「音楽業界への道標」 第33回 田上 修太郎さんインタビュー
FRONTIER BACKYARD 田上修太郎さんへインタビュー
音楽業界への道標、第33回目となる今回はFRONTIER BACKYARDをはじめ様々なバンドで活動し、プロデューサーとしても活躍している田上修太郎(タガミ シュウタロウ)さんにインタビューを行いました。様々な楽器を使いこなしながら、マルチに活動・活躍する田上さん。音楽に対する考え方や楽曲の制作方法など、貴重なお話が盛りだくさんとなっておりますので、ぜひご一読ください。
ーーお忙しい中取材させていただきありがとうございます。ではまず、田上さんの現在の活動から教えてください。
FRONTIER BACKYARDというバンドをメインに活動していて、他にもSCAFULL KING、THE DEKITS、CUBISMO GRAFICO FIVEなどもマイペースながら活動を続けています。
また LOW IQ 01 & MASTER LOWのサポートなども行っています。
ーー様々な場所で活動されていらっしゃるんですね。
基本的に誘っていただいたものはなるべくお断りしないようにしています。そこで縁が切れてしまうのは勿体無いですし、色んな人に出会い、色んな考えに触れたいなと常に思っています。
ーーメインのバンド、FRONTIER BACKYARDではボーカリストとして活動されている田上さんですが、作詞作曲も手がけていらっしゃるのでしょうか?
そうですね。メンバーであるドラムの福田”TDC”忠章と一緒に制作しています。
ーー具体的には、どのように制作を進めていくのでしょうか?
僕たちの場合は楽曲のイメージ共有をとても大切にしていて、まず”会話すること”から始めるんです。「こういう感じの曲を作ろう」という大きなところからスタートし、この雰囲気を出すならこの楽器でこんなコード進行にしようとか、サビを悲しいメロディにするならAメロは敢えて淡白にしよう…などなど。
そうやって頭の中で音楽を組み立てたところで、アウトプットしていくという作業になります。
FRONTIER BACKYARD「change feat.おかもとえみ(フレンズ)」
ーーFRONTIER BACKYARDの音楽は生楽器とデジタルが上手く融合した、かなり独特な雰囲気がありますよね。
基本的にシンセは実機を使うようにしていて、ピアノ的な音色のものとシンセらしい音色、そこにホーンセクションを乗せていきます。ベースも基本的にはシンセで鳴らすことが多いですね。
無駄なものをなるべく削ぎ落としてひとつひとつの楽器がファットに聴こえるよう心がけています。
ーー生演奏を主軸に制作されているのでしょうか?
そうですね、一応DAWとしてはLogicを使っているのですが、ホーンセクションを含め生演奏したものをレコーディングするというのが殆どです。
ーー田上さんはボーカリストとしてだけでなく、ピアノやギター、トランペットなど様々な楽器を演奏されていますよね。
小さい頃はすごく音痴で、それを治す一環としてピアノを習っていました。トランペットに関しては小学校の頃「人が足りない」という理由で吹奏楽部に入ることになったのがきっかけで始めました。
ピアノもトランペットも進んでやっていたわけではなかったのですが、のちにバンドを組んだりスカをすることになったりと、結果的にはやっててよかったなと思いましたね。
ギターはSCAFULL KINGで曲を作りたくて始めたので、タイミングとしては少し遅めです。
ーーいつ頃から「音楽で生きていこう」と決意したのでしょうか?
うーん…言ってしまえば最近かもしれません。(笑)
というのも、「これで生きていくぞ!」っていうよりかは「続けていたらここまできていた
」というほうが正しい気がするんですよね。
僕は肩書きとしては”バンドマン”だと思うのですが、やっぱりどうしようもなくバンドが大好きですし、フロントマンとしてずっと活動を続けたいっていう思いが強いんだと思います。
FRONTIER BACKYARD 「Fun summer ends」
ーー長くバンド活動を続ける中で、苦しかった時期もあったと思います。
FRONTIER BACKYARDのギタリスト、KENZI MASUBUCHIが脱退した時は「ここが音楽の辞めどきなのかな」って思うくらい辛かったですね。ありがたいことに「まだ辞めるなよ!」って言ってくれる仲間がいたおかげで今も続けています。
あとはやっぱり、これからもバンドで生活していくためには今後どういった活動をするべきなのかというのは常に考えますね。
音楽で生きていくために大切なこと
ーー田上さんはアーティストのプロデュースなども手がけていらっしゃいますが、具体的にはどのようなお仕事なのでしょうか?
これは案件によって本当に様々で、事前にアーティストやマネジメント側とどこまでやるのか話し合いが持たれる場合が殆どです。
作詞作曲をすることもあればディレクションのみだったり、CDジャケットのアートワークまで手がけたりと、本当に幅が広いお仕事です。
ーープロデュースをする際、田上さんが常に心がけていることはありますか?
”そのバンドのメンバーになる”という気持ちで臨んています。なるべく一緒にスタジオに入ったり、食事をしたり。とにかく沢山コミュニケーションを取るようにしています。
その分時間はかかりますけど、やっぱり仲良くならないとお互いの「本当のトコロ」は見えてこないし、なんでも言い合える関係性があって初めていい作品作りができるのではないかと思っています。
ーー人との繋がりを最も大切にしていらっしゃるんですね。
それはいつの時代も変わりませんね。
いくらSNSやテクノロジーが発達しても、やっぱり人と人の繋がりで生まれるのが音楽なので。蔑ろにしていいものではないです。
「この人と音楽を作りたい」と思わせる何かを持っている人はやっぱり強いですよね。
ーーやはりそういった部分は、プロデュースしていく中で見えてくるものなのでしょうか?
練習後スタジオをちゃんと片付けるとか、時間を守るとかメールの書き方とか。そういった単純な部分に人は表れます。
それがお客さんに対する接し方なんかにも繋がってきますし、なんだかんだ人間力が一番大切なのかもしれないなと思う場面は多いです。
ーーこれから音楽業界を目指す方へ向けて、音楽以外にどんなスキルが必要になってくると思いますか?
自分の強みをしっかり見極め、発信していく自己プロデュース力は必須になると思います。
「メジャー」や「デビュー」という言葉が死語になってきて、誰でも自分を発信できるという手軽さの反面、どんどん音楽が埋もれやすくなっている危険性も大きくなっています。どこを目指していいか分からないっていう若手アーティストも多いですからね。
これからはYouTubeに代表にされるように、人の目を引くアイディアやコンテンツが発展していくんだろうなと思います。
ただしあくまで「いい音楽」というのが前提となるので、やはり難しい時代ではありますね。
またこれからは音楽プラスαが求められると思います。動画だったりイラストだったりと組み合わせ、複合的なコンテンツを発信していかなければなかなか生き残っていくのは難しいかもしれませんね。
ーーありがとうございます。それでは最後に田上さんの今後の活動と、読者の方へメッセージをお願いします。
音楽の仕事をこれからも”楽しく”続けていきたいと思っています。
どんなに好きなことでも、続けていくうちにしんどいと感じる場面は必ず訪れます。そんな時どうすればその状況を楽しむことができるかをいつも考えるようにしているんです。例えば「今日は目を瞑って楽器を演奏してみよう」とか。(笑)
どれだけポジティブに考え楽しむことができるか、そしてどれだけ続けることができるか。僕もそうですし、これから上を目指そうとしているアーティストもこれは共通していることだと思いますね。
ーーありがとうございました。
FRONTIER BACKYARD ライブ情報
“Fantastic every single day” release tour
振替日程
東京:2019年1月29日(火) TSUTAYA O-WEST
Open 18:30 Start 19:30
*会場、開場/開演時間の変更は御座いません。
(問)SMASH 03-3444-6751
チケット再発売日:12月8日(土) 前売¥3,800(ドリンク別):
e+、ぴあ(P:136-675),ローソン(L:75226)
企画/制作:Niw! RECORDS/SMASH
総合問合せ:SMASH 03-3444-6751
ライブ詳細は:コチラ
Website:http://www.frontierbackyard.com/pctop.html
Twitter:https://twitter.com/FBYofficial
FRONTIER BACKYARD 「sauté」
取材・執筆:momo (田之上護/Tanoue Mamoru)
profile:1995年生まれ。Digital Performer・Ableton liveユーザー。音楽学校を卒業後作曲家として福岡から上京。
2017年8月ツキクラ「STARDUST」に作・編曲で参加し作家デビュー。
「心に刺さる歌」をモットーに、作詞作曲・編曲からレコーディングまで全てをこなすマルチプレーヤー。
アートユニット「Shiro」の作編曲担当としても活動中。
ホームページ:Music Designer momo
TwitterID :@momo_tanoue