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DTMer・音楽クリエイターのための著作権法 ② 作家事務所・音楽出版社・著作権管理事業者(JASRAC / NexTone)について

書籍発売記念インタビュー

DTMer・音楽クリエイターのための著作権法、第2回となります。
今回は、作家事務所や音楽出版社との契約、また著作権管理事業者(JASRACやNexTone)についてなど、既に作曲家やアレンジャーとして活動されている方にも知っていただきたい内容となっています。

なおこの企画は、作曲家としても活動されている弁護士の高木啓成さんが、著書「弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール」を出版されたことを記念し、インタビューを行わせていただいたものです。
本記事では内容のポイントを掲載しておりますが、ぜひインタビュー動画も併せてご覧ください。

今回の流れは以下の通りです。

  1. 1作家事務所との契約について(マネジメント契約書)
  2. 2音楽出版社との契約について(著作権契約書)
  3. 3著作権管理事業者(JASRAC/NexTone)について
  4. 4JASRACの信託者になるメリット/デメリット

DTMer・音楽クリエイターのための著作権法 ②作家事務所・音楽出版社・著作権管理事業者について 動画

書籍のご購入

作家事務所との契約について(マネジメント契約書))

作家事務所は、イメージ的には、タレントさんにタレント事務所があるように、作詞家・作曲家やトラックメイカーをマネジメントする事務所です。
「うちにはこんないい作曲家がいるので、曲を書きますよ」というように営業して仕事をとってくるのが本来の仕事ですが、最近はコンペ情報を作家に共有したり、コンペの提出曲を取りまとめたりするのも重要な業務になっています。

作家事務所

契約の形態としては、大きく分けて「専属契約」「非専属契約」の2パターンがあります。

専属・非専属

ただ、「専属」「非専属」と言っても、所属形態は様々なので、実際に作家事務所と契約書を締結する際には、具体的に、「個人的に仕事を受けることができるのか」など、確認しておく必要があります。

加えて、契約で重要なところは「マネジメント手数料」です。
「8:2」(作家が8、事務所が2)だったり、「7:3」だったり、事務所によって違います。データがあるわけではありませんが、一番多いのは「7:3」という印象です。

マネジメント手数料

その他に、作家事務所との契約では、「楽曲の著作権の取扱い」「契約期間」など、注意しておくべきポイントがあります。

音楽出版社との契約について(著作権契約書)

音楽出版社とは、ざっくりいうと、楽曲のプロモーションをする会社というイメージです。
あるレコード会社からCDがリリースされるときは、そのレコード会社の関連会社が音楽出版社として入ってくることが多いですし、テレビドラマのタイアップなどがあれば、通常、そのテレビ局の関連会社の音楽出版社が入ってきます。

音楽出版社

作家は、CDリリースが決まると、音楽出版社に著作権を譲渡します。そして、音楽出版社がJASRACやNexToneに著作権の管理を委託する形です。

著作権譲渡

音楽出版社に著作権を譲渡するときは、MPAフォーマットという定型の「著作権契約書」が利用されることが多いです。

著作権管理事業者(JASRAC/NexTone)について

本来、作詞・作曲を行った作家は、その曲の「著作権」をもっているので、「勝手にテレビで使うな、カラオケで歌うな」という権利もありますし、「使うなら著作権使用料をください」ということが言えるわけですが、それを自身でやるのは現実的ではありません。

著作権管理

そこで、著作権管理のプロであるJASRACやNexToneに著作権の管理を任せるわけです。
上述の通り、音楽ビジネス上は、まず作家が音楽出版社に著作権を譲渡して、音楽出版社がJASRACやNexToneに著作権の管理を委託する流れになります。

JASRACの信託者になるメリット/デメリット

作家は、JASRACと直接契約して、「信託者」になることができます。

JASRAC信託者になるメリット

たとえば、YouTubeなどに楽曲をどんどんアップロードして活動しているクリエイターの場合、その曲がバズったとき、きちんとJASRACから著作権使用料をもらえます。JASRACはYouTubeからも著作権使用料を徴収しているので、再生回数に応じて著作権使用料の分配を受けることができるわけです。

信託メリット_1

また、メジャーからリリースされる場合は音楽出版社経由でJASRACに著作権を管理してもらうのですが、そのうちの演奏権使用料(コンサートやカラオケ、放送・インターネットなどの使用料)は、音楽出版社経由ではなくて、JASRACから直接受け取ることができます。インターネット上で、分配の詳細データ(たとえば放送なら、どの番組で使われた等のデータ)も見ることができます。

信託メリット_2

その他、海外で自分の曲が使用された場合に演奏権使用料を得るためには、JASRACの信託者であることが必要です。

JASRAC信託者になるデメリット

JASRACとの契約上、JASRACの信託者になると、自分が作った音楽作品は、すべてJASRAC管理となります。
そのため、気軽に地下アイドルのプロダクションやゲーム会社などに「著作権譲渡」ができなくなり、いわゆる「買取案件」を受けることができなくなります(音楽出版社への著作権譲渡は可能です)。

信託デメリット

また、自分が作った作品を自分で利用する場合も、基本的には、JASRACの手続が必要になります。
例外として、JASRACと包括契約しているSNS等を利用する場合は、手続きは必要ありません。
たとえばYouTubeにアップロードする場合やSpotifyで配信する場合などは、YouTubeやSpotifyがJASRACと包括契約しているので問題ありません。JASRACと包括契約をしていないTwitter等で自分の曲をアップロードする場合は手続が必要になります。



著書「弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール」では、ここに掲載されている内容についてさらに詳しく解説しています。



次回は、実際にCDが売れたら作家にはいくら入ってくるのかなど、著作権とお金の流れについてについて解説します。
どうぞお楽しみに!

【特別講師】高木 啓成 弁護士

高木啓成

高木 啓成/Hironori Takaki
弁護士・作曲家
音楽・動画関連企業、ゲーム会社、タレント事務所、デザイン事務所などをクライアントとし、著作権法を中心とするエンターテイメント法務を取り扱う。
「Just a moment」HKT48 作曲
「憧れで終わらせるな」桃色革命 作詞・作曲・編曲
「恋は溶けてくIceCream」桃色革命 作曲・編曲
その他、多数


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渋谷カケル法律事務所 : https://shibuyakakeru.com/