楽器店員がオススメする DTMのためのモニターヘッドホン/イヤホン 5選
モニターヘッドホン/イヤホンを使う意味
今回はサウンドの色付けを取り払い、素直なサウンドをモニタリングできる製品を厳選して紹介していきます。
通常、ヘッドホン/イヤホンは音楽を華やかに聴かせるためにサウンドへ色付けされています。
この点が音楽制作/ミキシングを行う際に弊害になることも少なくありません。
最適なヘッドホン/イヤホンを使用することで、各トラックの定位・音像・音量バランスなど、音楽にとって重要な部分が鮮明に聴こえるようになり、的確な編集を行うことができる可能性が高くなります。
その結果、作品の世界観や意図を第三者に伝えやすくなるというメリットがあります。
それでは製品のご紹介へ入っていきます。
SONY MDR900ST
モニターヘッドホンとなった際に、まず候補に挙がる定番機種 SONY「MDR900ST」です。
どのスタジオにも置いてあり、多くの人に長年愛されているヘッドホンです。
特徴は中高域がとてもモニタリングしやすく作られており、レコーディング時など、テイクの粗探しに向いています。
装着時の締め付けが少ないため長時間使用するという場合にも活躍します。
この締め付け感が少ない為に、低域が聴こえにくい場合が多々あります。
そのため、低域をより重視する方には他機種をオススメします。
業界標準の製品となりますので、1台持っていても損はありません。
主に歌録りや楽器録りをする方にオススメです。
SONY MDR-EX800ST
次にご紹介するのがSONYの「MDR-EX800ST」です。
MDR-900ST同様に、ソニーが注力して制作を行ったモニターイヤホンです。
カナルインナーイヤー型というタイプが採用されており、耳の中にしっかりと装着できる為、低域が逃げる事がありません。
サウンドの特徴として中高域がMDR900STと同じように綺麗になると共に、低域もバランスよくモニター出来るようになっています。
様々な耳の形に合うようにイヤーピースも「S/M/L」の3サイズが付属します。
これらの持ち運びに重宝するキャリングケースも付いてきます。
また、イヤホンという特性から髪型をセットしている方も気兼ねなく使用できます。
歌録りから楽器録り、そして音楽制作にもオススメの機種です。
Audio-Technica M50x
次にご紹介するのがAudio-Technicaの「M50x」です。
海外でとても評価の高いモニターヘッドホンとなっています。
しっかりとしたボディーとは裏腹に、とてもコンパクトに折りたたむことができるため持ち運びも適しています。
また、90度反転にも対応しており、DJ用のヘッドホンとしてもお使いいただけます。
サウンドの特徴として中高域が綺麗に鳴るのはもちろん、低域がとてもモニタリングしやすい機種となっています。
装着した時の締め付けもありますので、低域を逃さずに音楽制作や録音に没頭する事が出来ます。
付属品も抜かりが無く、1.2mのカールコード、1.2mのストレートコード、3mのストレートコードが付属する等。
様々な環境に応じてコードを付け替える事が出来ます。
持ち運び用のポーチも付属しています。
コードの付け替えが出来る為、断線などが発生した場合も、ケーブルのみ購入してすぐに使用できるという点もポイントが高いです。
低域をしっかりとモニタリングできるため、打ち込み系から歌録り、楽器録音からミックスまで幅広い用途でオススメしたい製品です。
AUDIOFLY AF120
次にご紹介するのはAUDIOFLY「AF120」です。
当機種はカナル型インナーイヤー型モニターイヤホンとなります。
特徴はイヤホンとは思えないほど音の臨場感が広い点です。
どこでどの楽器が鳴っているかという定位や、音像を鮮明にモニタリング可能です。
また、ダイナミックドライバーとバランスドアーマチュアードライバーのハイブリットタイプが採用されているため、低域から高域までバランスよく鳴らす事が可能となっています。
キャリングケースが付属するのはもちろん、様々なイヤーピースが付属するため、ご自身の好みに合わせて使用が可能です。
ケーブルが着脱式になっているので断線した際の修理や交換も容易に行えます。
✴︎MMCXと呼ばれる定番の着脱式規格を採用していますが、ケーブルによってはうまくはまらない場合があります。
ケーブルを買い替える際にはショップの店員さんにご確認いただくことをオススメします。
打ち込みやミックス、マスタリングを中心として作業される方にオススメの機種となります。
Beyerdynamic DT1770PRO
最後にご紹介するのはBeyerdynamic 「DT1770 PRO」です。
当機種はとても高価なモニターヘッドホンの部類に入ります。
Beyerdynamic社のテスラ2.0ドライバーを搭載し、圧倒的な情報量と再現能力を誇っています。
本体サイズが大きいため、持ち運びは向いていませんが、専用のケースが付属しています。
サウンドの特徴は、どこでどの楽器が鳴っているのかがとても分かりやすく、リバーブ/ディレイなどの残響音に到るまでしっかりと把握できる情報量を持ち合わせています。
装着時の締め付けはそれほど強くはありませんが、重量があるため長時間の使用は疲れてしまうかもしれません。
しかし、それをカバーするだけの圧倒的な情報量がありますので、最終的なミックスやマスタリング、録音の際にも大活躍します。
どんな細かな音も聞き逃さずに徹底的にモニタリングしたい。という方にオススメの機種です。
モニターヘッドホンのメリットと注意点
モニターヘッドホンのメリットは広い音場をモニタリング出来る点です。
しかし、裏で薄く鳴っているようなサウンドをモニタリングするにはある程度の慣れが必要になってきます。
また、締め付けが強いタイプを長時間使用する際には頭が痛くなってしまうので注意が必要です。
高い耐久性と広い音場はとても魅力的ですね。
モニターイヤホンのメリットと注意点
モニターイヤホンのメリットとしては細かい音をモニタリングしやすい点です。
スマホ等と併せて使用しやすいため、普段聴いている音源を改めてモニターイヤホンで聴くことによって、様々な発見があります。
また、持ち運びにも向いていますので、機動性が高いというメリットもあります。
しかし、モニターヘッドホンと比べて音場が場合が多いため、どこでどの楽器が鳴っているのかを判別できるようになるまでには時間が必要になります。
開放型と密閉型のヘッドホンの違い
ヘッドホンには大きく分けて2つのタイプがあります。
高域のモニタリングが行いやすい開放型
中低域のモニタリングが行いやすい密閉型です。
どちらが良いという優劣はつけ難いのですが、高価なラインナップではどちらのタイプも用意されていることが多いです。
もし、視聴の機会があるようでしたら、購入前には両方を聞き比べていただき、好みのタイプをご選択ください。
どちらもヘッドホンに慣れる事が必要になります。
慣れてしまえばどちらのタイプでも問題なく制作が進められるでしょう。
ダイナミックドライバーとバランスドアーマチュアードライバーの違い
各イヤホン製品にはどのドライバーを搭載しているかという記載が多いです。
ダイナミックドライバーは低域の再生能力に秀でており、安価なイヤホンに使用される事が多いドライバーです。
それに対し、バランスドアーマチュアードライバーは中高域の再生能力に長けています。
高価なモニターイヤホンほどバランスドアーマチュアードライバーが採用されているモデルが多く、1つのイヤホンにドライバーが3つ4つ搭載されていることも珍しくありません。
これは各ドライバーへ高域、中高域、中域というような役割分担をさせ、より音場を広く、臨場感があるサウンドを実現するためです。
しかし、ダイナミックドライバーのような情報量の多い低域の再現は苦手な場合が多いです。
最近ではこの問題を解決すべく、ダイナミックドライバーとバランスドアーマチュアードライバーを併せて搭載したモデルもリリースされています。
お互いのドライバーの良さを生かしつつ、よりイヤホンで高音質なモニタリングが出来るようになっています。
いかがでしたでしょうか?
今回はオススメのモニターイヤホン/ヘッドホンをご紹介してきました。
各メーカー毎に重視するポイントが異なるため、可能な場合はお店でご試聴した後にご購入することをオススメします。
それでは次回もお楽しみに〜!
記事の担当
be-bee(伊藤瞬/Ito Shun)
1987年生まれ。Logic Pro x・Ableton liveユーザー。
アメリカ留学から帰国後、音楽学校を卒業。作曲家デビューをする。
EDMやPOPSを中心に作編曲しながら、エンジニア業もこなす。
Twitter ID : @bebee330
Instagram ID : https://www.instagram.com/bu_e_bu/
YouTubeチャンネル : https://www.youtube.com/user/murmur330