キーを理解する/音楽理論講座
楽曲のキーを把握する
今回は音楽理論において、とても重要な概念の一つである「キー」について学びましょう。
キーを理解することによって、楽曲の中で使用できる音が明確になります。
メジャースケールと階名についてで少し触れましたが、さらに具体的にお伝えしていきます。
キーとは
カラオケで歌う際にメロディーが高すぎる、あるいは低すぎるため「キー変更」をされた経験はありませんか。
例えば、一般的に男性と女性では出しやすい声の高低に違いがあるため、異性の歌手が歌っている楽曲を原曲の高さで歌うことが難しいと感じて、変更されることは多いでしょう。
また、ご自身が作った楽曲を誰かに歌ってもらう際にも、その人に合った音高で歌ってもらうことはとても大切です。
音高が合っていないと感じた時に、楽曲制作者がキーを理解しているかどうかで対応力が変わってきます。
予期しない急な変更に直面した場合にも、キーの理解がスムーズな対処に繋がります。
キー(Key)とは、音楽における調性(トナリティ)を指す言葉です。
調性とは、楽曲自体が主にどの音を中心に構成されているかを表します。
また、キーは、日本語で「調」と言います。
まずは以下の音源を聴いてみてください。
Cメジャースケールの音のみを使用してメロディーを作成しました。
Cメジャースケールのメロディー
続いて、Cメジャースケールのみで作成したメロディーをカラオケのキー変更と同様に上げたものと下げたものを作成しましたので、聴いてみましょう。
キーを上げたもの
キーを下げたもの
音の高低は異なりますが、同じ曲に聴こえるかと思います。
この概念は、音楽理論講座2回目で解説したメジャースケールと深く関係しています。
Cを主音(メインの音)として、「全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音」の順に音を並べると、明るい雰囲気のCメジャースケールが出来ます。
Cメジャースケール
Cを主音とし、これらの音程を中心に使用すると、キーがCメジャーの曲、つまりCをメインとした明るい曲を作ることができます。
では、このキーを半音2つ分(+2)上げたものを見てみましょう。
メジャースケールのメロディー(キーCメジャー)
先ほどのメロディーのキーを上げたもの(キーDメジャー)
Dメジャーキーで使用される音程はDメジャースケールの構成音となりますが、変更後の違いは音の高低差であり、楽曲が持つメロディーラインの音同士の距離は変わりません。
もちろん、メロディーライン以外の楽曲を構成する1音1音が同様の条件で高低差のみ変更するため、変更前の楽曲の印象と大きく変わらず歌うことができるのです。
これがキーに対する基本的な考え方です。
今回の内容を理解するだけでも、音楽制作に置ける音楽理論がより身近なものになります。
次回は、このキーについての解説を引き続き行いながら、五度圏(サークル・オブ・フィフス)を見ていきます。
なお、補足として、sleep freaksの動画でキーに関する解説を紹介しています。
ご興味のある方は併せてご覧ください。
解説動画
記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。