「JASRAC」/クリエーターのための音楽著作権(ビジネス編)

Author: sleepfreaks

音楽著作権記事担当の高木 啓成弁護士よりご挨拶

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こんにちは。弁護士の高木啓成です。
第2回(前々回)は作家事務所について、第3回(前回)は音楽出版社についてお話しました。
今回は、音楽ビジネスに欠かせない存在の、JASRACについてお話します。

1.JASRACの役割

JASRACは、簡単に言うと、作詞家・作曲者から著作権を預かって、「その楽曲を使用したい」というレコード会社、放送局などから著作権使用料を徴収して、作詞家・作曲者に分配する、という事業をしています。
このような事業を「著作権管理事業」といいます。

第1回でお話したとおり、著作権管理事業者はJASRACだけではなく、特に、NEXTONEという会社が存在感を出しています。
NEXTONEは、以前あったイーライセンスとJRCという2つの著作権管理事業者にエイベックスが出資して、経営を統合して出来た会社です。

ちなみに、著作権のうち、一部(例えば「録音権など」)をNEXTONEに預けてそれ以外をJASRACに預けたり、著作権の一部をJASRACに預けてそれ以外を音楽出版社が自己管理する、等の方法が取られることもあります。
ただ、これは基本的には音楽出版社が判断することですので、この連載では省略しますね。


2.著作権使用料の徴収

「基礎編」で説明したように、音楽には著作権がありますので、著作権者に無断でCD化したり、放送で使用したり、飲食店でBGMで使用したりすることは著作権侵害になります。

そこで、JASRACは、作詞家・作曲家に代わって、レコード会社や放送局、カラオケ業者、飲食店やライブハウスなど、あらゆる音楽の使用者に対して、「音楽を使用するなら、お金を払ってくださいね」と、「著作権使用料」を徴収しています。

みなさんが作詞・作曲した音楽を、お金に変えてくれるわけです。
その中でも金額が大きいのは、一般に、CD、放送、カラオケの3つです。

CDについて言えば、大手レコード会社が楽曲のCDをリリースする場合、著作権使用料は、
税抜小売価格 × 6% × 出庫枚数 × 75%
という計算式で決まります。

たとえば、ある大手レコード会社が、ある楽曲をCD(税抜小売価格1,000円)で、1万枚を出荷する場合、著作権使用料は、
1,000円 × 6% × 1万枚 × 75% = 450,000円(45万円)
ということで45万円になります。

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テレビ局やラジオ局などの放送局は、JASRACと包括契約をしていて、「前年度の放送事業収入の1.5%を著作権使用料として支払う代わりに、JASRACの音楽は使い放題」という契約になっています。
たとえば、ある放送局の前年度の放送事業収入が10億円の場合、著作権使用料は、
10億円 × 1.5% = 1500万円
ということで1500万円になります。

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3.管理手数料

このように、JASRACは、あらゆる音楽の使用者から著作権使用料を徴収しています。
そして、JASRACの収入になる「管理手数料」を差し引いた金額を、各音楽出版社に支払っています。

この「管理手数料」がJASRACの主な収入源です。
CD録音の使用料の場合は6%、放送使用料の場合は10%です。

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以上、今回はJASRACについて解説しました。
ここまでが、作家さんの立場から見た音楽著作権ビジネスの重要部分です。
次回は、これまでの解説を踏まえて、みなさんの楽曲がCDになった場合のお金の流れを解説します。


「記事の担当」高木 啓成 弁護士

高木啓成

高木 啓成/Hironori Takaki
DTMで作曲活動中。logicユーザー。ロックとダンスミュージックが得意。
弁護士として、エンターテインメント関係の法務、企業法務や個人の法律問題を扱う。


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