DTMer・音楽クリエイターのための著作権法 ③ 著作権とお金
DTMクリエイターや音楽制作者にとって、著作権の知識は収入に直結する重要な要素です。この記事では、弁護士であり作曲家でもある高木啓成氏が、著作権とお金の流れを詳しく解説しています。JASRAC、音楽出版社、作家事務所といった複数の組織を通じてお金が分配される仕組みや、実際にCDが1万枚売れた場合の具体的な収入シミュレーションを紹介。メジャーレーベルからのリリースでも、各段階での手数料差引により、最終的に作家の手元に入る金額は想像より少ないという現実を理解することで、DTMerは適切なビジネス戦略を立てることができます。
書籍発売記念インタビュー
DTMer・音楽クリエイターのための著作権法、第3回となります。
今回は、著作権とお金に関する内容です。実際にCD売り上げで、どれだけ作家の手元に入ってくるかをシミュレーションしていますので、ぜひ最後までご覧ください。
なおこの企画は、作曲家としても活動されている弁護士の高木啓成さんが、著書「弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール」を出版されたことを記念し、インタビューを行わせていただいたものです。
本記事では内容のポイントを掲載しておりますが、ぜひインタビュー動画も併せてご覧ください。
今回の流れは以下の通りです。
DTMer・音楽クリエイターのための著作権法 ③著作権とお金 動画
YouTube動画への質問と回答の抜粋
うーん?やはり、『譲渡』という言葉のイメージは、私個人的には『権利を完全に相手に譲ってしまう』というイメージがあるのですが、一般的にはどうでしょう? ここでの説明は、音楽出版社はJASRACに『管理を委託』ではないのかな? または弁護士用語で『譲渡』って言い方になるのかしら?
第1回目の動画でも同様のご質問がございましたが、以下回答となります。 JASRACは、管理委託の方式として著作権譲渡(正確には「信託譲渡」) を取っています。だからこそ、自ら著作権者として無断利用者等に対し 訴訟などの措置が可能となります。 これに対して、NexToneは、管理委託の方式として委任を取っています。
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著作権とお金の流れ
前回のおさらいですが、まず著作権の流れを確認しておきましょう。
まず、楽曲を作った作詞家・作曲家(作家)が著作権をもちます。そして、作家から音楽出版社に著作権が譲渡され、それから、JASRACに譲渡されて、JASRACが著作権者として著作権を管理することになります。
ちなみに、下の図のように、作家事務所によっては、作家から音楽出版社に直接に著作権譲渡されるのではなく、作家事務所を経由する形にしているところもあります。

お金の流れは、その逆ですね。
JASRACがレコード会社や放送局やカラオケ店、ライブハウスなどから著作権使用料を徴収して、管理手数料を差し引いて、音楽出版社に支払って、音楽出版社は自分の取り分を取得して、残額を作家側に支払います。
この場合、作家に直接支払うことはあまりなく、作家事務所に支払う形にしていることがほとんどだと思います(例外もあります)。

CDリリースによるクリエイターの収入シミュレーション
メジャーレーベルからCDがリリースされた場合でシミュレーションしましょう。
たとえば、この図のように、ブタが作詞、クマが作曲した曲が、2曲あるとします。ブタもクマもA事務所という作家事務所に所属しています。この2曲にはB出版という音楽出版社が入り、Cレコードというレコード会社からリリースされました。2曲入り1,000円のシングルで、1万枚が製造・出荷されたという前提です。

まず、Cレコードは、ブタとクマが作詞・作曲した楽曲を利用してCDを製造するので、JASRACに著作権使用料を支払わなければなりません。
レコード会社は原盤権は管理していますが、著作権者ではないので、JASRACにお金を支払わなければならない立場なのです。

著作権使用料の金額は、原則は、「CDの定価×6%×製造枚数」なのですが、大手レコード会社の場合、減免措置があって、「CDの定価×6%×出庫枚数×75%」と考えていただければと思います。今回の例だと、CレコードはJASRACに450,000円支払うということになります。

この45万円うち、JASRACが管理手数料6%=27,000円を取得して、残りの423,000円をB出版に分配します。

音楽出版社の取り分は、33%〜50%の範囲ですが、50%になっていることが多いです。ここでは50%の211,500円としておきましょう。残りの50%、つまり211,500円が、作家事務所であるA事務所に支払われます。

作家事務所のマネジメント手数料は、20%〜30%が多いです。今回は20%としておきましょう。つまり42,300円ですね。
211,500円から42,300円を引いた、残りの169,200円が作家の取り分になります。ブタ・クマはそれぞれ84,600円ずつを受け取ることになります。

「思ったより少ない」と思われた方も多いかもしれませんね。
3回に渡ってお送りしてきた、「DTMer、音楽クリエイターのための著作権法」シリーズはこれで終了となります。
著書「弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール」では、ここに掲載されている内容についてさらに詳しく解説していますので、ご興味のある方はぜひお読みください!
【特別講師】高木 啓成 弁護士

高木 啓成/Hironori Takaki
弁護士・作曲家
音楽・動画関連企業、ゲーム会社、タレント事務所、デザイン事務所などをクライアントとし、著作権法を中心とするエンターテイメント法務を取り扱う。
「Just a moment」HKT48 作曲
「憧れで終わらせるな」桃色革命 作詞・作曲・編曲
「恋は溶けてくIceCream」桃色革命 作曲・編曲
その他、多数
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渋谷カケル法律事務所 : https://shibuyakakeru.com/
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— SLEEP FREAKS (@SLEEPFREAKS_DTM) February 28, 2021
よくある質問
Q1. CDが1万枚売れた場合、作曲家には実際にいくら入りますか?
記事の例では、1,000円のシングルで1万枚が出荷された場合、作曲家は約8万4,600円を受け取ります。これはJASRAC手数料、音楽出版社の取分、作家事務所のマネジメント手数料を差し引いた金額です。
Q2. なぜ著作権使用料はJASRACを経由して支払われるのですか?
JASRACは著作権を集中管理する団体で、レコード会社や放送局などから著作権使用料を徴収し、著作権者に分配する役割を担っています。これにより個別の交渉が不要になり、効率的な管理が実現されています。
Q3. 音楽出版社と作家事務所の手数料はどれくらい差し引かれますか?
音楽出版社は33~50%の取分を得ることが多く、作家事務所は20~30%のマネジメント手数料を徴収します。記事の例では、それぞれ50%と20%で計算されており、こうした中間マージンが作家の最終手取額に大きく影響します。








