DAWソフトの選び方|価格・機能・ジャンルからオススメ作曲ソフトを徹底比較
各DAWの特徴/傾向を様々な角度から比較
DTMを行うために必ず用意しなくてはいけないのが作曲ソフト【DAW】です。
これらDAWは非常に多くの製品ラインナップが存在します。
- 自分が購入すべき製品は?
- ジャンルによって向き不向きがある?
- 価格も安くなく失敗したくない
など迷ってしまうという方も多いのではないでしょうか?
そのような方に向けて用意したのが当企画です。
日本国内で普及している定番DAWを5つをピックアップ。
価格・向いているジャンル・機能を徹底的に比較していきます。
5つのDAW徹底比較 動画
5つのDAWソフトと解説項目
対象のDAWソフトは、2021年に公開した「人気のDAWソフト・ランキング」の上位5製品です。
- Steinberg – Cubase
- Apple – Logic Pro X
- PreSonus – Studio One
- Ableton – Live
- Image-Line – FL Studio
検証項目は下記の5つです。
ジャンルや音楽性とのマッチング
選択の重要ポイントとして考慮したいのが「音楽ジャンルとのマッチング」です。
基本的にDAWによって制作できないジャンルというのはありません。
しかし、ジャンル/制作スタイルによって「頻繁に使用する機能や手法」が異なります。
これらが使いやすいように配置されているか?という点は把握しておくべきです。
ここでは音楽ジャンルとDAWを紐づけた資料を基にして、その傾向を確認していきます。
引用するアンケートは、
- Sleepfreaksが独自に行ったDTMユーザー向けのアンケート結果
- 海外サイトの【equipboard】で掲載されている人気DAWの集計結果
この2つの資料を集計した表はコチラです。
J-POP制作者に人気のDAW
弊社アンケートでは【Cubase】【Logic Pro】【Studio One】の3製品が最も多い結果となりました。
日本と海外のポップスを比較すると下記の傾向があります。
- コード進行を含めて音楽理論が複雑な傾向
- バンド系の楽器・サウンドが使用される傾向
Cubase/Studio Oneは、コード進行の入力をサポートする機能が充実しています。
また、3製品ともに生楽器を打ち込む際の奏法コントロール機能が備わっているという特徴があります。
VOCALOIDの使用者に人気のDAW
音楽ジャンルではありませんが、日本のDTMユーザーはVOCALOID(歌声合成ソフト)の使用者が多いという特徴があります。
VOCALOID(歌声合成ソフト)を使用して制作されている方に人気のDAWは
【Cubase】【Studio One】です。
- 初音ミクなど、CRYPTON社のボーカロイドライブラリを購入すると「Studio One Artist」が付属すること
- YAMAHA社のVOCALOIDにはCubase上で動作する専用エディターが用意されている(VOCALOID5)
これらが人気の理由として推測されます。
エレクトロ/ダンスミュージック制作者に人気のDAW
シンセサイザーやサンプラーなど、電子音を中心に構成されている音楽ジャンルでは、これまでと結果が大きく異なりました。
【Ableton Live】【FL Studio】が人気です。
特にFL Studioを使用している方の多くはエレクトロ系のジャンルという特徴も見受けられました。
- ループを多用する音楽制作に向いた機能が用意されている
- 音色変化をコントロールする機能の使い勝手が良い
- シンセサイザー音源が充実している
という特徴があります。
Hip Hop制作者に人気のDAW
続いてHip Hop系ジャンルに人気のDAWです。
【Ableton Live】【FL Studio】【Logic Pro】です。
エレクトロ/ダンスミュージックと同様に、ループを主体とした音楽という傾向は似ていますね。
海外のランキングではFL Studioが強いですが、日本ではLiveが上位となっていました。
Liveはオーディオ編集の行いやすさ、FL StudioはMIDI編集の扱いやすさに定評があります。
海外と日本では重視されている機能、つまり求められているサウンドが異なっているとも考えられます。
Rock系ジャンルに人気のDAW
J-Popと同様の結果で、【Cubase】【Logic Pro】【Studio One】です。
海外ではLiveが3位で日本とは異なる結果となりました。この点も興味深いですね。
推測ではありますが日本のロックはキメやシンコペーションが多く、洋楽はループパターンの使用が多いためLiveが選ばれている可能性があります。
また、海外メーカーのオーディオインターフェイスにはAbleton Liveが付属している点も人気の理由になっているのではないでしょうか。
ジャンル的傾向のまとめ
大まかな傾向として
- ビートメイカー/トラックメイカーには 【Logic Pro】【Ableton Live】【FL Studio】が人気
- バンド/シンガーソングライター/編曲家には【Cubase】【Logic Pro】【Studio One】が人気
という結果となりました。
この辺りを参考にDAWを選択すると良い結果が得られる可能性が高くなります。
製品の特徴とエディション
各DAWにはグレード違いの製品(エディション)が存在します。
上位エディションの特徴は
- 付属コンテンツの量
- 作業速度を向上させる便利な機能
特にこの2点に差がつけられています。
楽曲を製品として完成/完結したい場合、最上位版のエディションがオススメです。
アップグレードについて
予算の都合上、最上位版を選択することが難しい場合でも、後から上位エディションにアップグレードすることができます。
多くの場合、使用しているエディション価格の差額で購入できるため損をすることはありません。
手頃なエディションを購入し、追加機能が必要になってきた段階で上位エディションに乗り換えるという考え方もお勧めです。
アカデミック版について
各DAW製品には、学生/教員を対象としたアカデミック版が用意されています。
Logic Proは製品単体でアカデミック版が用意されておらず、FL Studioはアカデミック版を使用して制作した楽曲の扱いに公開制限があります。
その他のDAWは最大で40%ほど安く製品を購入できます。
製品の内容は通常版と同様のため、資格をお持ちの方は必ず活用しましょう。
※弊社オンラインレッスンをご受講いただいている方は【Cubase】【Ableton Live】【Studio One】のアカデミック版を購入いただけます。
アップデートについて
ソフトウェアと同様に、DAWも定期的に不具合が解消されたり、新機能が追加されるなどのアップデートが行われます。
有料アップデートの周期は製品ごとに異なりますが、特徴的な2つのDAWがあります。
FL Studioは、生涯無償アップデートが保証されており一度製品を購入すると永続的にアップデートコストが発生しません。
Logic Proは最後の有料アップデートが2013年となっており、現在まで無料でアップデートが行えています。
この2製品については、アップデート費用が抑えられ他製品よりもお得と言えます。
付属コンテンツ/デバイスについて
DAWには音楽制作で使用する様々なコンテンツが備わっています。
これらコンテンツは大きく3種類に分類されます。
音源(インストゥルメント)
ドラム/ピアノ/ベース/ギターなどDAWの中で立ち上げることができる仮想楽器を指します。
音源が充実していれば、多彩な音色を楽曲で使用できます。
また、楽器の種類だけではなく、音質の良さも重要です。
エフェクト
サウンドを加工するデバイスをエフェクトと呼びます。
例えばボーカルにエコーをかけたい、低音を強く出したいなど、元あるサウンドに変化を与える場合に使用されます。
こちらも量と質の両方とも重視すべき項目です。
サンプル
様々な楽器の音を録音したオーディオファイルを指し、DAWに取り込み使用します。
演奏フレーズを録音した【ループサンプル】
楽器の音をが1音だけ録音された【ワンショットサンプル】など。
特にループサンプルはDAWに貼り付けるだけでフレーズを鳴らすことができ、初心者の方でも簡単に楽曲制作が行えます。
ここでは各DAWの最上位エディションに収録されている付属コンテンツ量を比較します。
Cubase 総容量70GB
音源/エフェクト/サンプルも幅広いジャンルで活用できるコンテンツが備わっています。
音源の品質には偏りがあるものの、ピアノは単体販売されている音源と遜色はありません。
エフェクトは流行の製品を積極的に取り入れている傾向があり、有料級のクオリティを誇るものも多数収録されています。
Logic Pro 総容量72GB
音源/エフェクト/サンプル全て充実しています。
他DAWと比較して音源の品質に偏りが少なく平均的に高いと感じました。
様々な音楽ジャンルを制作したい場合でも対応できるでしょう。
エフェクトは大きな加工を施すというよりも、サウンドを整えることに特化したものが中心となり、生楽器が多いジャンルに適したものが多いと言えます。
また、【Apple Loops】という、独自のループサンプルが豊富に用意されており、非常に使いやすいです。
Studio One 総容量40GB
容量からも分かるように、先述の2製品よりも付属コンテンツ量は控えめです。
特に音源は追加購入が必要になる可能性が高いと思います。
エフェクトは、Logicと同様でミキシングに重点が置かれたラインナップという印象です。
Ableton Live 総容量76GB
付属コンテンツの容量が最も多く、幅広いジャンルをカバーできます。
特にシンセサイザー音源が豊富で、コンテンツの追加なしで十分に楽曲制作が行えます。
サウンドを大きく変化させるエフェクトも充実しており、エレクトロミュージックと親和性も優れています。
FL Studio 総容量4GB
総容量は多くありませんが、音源を後から別途追加ダウンロードできます。
Ableton Liveと同様に豊富なシンセサイザーが売りとなっていますが、生楽器系の音源が少ないため、エレクトロ系以外のジャンルを制作したい場合は追加音源を用意する必要があります。
デジタルエフェクトに重きが置かれており、エレクトロ系ジャンルに特化したDAWと言えます。
4.学習のしやすさ
DAWは専門性が高く、自由に扱えるようになるために学ぶ項目も多くあります。
これからDTMを始める方にとって、機能の豊富さだけではなく、いかに学びやすいかという点も重要になります。
日本国内で使用者の多い【Cubase】は、ブログ/動画/SNSでも非常に沢山の情報を得ることができるため有利と言えるでしょう。
【Studio One】は、現代の音楽制作で必要とされる機能へアクセスしやすいよう設計されています。
メニューの各機能にはアイコンが表示されており、視覚的にわかりやすいという点も他製品にはない特徴です。
逆にFL Studioは日本語に対応しておらず、すべてのメニューは英語表記となっている点に注意が必要です。
英語が不得意な方にとって、音楽用語と英語を同時に理解する必要があるため、使いこなすまでのハードルは高いと言えます。
5.作曲支援機能の豊富さ
音楽制作を行うにあたり、1つのハードルとなるのが、音楽理論です。
スケール/コードといった基礎理論は、学習量も多く、1音間違えるだけでイメージ通りの楽曲から逸れてしまうことも多々あります。
DAWによっては楽曲制作をサポートする作曲支援機能が用意されていますので、これらを確認していきます。
【Cubase】
コードパッドやスケールアシスタントなど非常に実的なツールが多数用意されています。
【Studio One】
コードトラックや移調など、多くの便利機能が備わっています。
【Ableton Live】
スケールのノートをハイライトする機能の他に、スケール構成音以外を非表示化できる固有の機能が優秀です。
演奏スキルや知識を必要とせず、音を外さず打ち込むことができるため大変便利です。
いかがでしたでしょうか?
DAWを選ぶ基準は、単一的なものではなく、価格/目的/ジャンルなど十人十色です。
これら項目が的確なDAW選択のお役に立てれば幸いです。
快適な音楽制作環境で素晴らしい楽曲を生み出していただけることを楽しみにしています!
【DTM初心者必見】DAWソフトの選び方|価格・機能・ジャンルからオススメ作曲ソフトを徹底比較
定番DAW5つをピックアップし、価格・向いているジャンル・機能を徹底的に比較していきます。
動画:https://t.co/BM5MmNH3qi記事:https://t.co/O2lQnLshOU#DTM #DAW #作曲 pic.twitter.com/ln5jhBmr0g
— SLEEP FREAKS (@SLEEPFREAKS_DTM) November 27, 2022