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add11(アドイレブンス)コード/音楽理論講座

add11の概要

今回も比較的新しいコード、「add11(add4)」について学んでいきましょう。
sus4,7sus4,add9,sus2の知識が必要ですので、未読の方はそちらからお読みください。

「add11(add4)」はあまり見かけることは少ないですが、これからマイナー関連やテンションコードに入るにあたって、新たなインターバルも出てきます。
この機会に音と音の距離を意識できるようにしていきましょう。

add11の響き

まずは、add11のサウンドを確認してみましょう。

  • Cadd11(ピアノ)

  • Cadd11(ギター)

明るさもあり、浮遊感もありながら、透き通った印象の響きですね。


add11の表記

add11は、例えば以下のように表記します。

cadd11

ほぼこの表記しか見かけませんが、DAWによっては異なる表記が使われることもあります。

chord1
chord2

add11の成り立ち

今回も数字が関係しますので、メジャースケールを見ながら確認していきましょう。

例えばCadd11の場合、ルートから数えて11番目の音、つまりFが加えられたコードということになります。
add11はadd4とも表記されますが、これはadd9とadd2の関係と同じイメージです。

ちなみに記事ではいつもCメジャースケールで確認していますが、毎日メジャースケールを弾く練習をしていると、他のルート音でもスムーズに対応できるようになります。
例えば、Fメジャースケールの場合の11(4)の音はBb、Gメジャースケールの場合はCとなります。

慣れるまでは、Cメジャースケールを平行移動させて確認してみてもいいですね。
ぜひ他のコードでも対応できるように、練習してみてください。

少し話が逸れましたが、Cadd11を譜面とピアノロールでも確認してみましょう。

上記の構成音の並びで、サウンドを聴いてみましょう。

冒頭で聴いていただいた響きとは違い、音が濁っている感じがしますね。

この響きの違いには、アボイドノート(ケアノート)が関係しています。
つまり、意図的にサウンドを崩す理由がなければ、避けたほうが良い音の並びということです。

※アボイドノート(ケアノート)については、下記の記事を参照してください。

上記画像の青く囲んだ部分に注目してみましょう。

先ほどの濁ったように感じた響きは、主にEとFの関係(m2nd/m9th)から生じています。
コードによって例外もありますが、一般的に、m2ndおよびm9thの音程関係は、あまり心地良いとは言えない響きを生み出します。

それぞれのインターバルを確認してみましょう。

様々なm2ndやm9thのサウンドを抜き出して聞いてみると、このような感じです。

  • m2nd

  • m9th

どちらもあまり良い響きとは言えません。

では、冒頭で聴いていただいた音源はどのような音の並びなのでしょうか?
こちらも確認してみましょう。

ギターの場合、このような押さえ方になります。

guitar_voicing

冒頭の音源の響きがスッキリと聴こえた理由は、m2nd/m9thのインターバルがないからです。
EとFの配置を工夫して、m2ndとm9thの音程関係を回避しています。
ルートをもう1音重ねても安定して綺麗ですし、ピアノの場合は左手でsus4、右手でメジャー(トライアド)を弾くのも良いですね。

さらに、この考え方を応用すれば、Csus4のコードに3rdのEを加えて、目立たせて使っていくことも不可能ではないと言えます。

add11を使ってみる

最後に、add11コードを使用したコード進行の例を聴いてみましょう。

  • Cadd11→Fadd11→Gadd11→Bbadd11

独特の浮遊感で、通常のトライアドやセブンスコードでは得られないモダンな雰囲気がありますね。
実際の楽曲でadd11コードを見つけた際は、そのコードの前後の文脈も含めて分析し、コード進行の引き出しを増やしておきましょう。


記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh

伊藤 和馬

18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。

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