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sus系コード① sus4(サスフォー)/音楽理論講座

サスフォー・コードの概要

今回からsus系のコードということで、最初に解決を遅らせることが出来るサスフォーコードを学んで行きましょう。
コード進行の流れを変え、ドラマティックにすることもできます。

サスフォーの響き

まずは、サスフォーのサウンドを確認してみましょう。
コードの構成音を順に鳴らした後に、コードが鳴ります。

  • Csus4

浮遊感のある響きですね。
サスフォーの後に、Cメジャー・コードを繋げてみましょう。

  • Csus4→C

浮遊感から解決したような印象を受けます。

サスフォーの表記

サスフォー・コードは、以下のように表記されます。

基本的にこの表記で問題ありません。

  • Eサスフォー= Esus4
  • Fサスフォー= Fsus4
サスフォーの成り立ち

Csus4コードの基本形を、譜面とピアノロールでそれぞれ確認してみましょう。

メジャートライアドの構成をマスターしている方は、M3rdのみの違いだと気づくと思います。

構成音は以下の通りです。

  • ルートからのインターバルでは、R/P4th/P5th
  • ルートを1としたスケールディグリーでは、1/4/5

となりますね。


サスフォーの意味

sus4は、「サスペンディッド・フォース・コード(suspended fourth chord)」の略称です。

ここで、「サスペンディッド・ノート(Suspended Note)= 掛留音(けいりゅうおん)」について学んでおきましょう。

サスペンディッド・ノートとは、「ノンコード・トーン(Nonchord tone)= 非和声音」の一種で、コードの構成音以外の音を指します。
イメージとしては、前の小節の旋律が伸びて(タイで繋がれて)次の小節にまたがり、その後、コードの構成音に解決(主に2度)する音です。

G7→Cの進行でF音を伸ばした状態が、Csus4コードの元のイメージとも考えられます。

サスフォーを使ってみる

実際にサスフォーをケーデンスに取り入れてみましょう。
元のサンプルとして、下記のツーファイブワンの流れを使用します。

  • Key=Cメジャー:IIm7→V7→I(Dm7→G7→C)

G7→Cの全終止(ドミナント・モーション)で解決しています。
※全終止については、下記の記事をご参照ください。

次に、G7→Cの間にサスフォーを加えてみましょう。

  • Key=Cメジャー:IIm7→V7→Isus4→I(Dm7→G7→Csus4→C)

G7→Cの間にCsus4を加えることで、解決が遅れて聞こえ、最後のCで解決した印象を受けます。

G7のFが、Csus4のFと共通音になっている点にも注目してください。
m7の音が延長されているようにも捉えられます。
この場合のトライトーンの動きにも注目してみましょう。

二段階に分けて進んでいますので、解決が遅れるイメージと繋がりますね。
このように解決の前にサスフォーをワンクッション置くことで、終止をよりドラマチックに演出できます。
様々な曲で使われていますので、楽曲分析の際にぜひ注目してみてください。

まとめ

今回の学習ポイントをまとめると下記の通りです。

  • サスフォーコードは解決を遅らせることで、ドラマティックなコード進行を作るために使用される
  • サスフォーコードは「sus4」と表記され、ルート、完全四度、完全五度で構成される
  • サスペンディッド・ノート(掛留音)は、コードの構成音以外の音が解決するまで伸びることで緊張感を生む
  • サスフォーコードをケーデンスに取り入れると、解決の前に一時的な緊張を作り出し、終止感を強調できる

次回は、他のsus系コードも見ていきましょう。


記事の担当 伊藤 和馬/Kazuma Itoh

伊藤 和馬

18歳で渡米し、奨学金オーディションに合格後、ボストンのバークリー音楽大学で4年間作曲編曲を学ぶ。
バークリー音楽大学、現代音楽作曲学部、音楽大学課程を修了。
日本に帰国後は、Pops・アニメソング・アイドルソング・CM・ゲーム・イベントのBGMまで、幅広い作曲・編曲の技術を身につけ作編曲家として活動している。

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