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【UADプラグイン特集】驚異のスタジオシミュレーター Ocean Way Studios

Author: sleepfreaks

世界屈指のスタジオ音響を手中に

UAD-OS

UADの秀逸なプラグインをご紹介していくシリーズ、第2回目となる今回は、「Ocean Way Studios」を取り上げます。
名前からして、スタジオ空間を再現するリバーブプラグイン?と思われるかもしれません。
もちろんその一面もありますが、それだけにとどまらない画期的な機能も備えています。

そしてやはりUADならではのクオリティは流石の一言で、一般的なコンボリューションリバーブとは一線を画すリアリティを実現しています。
まさに唯一無二と言える「スタジオシミュレーター」、ぜひその魅力に触れていただきたいと思います。

製品リンク:Ocean Way Studios

なお、UADプラグインは専用のDSPアクセラレーター(あるいはオーディオインターフェイスApolloシリーズ)で動作します。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

オーシャンウェイスタジオとは

ocean_way_hero

まず、このプラグインがシミュレートする実在のスタジオについて簡単に触れておきましょう。
アメリカ西海岸にあるオーシャンウェイスタジオは、最高峰と言われる音響設備とレコーディング機材、アメリカ最大の真空管マイクのコレクションを持つ世界屈指の名門レコーディングスタジオです。
もちろんその実績も輝かしいもので、利用した著名なアーティストは、AC/DC、B.B.キング、ボン・ジョヴィ、エリック・クラプトン、マイケル・ジャクソン、ポール・マッカートニー、ボブ・ディラン、グリーン・デイ、エルトン・ジョン、レディオヘッド、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、R.E.M.、ローリング・ストーンズ、ロッド・スチュワート、XTC、アヴリル・ラヴィーン、TOTOなど、ビッグネームがズラリと並びます。

この伝説的なスタジオを、「ルーム/マイク/ソースモデリングといった複数の要素を組み合わせることで、一般的なインパルスレスポンスを用いたエミュレーションやリバーブを遥かに超え、世界で最も有名なスタジオの一つをデジタルワールド上に見事に再現」した、というのが、このUAD Ocean Way Studiosプラグインです。

2つのモード

Ocean Way Studiosには、RE-MICとREVERBの2つのモードがあり、それぞれ全く違う方式で信号が処理されます。
どのようなシーンで使い分けるかは、後にサウンドとともにご紹介します。

RE-MICモード

RE-MICモードはその名の通り、オーシャンウェイスタジオの設備を用いてレコーディングを行うかのような状態をシミュレートしてくれます。もちろん実際に楽器の音を録り直せるわけはないのですが、ちょうどギターのリアンプのように、プレミアムなマイクやアンビエンスの特性を通して、サウンドを生まれ変わらせます。
ゆえにRE-MICモードは、トラックに直接インサートする形で使用します。また、DRY/WETバランスは操作できなくなります。

REVERBモード

REVERBモードは、一般的なリバーブと同じように、ソースのサウンドはそのままに、スタジオのアンビエンスを加える形で処理されます。インサートしてDRY/WETバランスで調整してもいいですし、AUX(FX)トラックにセッティングしてセンドしてもOKです。

Ocean Way Studiosの主要パラメーター

Ocean Way Studiosを操作するにあたり、核となる主要パラメーターは以下の通りです。
ある程度レコーディングの知識を持っていれば、難なく直感的に操作することができます。

parameter

  • ①STUDIO
    Ocean Way Studiosには広めの「A」、狭目の「B」2つのスタジオがあり、そのいずれかを選択します。
  • ②SOURCE
    対象となる楽器の種別を選択します。
  • ③MODE
    RE-MICモードとREVERBモードを切り替えます。
  • ④MICROPHONESセクション
    EAR、MID、FARの3本のマイクを選択し、ソースからの距離、フィルター、位相、パン、音量バランスなどを調整します。MUTEを用いることで、マイクの本数をコントロールすることができます。
  • ⑤MASTERセクション
    マスターボリュームやDRY/WETバランス(REVERBモードのみ)を調整するほか、プリディレイや左右反転、モノ化などを行うことができます。
  • ⑥MASTER EQセクション
    ハイシェルフ、ローシェルフの2バンドでイコライジングすることができます。

使用ケース1:ドラムのアンビエンス

ここからは実際の使用ケースを紹介していきましょう。
まずはドラムのアンビエンスです。適用前後のサウンドを確認してみてください。

▶︎適用前

▶︎適用後

程よい空気感とともに一体感が高まり、全体的に太さも出て、一言で言えば「説得力のあるサウンド」になっていると思いませんか?アンビエンスだけでここまで変化するとは、正直驚きました。
セッティングとしては、AUX(FX)トラックにOcean Way Studioを準備し、ドラムの各マイクからセンドする形としました。
設定はこのような感じです。

drums

スタジオは広めのA、モードはREVERBです。
気をつけた点としては、FARマイクの音量です。マイク録音では、音源とマイクとの距離に比例して遅延が生じます(1フィートにつき1ms)。このOcean Way Studio でもその点はシミュレートされており、FARマイクでは結構なズレを感じます。DISTANCEノブをクリックすることで取り除くこともできるのですが、今回はあえてそうせず、リアリティを優先しました。空気感を出しつつズレが顕著に聞こえないよう、繊細に音量調整することがコツです。

使用ケース2:ギターのリマイク

続いては、ギターのリマイクです。こちらも適用前後を比べてみましょう。

▶︎適用前

▶︎適用後

高域が特徴的だったソースが、中域もふくよかになりフラットな印象となりました。また、MIDマイクによって立体感も出てきていますね。良し悪しは曲とのマッチングによっても変わりますが、こんな風にサウンドの印象を変えるのは、他のプラグインでは難しいように思います。
セッティングとしては、ギターのトラックに直接インサートしました。
設定はこのような感じです。

guitar

スタジオは狭めのB、モードはRE-MiCです。NEARマイクを極端に近くし、実際レコーディングする際のオンマイクに見立てました。位相の問題が発生しないよう、MIDマイクを位相反転させています。
曲や好みによってマイクのチョイスも変わってくると思うので、ぜひ色々試していただきたいと思います。

使用ケース3:ストリングスのリマイク

最後は、ストリングスのリマイクです。

▶︎適用前

▶︎適用後

ソースは音源のストリングスなのですが、やや冷た目でバラつきのあるサウンドが、グッとまとまったように思います。温かいながらもきんと存在感のあるサウンドです。また、ギターと違ってステレオのサウンドなので、広がりに変化がありますね。ボーカルなどがある場合には、程よいスペースが出来てミックスしやすくなると思います。
セッティングとしては、ストリングスのトラックに直接インサートしました。
設定はこのような感じです。

strings

スタジオは広めのA、モードはRE-MICです。MID/FARマイク中心で音作りをし、NEARマイクで輪郭を付加するような意識でアプローチしてみました。NEAR=高域(輪郭)、MID=中域(広がり)、FAR=低域(温かみ)、といった具合に役割分担できると思うので、狙いたいサウンドに合わせて、ボリューム調整するといいと思います。


以上、今回はUADの「スタジオシミュレーター」、 Ocean Way Studiosをご紹介しました。
このプラグインはどんなジャンルにも属さない新しいコンセプトの製品と思いましたので、あえてそう呼ばせてもらいます。
そのくらい画期的、かつ即戦力でミックスに役立つプラグインだと思います。ぜひお試しください。

製品リンク:Ocean Way Studios

記事の担当 大鶴 暢彦/Nobuhiko Otsuru

Sleepfreaks DTM講師 大鶴 暢彦
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