウンロード、現在はストリーミング販売というのが世界の流れになっています。2019年では全体売上高の56.1%がストリーミングによるものとなっています。

では、日本の音楽市場はどうなっているのでしょうか?

Japanese-music-market-2010-2019

日本レコード協会の資料によると、日本の音楽市場全体の売上は伸び悩んでいるようです。
2019年は2,997億5,700万円で前年比98%と減少傾向にありました。また世界と比べると未だにオーディオレコード(CD)の売上に依存していることが分かります。
ストリーミングはどこにあるかというと、「音楽配信」という箇所で、棒グラフの一番下です。
また、この音楽配信はストリーミング以外に、ダウンロードなども含まれているため、次の画像で確認してみましょう。

Japanese-music-distribution-market-2010-2019

2010年は音楽配信の大半をダウンロードが占めていましたが、ここ数年はストリーミングが増えてきており、2019年の売上高は「465億円」で前年より33%増えています。
ようやく日本でもストリーミング市場が伸びていきそうですね。

日本ではCDが売れなくなってきたと言われた頃から、ある市場が盛り上がっていきました。「ライブ・エンタテインメント」です。

Japanese-live-entertainment-market-2009-2018

ぴあ総研の資料によると、2018年の音楽ライブの市場規模は「3,875億円」と右肩上がりに成長しています。今回の新型コロナウイルスによる影響は、まさにこの市場に大打撃を与えました。

Impact of covid-19 on Japanese live entertainment market

今年3月末に出された推測値によると、5月末まで現状維持の場合、年間市場規模「9,000億円」の37%、3,300億円も影響が出るようです。
年間市場規模「9,000億円」と書かれていますが、この中には「音楽コンサート・演劇・ミュージカル・スポーツ・その他のイベント」が含まれているため、先ほどの音楽ライブの市場規模「約4,000億円」の37%と考えると、1,500億円前後でしょうか。
すぐに大規模なライブを開催できるかどうかの判断は難しいため、今後もかなりの影響があるのは間違いありません。

さて、新型コロナウイルスによる影響は、全てのサービスにマイナスの影響を与えたわけではありませんでした。以下、簡単にまとめています。

新型コロナウイルスの影響で利用者が増えたサービス

Services popular due to the impact of COVID-19

通勤から在宅ワークへ切り替える会社が増えたことから、ZoomやSlack、ウェブカメラなどテレワークに関連するサービスや商品を利用・購入された方や、できる限り感染リスクを抑えるため、ECサイトやネットスーパーの利用など、人と会わない、接しないですむサービスを利用された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また「オンライン教育」や「オンライン診療」など「オンライン○○」という言葉を目にする機会が増えたように思います。緊急事態宣言が解除されたことで徐々に元の生活に戻りつつありますが、自粛期間中に便利だなと感じたものやサービスは、今後も利用しようとお考えの方も多いのではないでしょうか。

話が少し脱線してしまいましたが、ここから先は日本のDTMユーザーや音楽リスナーについて様々なアンケート結果を通して確認してみましょう。

アンケート結果からDTMerや音楽リスナーを見る

2020_DTM_User_Survey_Results

まず、弊社がDAWソフトランキングの調査を行った際、DTMユーザーを対象に行なったアンケート結果となります。
3,952人のうち2,030人(約51%)が音楽で収入を得ること目標にDTM(作曲)をされているようです。
この記事をご覧になっているDTMerの皆さんはどうでしょうか?

DTMでお金を得たいと考えるのであれば、お金を払ってくださる方々(音楽リスナー)の動向を知らないといけませんよね。

Media used by Japanese music listeners

上の画像は「2019年度音楽メディアユーザー実態調査」という資料から抜粋したものになるんですが、日本全国にいる12〜69歳の男女3,174人のアンケート結果となっています。
Q.この半年間に、音楽を楽しむために利用した商品やサービスは何ですか。あてはまるものをすべてお選びください。」という質問で、それに対する回答として驚くのは「YouTube」がどの世代でも強く支持されている点です。
10代に関しては、75.4%の方がYouTubeで音楽を聴いているようです。
50代や60代の方々は、テレビで音楽を聞くという回答が50%以上と最も多かったのですが、それでもYouTubeで聞くという方も40%以上と多いため、音楽を聞いてもらうことを考えるのであれば、「YouTube」は外せないメディアというのがこの調査結果で分かると思います。

またSpotifyやApple Musicなどの定額制音楽配信サービスの利用者は「20代」が一番多いようです。
自分がどのユーザー層をターゲットにしているのかで、どのメディアを利用すれば良いかという指針にもなるかと思いますので、資料をチェックしてみると良いかと思います。

Japanese spending on music

上の画像は、先ほどと同じ資料の「音楽への支出額」に関するアンケート結果です。
Q.この半年間に音楽関連の商品・サービスについてどの程度お金を使いましたか。あてはまるものをお選びください。」という質問で、上下していますが、2009年から考えると支出額は下がっていますよね。
2019年半年間の音楽への支出額は9,394円となっており、年間「約18,500円」でしょうか。支出額の中身については上位のものから「コンサート(ライブ)、グッズ、CD購入、音楽ビデオ、定額制音楽配信(ストリーミング)、カラオケ」という順になっています。
2019年はCD購入額が減少し、定額制音楽配信(ストリーミング)への支出額が増加しているのが分かりますね。

DTMでお金を稼ぐ際の注意点

Multiple sources of income

現時点(2020年5月29日)では、まだ新型コロナウイルスは終息したわけではありませんし、今後も経験したことがない災害が起きる可能性もありますので、リスクを分散するのも大切なことではないでしょうか。
現在、DTMを使って収入を得るには様々な方法があるため、何か新しいビジネスにチャレンジする良い機会かもしれません。

eラーニング(オンラインレッスン)の市場規模

Japanese e-learning market

上の画像は矢野経済研究所調べによる日本のeラーニング市場に関する調査となっています。2020年度の国内eラーニング市場規模は、前年度比4.5%増の2,460億円で新型コロナウイルス感染症の影響によって、遠隔教育(オンラインレッスン)の需要が高まると予測されています。

Sleepfreaks-DTM-online-lesson

弊社はDTMメディアサイト以外にオンラインDTMレッスン事業も行なっておりまして、これまでに2,000人以上の方々にオンラインでDTMレッスンを提供してきたわけですが、4月以降は体験レッスン数、お申し込み数ともに急増しています。

Online DTM teacher

もし人に何かを教えることが好き、向いている気がするという方は、DTMでお金を得る手段の1つとして「オンライン講師」を検討されるのも良いかもしれません。
オンライン講師やDTM講師が増えると市場全体も活性化されるため我々としても非常に嬉しいです。

まとめ

After-With-Covid-19-DTM-3

  • DTMユーザー数の急増
  • 日本でもCDから本格的にストリーミング時代へ
  • 楽曲の配信も含めて、ユーザー数の多いYouTubeは利用した方が良い
  • 新たな危機に備えて複数の収入源を確保しよう
  • オンラインレッスンは今後伸びる産業

この記事や動画が何かの参考になれば幸いです。最後までご覧いただき誠にありがとうございました。

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