Cubase Pro 10.5 で作る 「SYNTHWAVE(シンセウェイブ)」 1. リズムトラック編
Cubase Pro 10.5に付属する純正シンセ・エフェクトのみで制作
「SYNTHWAVE(シンセウェイブ)」は80年代のニューウェーブ・シンセポップといった、シンセサイザーが多用された楽曲にインスパイアされた音楽スタイルで、サウンドだけではなくビジュアル的な世界観も含めたスタイルとして呼称されています。
当シリーズでは、Cubaseに付属する純正のシンセやエフェクトのみを使用し、80年代テイストが溢れる楽曲制作テクニックを解説していきます。
まずはシリーズを通して解説していくデモ楽曲をお聴きください。楽曲プロジェクトも下記に配置した動画の下からダウンロードいただけます。
- ボーカリストADAMMOSS (AJ)
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EMAIL : adam@mhmmusic.com
第1回目の今回は、ドラムパートのサウンドメイクについて解説を進めます。
楽曲のノリを再現するための重要ポイントを確認していきましょう。
「SYNTHWAVE」リズムトラック動画解説
ドラムプリセットについて
80年代感を演出するトラックに欠かすことができないのが、ビンテージドラムマシンです。
この時代には「Linn Drum」「Oberheim」「TR909」など、現代でも頻繁に目にする数々の名機がリリースされました。
これらドラムマシンのサウンドを彷彿とさせるサンプルを使用することが特に重要です。
Cubaseに付属するリズムサンプラー「Groove Agent SE」には、これらのサンプルプリセットが用意されています。
上部のプリセット窓をクリックし【Electro Pop Kit 1】を読み込みます。
既にこの時点で80年代を感じられるドラムサウンドがロードされます。
各キットのエディットも行っていきますが、先に「リズムパターン」を作成します。
リズムパターンの作成
楽曲を通してキックが1拍3拍目、スネアが2拍4拍目にアクセントがある非常にシンプルな「8ビートに」なっています。
こうしたビートでは、キックが画像のようにシンコペーションするケースも多いのですが、敢えて拍の頭を強調することで、4つ打ちのようなノリになっていることがポイントです。
また、どのセクションでもビートに変化を与えずループさせている。という点も現代においてビートが新鮮に感じるポイントです。
ハイハットは平坦な8分音符の刻みで、敢えてベロシティに抑揚をつけないという点もビンテージドラムマシンのニュアンスを演出する特徴となっています。
バース部分でこのハイハット外すことで、展開に緩急つけています。
別途MIDIトラックを作成し、メインビートとハイハットビートを分けるという方法もお勧めです。
ハイハットを削除する際に、イベントの中身を開かずパターンの管理できます。
リズムキットの音作り
次に各キットへ磨きをかけるサウンドエディットを行っていきます。
プリセットのままでも十分な雰囲気を持っていますが、全体的にキレのあるサウンドへエディットしたいと考えています。
ドラムサウンドを作成するためにはエフェクト処理が必須です。
サウンドメイクの下準備として、キックやスネアなどの主要キットは単独処理が行えるように「パラアウト」しておきましょう。
キックサウンドのエディット
まずはキックのサウンドエディットを行います。
波形を拡大すると音の立ち上がりが少し遅くなっていることがわかります。
サンプルのスタート位置を少しだけ後ろにずらし、立ち上がりのよいアタック感が出るように設定します。
次に音の減衰を短くするため、ボリューム変化を調整する「Amp」からエンベロープへアクセスします。
再生モードを「One Shot」へ変更し、リリースの音量を好みに調整できるようにします。
エンベロープに表示されているポイントをドラッグしてサウンドを視聴しながら余韻の長さを調整します。
インジケーターを確認すると、現在のサウンドは左右で音量が異なっており、定位が少し広がって聞こえています。
芯のあるキックをサウンドにするためには、この定位をセンターに配置するテクニックが有効です。
上記でパラアウトしたキックトラックへ「Stereo Enhanser」を適用し「WIDTH」を0にしてモノラルにします。
次にイコライザーの設定です。「E」ボタンから簡単にEQヘアクセス可能です。
サウンドに重みを与えるために50Hzを持ち上げました。600-700Hz付近にある中域のピークで抑えることで、スッキリとしたサウンドに仕上がります。
スネアサウンドのエディット
スネアキットは重みのあるサンプルと、アタック感の強いサンプルが用意されています。
上記で打ち込んだ「E1」に「D1」加え、2種類のスネアサウンドが同時に鳴るように設定しています。
パラアウトで2つのスネアサウンドが同トラックへ出力されるようにしています。
キックと同様にスネアもサウンドの余韻を短くします。
この際、2つのパッドを選択することで、パッドへの変更内容が選択したパッドに連動するため便利です。
「AMP」から「One Shot」モードへ変更後、サウンドを確認しながらエンベロープを好みの形へ設定します。
ここではアタックと余韻を調整しました。
次のエフェクトから「コンプレッサー」を適用します。(パラアウトしたスネアトラックへ)
2つのスネアサンプルが1つのサウンドに感じられるように、まとまりを与え、更にアタック感を加えることを目的としています。
立ち上がりが鋭く聴こえるよう、レシオを高めに設定し、しっかりとアタック感が得られるようにアタックタイムを調整します。
これはサウンドを確認しながら調整すると良いでしょう。
次はEQを使用し、サウンドをイメージに合わせて整えていきます。
「Frequency」を立ち上げて不要な低域をカットします。(100Hzあたりを目処にキャラクターが変わらない程度)
この工程は、キック、ベースとの帯域を整理することを目的としています。
重みと芯の太さを演出するため、150Hzあたりをブーストしています。
ハイハットサウンドのエディット
キットに収録されたハイハットは、リバーブの広がりがイメージと大きく異なっていました。
このような場合は、別のサンプルへ差し替えることをお勧めします。
多くのサンプルから目的のサウンドを探すのは骨が折れますので、ジャンルが同じ「Electro Pop Kit2」から好みのサウンドを探した方が良いと判断しました。
「メディアラック」「ループ & サンプル」で検索ボックスに「EP_2」と入力し、絞り込まれたリストからハイハットを探します。
見つけたサンプルをPADへドラッグして上書きすれば、置き換えの完了です。
いかがでしたでしょうか?
このように当ジャンルでは、太く芯のあるサウンドメイク・敢えてシンプルかつ大胆にビートを構築することが大切になります。
類似した楽曲ジャンルを制作する際は是非、取り入れてみてください。
🎹Synthwave(シンセウェイヴ)の作り方🎹
Cubaseに付属する純正のシンセやエフェクトのみを使用し、80年代テイストが溢れる楽曲制作テクニックを数回にわたってご紹介します‼️
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— SLEEP FREAKS (@SLEEPFREAKS_DTM) May 23, 2020