セカンダリー・ドミナント② /音楽理論講座
セカンダリードミナントについて
前回は、「Fly Me to the Moon (In Other Words)」の前半部分を分析し、セカンダリードミナントを意識してみてみました。
まずはその音源を聴いてみましょう。
シンプルなコードのみの場合
まずはCメジャーキーのダイアトニックコードを、画像のように間隔を開けて用意します。
今回は3和音+1音の4和音で確認していきます。
まずは重要なVからIの解決の動きを確認します。
上図ではキーがCメジャーのみのため、G7→Cmaj7の動きです。
分かりやすいようにベースを加え、ボイシングを整えて聞いてみましょう。
V7→Imaj7の進行をV→Iにしてみました。
もちろんV7→Iなどでも構いません。
こちらの方が、明るく解決した感じが強いですね。
ご自身で曲を作る際は、楽曲やイメージに合わせて使い分けてみてください。
では次にV→Iという解決の動きを、他のダイアトニックコードにも当てはめていきましょう。
Cmaj7以外のダイアトニックコードを仮のIに見立て、それに対しVをつけていくイメージです。
このようになりました。
オレンジ文字が新たに加えたコードです。
分析の為、それぞれのコードにこのように数字を書いてみました。
✳︎注:スラッシュコード(オンコード)とは異なるのでご注意ください。
Fly Me to the Moonの譜面にも書き込んでみましょう。
✳︎黄色箇所の部分です。
読み方の一例として、V7/II ファイブセブンス・オブ・ツー つまり、IIのV7というイメージです
A7→Dm
A7→D
次に、それぞれのV→Iの動きを確認していきましょう。
「解決の動きをしている」ということを意識しながら、V7→I(4和音) V→I (3和音) V7→I(3和音)の順番で聴いてみます。
V7/II
A7→Dm7
A→Dm
A7→Dm
V7/III
B7→Em7
B→Em
B7→Em
V7/IV
C7→Fmaj7
C→F
C7→F
では次に左から5番目、最初の赤丸の箇所を確認して行きます。
V7/V
D7→G7
D→G
D7→G
Gに行った際には解決感を得られ違和感を感じなかったですが、G7に行った際に今までにない違和感を感じる方もいると思います。
もう一度確認してみましょう。
D7→G7
よく見てみるとドミナント7thから、ドミナント7thへの流れになっていますね。
こちらは次回詳しく触れていきたいと思います。
さて次は、音楽理論初級編の51〜53あたりでお馴染みの部分ですね。
V7/VI
E7→Am7
E→Am
E7→Am
では最後に、左から7番目の赤丸の箇所を確認して行きましょう。
F#7→Bm7b5
F#→Bdim
F#7→Bdim
いかがでしょうか。
5番目とは比べ物にならないくらいの違和感を感じたと思います。
この動きは稀にセカンダリードミナントとして説明されることもありますが、m7b5,dimは解決先のIとしては不安定すぎるため、基本的にVIIdim,VIIm7b5にセカンダリードミナントはないと考えることが多いです。
✳︎注:KeyCメジャー(C D E F G A B)で確認。
また他との違いとして、ルートの音がスケール外の音になっているという箇所にも注目です。
ダイアトニックコードが家族だとしたら、ルート音がスケール音のセカンダリードミナントは親戚のようなイメージ、スケールアウトしている青丸の箇所、遠い親戚?のようなイメージで覚えておきましょう。
次回は、今回の解説で説明出来なかった違和感を感じた箇所や、今まで出てきたコード進行にセカンダリードミナントを取り入れたアレンジなどを解説・実践していきます。
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記事の担当 伊藤 和馬/ Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。 バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
その技術を活かし、POPSから映像音楽まで、幅広い作曲活動を行っている。
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