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eiosis E2 Deesser 使い方 ①ボーカルへの適用と基本操作

単なるディエッサーにとどまらない「E2 Deesser」

e2deesser

今回ご紹介するE2 Deesserは、eiosisという比較的新しいメーカーからリリースされています。

おそらく多くの方は聴きなれない名前かと思いますが、Slate Digital FG-X等の開発者Fabrice Gabrielが立ち上げたブランドというと、わかる人にはわかるかもしれません。
とにかく、音質やクオリティへのこだわりが非常に強いブランドです。

そんなeiosis社によるディエッサーということで、基本的な性能はもちろんのこと、操作性の高さや、ミックスにおける応用範囲の広さが売りとなっています。

解説は2回に分け、今回はボーカルへの適用と基本操作について取り上げたいと思います。

製品サイト :http://miyaji.co.jp/MID/product.php?item=E2%20Deesser

E2 Deesser 解説動画



製品のご購入

  1. 1ボーカルへの適用と基本操作 :当記事となります。
  2. 2応用編 ギターとマスターへの適用

スペクトログラムによるシビラント(歯擦音)の可視化

E2 Deesserの優れた点としてまず挙げられるのは、「スペクトログラム」という音声分析手法を用いて、シビラント(歯擦音)の検出を可視化しているところです。

spectrogram

上の画像のオレンジに光っているところが、シビラントとして検出された箇所ということになります。
後述しますが、これが非常にわかりやすく、ピンポイントで帯域を狙う際にも重宝します。


豊富なプリセット

シビラントには、声や楽器によってある程度傾向がありますので、プリセットからのアプローチが効率的です。E2 Deesserはこのプリセットも非常に充実しています。

presets

リストを見てみると、ボーカル以外にも多くのプリセットが存在していることがわかります。
今回はボーカルへ適用しながら基本操作を見ていただくということで、Female Singingを選びました。


sensitivityの調整

プリセットを選んだら、「sensitivity」ツマミでシビラントの検出感度を調整します。

sensitivity

sensitivityが低すぎるとシビラントを検出しなくなり、高すぎると不要な部分まで拾ってしまいますので、適切な感度になるように調整を行ってください。

Sensitivity_comparison


amountの調整

狙ったシビラントを検出した後、それを抑える強さを「amount」で調整します。

amount

amountの強さは耳で確認するとともに、右のEQ画面に表示される白い線(抑える量)も参考にしながら行ってください。


Sibilants EQによる帯域の調整

「Sibilants EQ」とは、EQ画面の中で赤く表示されたカーブを指し、ディエッシングを行う帯域を指定することができる機能です。
プリセットである程度最適化されていますが、どの帯域が最も効果的かは、音源によって変わってくる側面もあります。ぜひここも調整しながら聴き比べてみましょう。

狙うポイントを探る際には、先述のスペクトログラムが非常に役立ちます。

Sibilant_EQ

赤いEQカーブを左右に動かすと、スペクトログラム内に赤い線が表示され、同時に動きます。
スペクトログラムは縦軸が周波数を示しており、白っぽく表示される帯域が特に音量が強いことを示しています。
つまり、オレンジ色の中でも特に白っぽい部分に、強いシビラント成分があるというわけです。
これを目安に帯域を調整すれば、良い結果が得られやすいということになります。

E2 Deesserの特徴的な機能「Voiced EQ」

さて、ここまででもディエッシングとしては十分と言えますが、もう一つE2 Deesserの特筆すべき機能として「Voiced EQ」と呼ばれるものがあります。

Voiced EQはEQ画面の中で青く表示された部分で、シビラント成分以外に対して選択的にEQをかけられるのが特徴です。

Voiced_EQ

実際にかけてみると、ディエッシングはSibilant EQに従って行われ、それ以外の時はVoiced EQの位置に白い線が戻るのがわかると思います。
また、その入れ替わりも非常にスムーズで、全く不自然さがありません。

EQは他のプラグインでかけるという手もありますが、この「痛い部分を避けながら高域をブーストできる」というのはE2 Deesserならではの機能であり、実はボーカル以外の様々な用途にも応用できます(この点については次回も触れていきます)。

autoとsmoothによる微調整

今回の最後に、ディエッシングを微調整できる2つのツマミをご紹介しておきます。
左下の「sibilants」というセクションにある「auto」「smooth」というものです。

どちらも、ディエッサーの効き方を調整するツマミですが、それぞれ以下のような違いがあります。

Sibilant_ctrl

  • auto  より広い周波数帯域に対して効果が適用される
  • smooth シビラントのピークをサチュレーション効果で馴染ませる

これは理屈よりも耳で聴きながら判断すべきツマミだと思います。
うまくハマると非常に自然な仕上がりになりますので、ぜひ聴き比べながら調整してみてください。


以上、今回はE2 Deesserをボーカルに適用しながら、基本機能をご紹介しました。
次回はボーカル以外への適用や、なんとマスターに適用するという使い方もあるようなので、その辺りを取り上げていきたいと思います。

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記事の担当 大鶴 暢彦/Nobuhiko Otsuru

Sleepfreaks DTM講師 大鶴 暢彦
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