ハーモニック・マイナースケールと、オーグメント・インターバル/音楽理論講座
新たなスケールの習得に向けて
今回は、第51回、第52回から登場した新たなスケールにもう少し踏み込んでみましょう。
以下の内容も必須となりますので、復習しておいてください。
第14回 トライトーンとオーグメント
https://sleepfreaks-dtm.com/music-theory-beginner/tri-tone_aug/
第27回 音名の相対表記(Scale degree names)
https://sleepfreaks-dtm.com/music-theory-beginner/scale_degree_names/
第49回 音名の相対表記(Scale degree names)ナチュラル・マイナー編
https://sleepfreaks-dtm.com/music-theory-beginner/scale-degree-names-nm/
ハーモニック・マイナースケール
この新たなスケールは、いわゆる、半音上のトニックに導く役割を持っている、リーディング・トーン(導音)(7)にすることで、出来上がったスケールでしたね。
ではこの新たなスケールの名前を見ていきましょう。
このスケールは「ハーモニック・マイナースケール(=和声的短音階)」と言われます。
(ナチュラル)・マイナースケールは日本語で、(自然的)短音階でした。
メジャースケール同様、人間の感覚から”自然的”に生まれたから、でしょうか。
(ハーモニック)・マイナースケール=(和声的)短音階とあります。
この名称は、ハーモニック・マイナースケールでダイアトニックコードを作成した時に出来上がる、リーディング・トーンやトライトーンを含んだ5番目のコード(=V,V7)が関係しています。
❇︎全てトニック、サブドミナント,ドミナント上に出来上がるコードですので、T,SD(S),Dのみで表記する場合もあります。
これにより、悲しい、またはクールな雰囲気の曲の中に、メジャー同様の緊張感や不安定感から安定感へ落ち着く流れ(=強い解決感)を得ることがでました。
- Key=Cマイナー
Im→V→Im
Cm→G→Cm
Im→V7→Im
Cm→G7→Cm
このファンクション(機能和声)を意識した、機能”和声的”終始感が強まることが、人工的に作られたスケール、(ハーモニック)・マイナースケール=(和声的)短音階の由来とされています。
Harmonicの意味も、「調和の/和声の/調和的な」とあるように、そのキーをはっきりさせる、支配的な、強いドミナントを生み出すために作られたイメージですね。
ハーモニック・マイナーのスケールディグリー
ここまで出てきたスケールのスケールディグリーを確認していきましょう。
数字を振って覚える利点は、すべてのメジャースケールさえわかれば、あとはその数字に合わせて変更するだけで、目的のスケールにたどり着けるという事でした。
第7回
https://sleepfreaks-dtm.com/music-theory-beginner/minor-scale/
第27回
https://sleepfreaks-dtm.com/music-theory-beginner/scale_degree_names/
メジャースケールに数字を振った場合を
1 2 3 4 5 6 7 (8)
とすると
ナチュラル・マイナースケールは
1 2 b3 4 5 b6 b7 (8)
メジャースケールの数字を基と考えた場合、ハーモニックマイナースケールはb7が半音上がり7に戻るので(「#7」ではないので)ご注意ください。
最初の画像のように、1 2 b3 4 5 b6 7 8ですね。
ハーモニック・マイナースケールの問題点
今まで2種類のマイナースケールを学んできました。
残りのもう一つを学ぶ前に、ハーモニック・マイナースケールの問題点を確認しておきしょう。
❇︎問題が沢山存在するから使えないとか、どれが優れているかといった議論ではなく、現在ではそれぞれ使い分けられています。下記で紹介する”動き、インターバル”を使用している曲も存在します。
ナチュラル・マイナースケールの問題点は、半音上のトニックに導く役割を持っている、リーディング・トーン(導音)がないため、解決が弱いというところでした。
ではハーモニック・マイナースケールの問題点とはなんでしょうか。
このようなフレーズでは特に問題は感じませんね。
第51回目の記事で「新たに出来上がったスケールは、b6と7の間に”独特の雰囲気”がありますね」と言っておきました。意識しつつ、改めて聞いてみましょう。
- Cハーモニック・マイナースケール
C D Eb F G Ab B (C)
1 2 b3 4 5 b6 7 (8)
b6と7の間にエスニック、アラビアの雰囲気も感じますね。
実際に中近東の音楽では、”マカーム”という音楽用語があり、この間の動きが重要だそうですが、一般的な西洋音楽ではこちらがあまり良い動きではなかったみたいですね。

いわゆる、今までのスケールにはなかった「オーグメント2nd(=増2度音程)」が、原因ですね。
今は、「確かにここはエスニックな雰囲気が出ているし、今までのスケールにはなかったインターバルがある」という意識だけで大丈夫です。
次回は、またマイナーダイアトニックコードの使い方に戻ります。
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記事の担当 伊藤 和馬/ Kazuma Itoh
18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。 バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
その技術を活かし、POPSから映像音楽まで、幅広い作曲活動を行っている。