楽器店員がオススメするDTMのためのダイナミック/コンデンサーマイク5選
録音専用のマイクを導入するメリット
最近は、ノートパソコンやスマートフォンのマイクを使用して仮歌や楽曲を制作する方も増えています。
気軽に使用する事ができてとても便利ではあるのですが、どうしてもノイズが乗ってしまい楽曲全体のイメージを損なってしまうというケースが多く見受けられます。
これを防ぎつつハイクオリティなサウンドでレコーディングを行う場合にはダイナミックマイクやコンデンサーマイクが必要になってきます。
今回はボーカルレコーディングに向いているマイク5選をご紹介していきます。
マイクのご紹介に入る前にマイクを選択する上で重要項目となるダイナミック/コンデンサーの違いを確認しておきましょう。
ダイナミックマイクの特徴
ダイナミックマイクの特徴として、まず丈夫である事が挙げられます。
これはマイクの特性上、手にとって使われることを想定されている為に堅牢なタイプが多いです。
しかし、ダイナミックマイクは全体的に感度が低い傾向があります。
つまり、ダイナミックマイクを使用する際は口をマイクに出来るだけ近づけて歌う必要があります。
コンデンサーマイクと比べて比較的価格が抑えられている為、購入のハードルは低くなります。
コンデンサーマイクの特徴
コンデンサーマイクの特徴として、繊細な音を拾える点が挙げられます。
その特徴からプロの現場ではコンデンサーマイクをメインとして扱う事が多いです。
しかし、コンデンサーマイクは振動や湿気に弱く、使用後は乾燥した場所で保管しないと錆びてしまいノイズが発生する原因となってしまいます。
また、使用する為にはファンタム電源という電源が必要になり、オーディオインターフェイスで使用する際にはこれをONにしないとマイクが正常に機能しない為注意が必要です。
最近の多くのオーディオインターフェイスのは「48V」と記載されたファンタム電源が搭載されているのですが、価格帯によっては搭載されていないモデルもありますので、購入前にお手元にあるオーディオインターフェイスをご確認の上でご検討ください。
オーディオインターフェイス選びの注意点として動画を作成していますので、ご活用いただけますと幸いです。
オーディオインターフェイス選びに関して
また、コンデンサーマイクを使用する際にはキャノンケーブルと呼ばれるケーブルでないとファンタム電源をマイクに送電する事が出来ませんのでご注意ください。
扱いも難しく、ダイナミックマイクと比べて比較的高価なコンデンサーマイクですが、サウンドは格別であり、普段聴いている市販楽曲の様なボーカルサウンドを実現することができます。
それではマイク5選をご紹介へ入っていきます。
SHURE SM58
最初にご紹介していくのはSHUREのダイナミックマイク「SM58」です。
このマイクは通称「ゴッパー」と呼ばれ、スタジオやライブハウスに必ずと言っていいほど常備されている定番マイクです。
イベントなどに便利なスイッチ式のタイプも販売されています。
プロからアマチュアまで多くの方に愛用されており、
その理由としてハウリングしにくいという点とハンドリングノイズが少ないといった特徴が挙げられます。
主にライブハウスでのメリットになるのですが、ハウリングしにくいという事はライブ自体のクオリティを高めるための必須項目となります。
また、ボーカリストもノイズやハウリングを気にしなくて良いというのは、単純にパフォーマンスの向上に繋がります。
そしてレコーディング現場では、中低音が強調される為、ボーカルレコーディングの後に音質を調整しやすいという点でも評価されています。
音楽に携わっていく中で触れる機会が多いマイクなので、わざわざ用意しておく必要がないと思う方もいるかもしれません。
ですが、このマイクサウンドと調整に慣れておくことで、多くの現場で安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。
下のリンクがスイッチ式です。
TELEFUNKEN M80
次にご紹介していくのはTELEFUNKENのダイナミックマイク「M80」です。
様々なカラーバリエーションが用意されており、この中から気に入ったものを選択する楽しさもありますね。
持ち手の部分に木を使用したタイプまであります。
ケースもテニスボールを連想させる筒型になっている点もユニークです。
とてもポップな印象のM80ですが、音質はコンデンサーマイクかと思ってしまうほど綺麗にサウンドを拾ってくれます。
構造の特徴としては、マイク内に超薄型のダイヤフラムといったパーツを搭載していることが挙げられます。
この超薄型のタイヤフラムパーツを採用することにより、より繊細にかつ高音質なサウンドを実現しています。
中低域が出るのはもちろんのこと、高域まで綺麗に音を拾ってくれるという点でもとても魅力的な製品です。
レコーディング時もコンデンサーマイクの様な感覚で使用できる優秀なダイナミックマイクです。
バラードで抑揚のあるサウンドやニュアンスをしっかりと拾いたい場合や、コンデンサーマイクも欲しいけどライブでも使える製品が欲しいといった方にオススメのマイクです。
Audio-Technica AT2020
次にご紹介していくのはAudio-Technicaの「AT2020」というコンデンサーマイクです。
このコンデンサーマイクは入門用という機種でありながら、綺麗にボーカルをレコーディングする事に長けているマイクです。
特徴としてはコストパフォーマンスに優れたマイクです。
この価格の中では比較的ノイズも少なく、サウンドに癖も少ないため素直なサウンドをレコーディングする事が出来ます。
そのため、レコーディング後の音質調整も行いやすいです。
コンデンサーマイクを導入してみたい方や、価格を抑えながらも高音質なレコーディングを行いたい方にオススメのマイクです。
Blue Bluebird SL
次にご紹介するのはBlueのコンデンサーマイク「Bluebird SL」です。
このコンデンサーマイクはデザインの良さから男女問わずに人気のマイクです。
特徴は中低域がしっかりと出る勢いのあるサウンドです。
レコーディングの際、言葉一つ一つをしっかりと拾うことができるため、ラップやアップテンポの曲に適しています。
また、製品にはハイパスフィルターや、減衰パッドスイッチ等も搭載されている為、ボーカルだけでなく楽器レコーディングにも安心して使用する事が出来る仕様となっています。
付属品もショックマウントホルダーが付属し、マイクを保管する木製ケースも付属しています。
デザインが良いコンデンサーマイクが欲しいという方や、一つ一つの発音を綺麗に録りたい方は是非チェックしてみてください。
ASTON ORIGIN
最後にご紹介するのはASTON社のコンデンサーマイク「ORIGIN」です。
ローランド社が代理店となってから日本の楽器店で見かける事が多くなった製品です。
特徴としてはポップガードやショックマウントが必要ないという点です。
マイク自体にポップガードが内蔵されており、「さ行」や「た行」をレコーディングする際のノイズ(歯擦音)や、ブレスが入りにくい仕組みとなっています。
また、ショックマウントの仕組みも内蔵されており、振動によるノイズにも強い設計になっています。
本体下部には直接スタンドアダプタも内蔵されており、マイク本体をマイクスタンドに直接装着する事が可能です。
様々な機能を搭載したコンデンサーマイクですが、もちろんサウンドは高音質です。
特徴としては中低音がしっかりと出るためボーカル録りに適しています。
フィルタースイッチや減衰パッドスイッチも搭載している為、楽器録りにも使用する事が出来ます。
コンデンサーマイクを使用していく中で、ポップガードやショックマウントなどの機器は必須です。
これらを本体に搭載している当製品はどんな方にもオススメ出来ますし、丈夫なコンデンサーマイクが欲しいという方にもオススメしたく思います。
ポップガードの必要性
ボーカルレコーディングでは、ダイナミック/コンデンサーを問わずポップガードを導入する事をオススメいたします。
サウンドクオリティの天敵となるのが、ブレスや「さ行」「た行」を発した際のノイズです。
せっかくレコーディングしたベストテイクにノイズが乗ってしまったら楽曲全体の雰囲気を損ねてしまいますし、何より悲しいですよね。
是非、未然に防いでいただきたいです。
ポップガードには布製や金属製のタイプがあります。
布製のポップガード
布製のタイプは比較的安く導入出来ますが、使用後にちゃんとケアをしてあげないと臭いが残ってしまったりして長く使う事が難しくなってしまいます。
また、布製のポップガードを通してレコーディングすると高域が少しこもり気味になります。
金属製のポップガード
金属製のポップガードは使用後のケアも簡単で、高域がこもるような事もありません。
初期費用はかかってしまいますが、長く使用することを考慮すると金属製のポップガードを導入される事をオススメします。
いかがでしたでしょうか?
今回はボーカルレコーディングをメインとして、ダイナミックマイク/コンデンサーマイクをご紹介してきました。
最近はダイナミック型のデザインで構造がコンデンサーマイクというようなタイプもリリースされており、メーカーのアイディアを詰め込んだ魅力的なマイクが沢山あります。
もし、可能でしたらご購入時に楽器店で実際に製品を試してみて、ご自身の目的に合うマイマイクを探してみてください。
良いマイクを購入してDTMライフをより楽しみましょう♩
また、ボーカルレコーディングのテクニックは別の記事で解説していますので、マイクをご購入された際は是非ご活用ください。
それでは次の5選でお会いしましょう。
お楽しみに〜!
記事の担当
be-bee(伊藤瞬/Ito Shun)
1987年生まれ。Logic Pro x・Ableton liveユーザー。
アメリカ留学から帰国後、音楽学校を卒業。作曲家デビューをする。
EDMやPOPSを中心に作編曲しながら、エンジニア業もこなす。
Twitter ID : @bebee330
Instagram ID : https://www.instagram.com/bu_e_bu/
YouTubeチャンネル : https://www.youtube.com/user/murmur330