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「飲食店で音楽をBGMで流す場合の手続 その2」クリエーターのための音楽著作権(ビジネス編)

音楽著作権記事担当の高木 啓成弁護士よりご挨拶

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こんにちは。弁護士の高木啓成です。

さて、前回、飲食店などの店舗でのBGM利用について、CDをそのまま流す場合と、CDをリッピングしてスマートフォンなどで流す場合に分けて解説しました。

ただ、最近は、iTunesなどで購入した楽曲や、apple musicやLINE MUSICなどのサブスクリプションサービスを利用することが主流になってますので、今回、これらの場合について解説します。

インターネット上にいくつか記事があるのですが、間違っている情報や、整理されていない情報が多かったので、きちんと問題点ごとに整理して考えてみたいと思います。

1.演奏権の問題

iTunesで購入した楽曲でも、サブスクリプションサービスを利用する場合も、楽曲を飲食店で流すことは、著作物を公衆に向けて「演奏」することに当たるので、「演奏権」の問題になります。

これは、前回のCDの場合と同様ですね。
ですので、前回説明したように、JASRACへの申請が必要です。

2.複製権の問題

iTunesで楽曲を購入(ダウンロード)した場合や、サブスクリプションサービスで楽曲をダウンロードする場合、楽曲は、PCやスマートフォンに「複製」される形になりますので、「複製権」の問題になります。

たとえ私的使用目的での複製だったとしても、店舗でのBGMで利用することになれば、「複製権侵害になってしまうことは、前回述べたとおりです。
そして、「複製権についてはJASRACと包括契約は現実的に難しいということも、前回、お話しました。

サブスクリプションサービスで、ダウンロードせずにストリーミングのみの利用の場合は、「複製権は問題ありません。
厳密にいうとPCの内部に記録が残るのですが、これは「複製権」の侵害にならないという条文があります(著作権法47条の8)。

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3.原盤権の問題

iTunesで楽曲を購入(ダウンロード)した場合や、サブスクリプションサービスで楽曲をダウンロードした場合、その「音源」を「複製」していることになるので、原盤権の複製権侵害にもなってしまいます。

そして、「原盤権」については、JASRACのような管理団体がなく、それぞれの楽曲の「原盤権」を管理しているレコード会社などに、許諾を求めなければならず、現実的ではありません。
これは前回説明したとおりです。

他方、サブスクリプションサービスで、ダウンロードせずにストリーミングのみの利用の場合は、「原盤権」も「著作権」と同様に、「複製権」の侵害にはならず、また、原盤権には「演奏権」のような権利は無いので、原盤権はクリアということになります。

4.利用規約の問題

以上が著作権法上の問題でしたが、さらに、iTunesやサブスクリプションサービスの利用規約の問題が出てきます。
言い換えれば、サービス主体(Apple、Googleなど)とエンドユーザー(皆さん)との契約上の義務の問題です。

iTunesとApple Musicの利用規約、Google Play Music、LINE MUSIC、AWAの利用規約などを確認しましたが、すべて、「私的使用目的に限る」という規定があります。

推測ですが、サブスクリプションサービスの運営会社(Apple、Googleなど)が、各レコード会社から原盤権のライセンスを受けるとき、「エンドユーザーは私的利用目的に限る」という条件がつけられているため、必然的にこのような利用規約になっているんだと思います。

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店舗でのBGM利用は明らかに「私的使用目的」ではありませんので、結局、利用規約上、iTunesやサブスクリプションサービスを店舗でのBGMとして利用をすることは認められないことになります。

これは、著作権法の問題ではなく、利用規約の問題ですね。

5.まとめ

以上、前回の第7回と今回の第8回を合わせて、まとめたものが、下の表です。

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問題点ごとに検討した結果、JASRACに演奏権の申請をした上で、CDをそのまま再生する場合だけがOKということになりますね。

次回は、またテーマを変えて、違う話をする予定です。どうぞお楽しみに。

「記事の担当」高木 啓成 弁護士

高木啓成

高木 啓成/Hironori Takaki
DTMで作曲活動中。logicユーザー。ロックとダンスミュージックが得意。
弁護士として、エンターテインメント関係の法務、企業法務や個人の法律問題を扱う。


楽曲配信中 : http://www.tunecore.co.jp/artist/hirock_n
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