【驚愕のクオリティ】伝説のホールリバーブを最先端の技術で「AIR Studios Reverb」
Spitfire AudioとAIR Studiosが贈る究極のリバーブ!
先日、オーケストラ音源で高く評価されているSpitfire Audioから、エフェクトプラグイン「AIR Studios Reverb」が登場しました。
AIR Studios Reverbは、映画音楽のレコーディングで非常に有名な「Lyndhurst Hall」のアコースティック環境を再現するために、Spitfire Audioとイギリスの名門スタジオ「AIR Studios」が共同開発した初のエフェクトプラグインです。
伝説的な音響空間の再現だけでなく、音源の配置や音の響きを視覚的にコントロールできる機能を備えており、従来のリバーブ技術と比較して、よりリアルでカスタマイズ性の高さを感じる商品です。
そんなAIR Studios Reverbの特徴について解説していきます。
AIR Studios Reverb 紹介動画 50分23秒から
AIR Studios Reverbについて
主な特徴
- 67,000以上のインパルスレスポンスを使用して、詳細な音響環境を形成
- Virtual Positioning Technologyでホール内の任意の位置に音源を配置可能
- 8つの異なるマイク信号を選択・ミックス可能
- キャノピーの高さや素材、ギャラリーダンピングを調整可能
まずはサウンドの傾向やクオリティを感じていただくため、サウンドをご確認ください。
ドライのストリングスに対してリバーブのない状態と、含めた状態を用意しました。
【A:リバーブなし】【 B:リバーブあり】
ストリングス用のプリセットを使用しただけですが、ホールの臨場感がしっかりと表現されています。
圧倒的なサウンドバリエーションを叶える大容量IR
AIR Studios Reverbはコンボリューションリバーブで、実際のホールで収録したインパルスレスポンス(IR)データを使用しています。
リアルな質感が得られることはもちろん、約67,000ものIRを収録しており、音源と聴き手(マイク)のあらゆる位置関係を再現可能です。
機械処理ではなくIRでリアリティを追求しながら、様々なサウンドに切り替えられるのが特徴です。
直感的に音源をコントロールできるVirtual Positioning Technology (VPT)
Spitfire Audioの独自技術、Virtual Positioning Technology (VPT)により、ユーザーは音源をドラッグ&ドロップで任意の位置に配置できます。
音源の位置を自由に動かせるので、リアルなオーケストラの響きを作りたい方には非常に興味深い製品です。
特定のトラックに対してAIR Studios Reverbを適用し、配置を移動させると、響きがダイレクトに変化する様子が視覚的に制御できます。
実際にバイオリンに使用しているリバーブの位置を変化させてみましょう。
- 配置パターン1
- 配置パターン2
- 配置パターン3
- A : 配置パターン1 / B : 配置パターン2/ C : 配置パターン3
音源を配置する場所により、しっかりと響き方が変わることから、場所ごとの異なるIRが使用されていることが伺えます。
音の質感を極める8つのマイク信号
また音源の自由な配置に加えて、異なる8つのマイク信号を選択しミックスすることができます。
各マイク信号の音量や特性を個別に調整することで、音のバランスや質感を細かくコントロールし、柔軟な音作りが可能です。
これにより、特定の楽器や音源に最適なリバーブ設定を作り出すことができます。
密度とリアリティを保ちながらホールの響きをカスタマイズ可能
さらに、AIR Studios Reverbでは、演奏者の向き、キャノピーの高さや素材、吸音材の配置など、ホールの物理的な属性が変更可能で、音響空間のリアリティを保ちながらリバーブの響きをカスタマイズできます。
機械的なリバーブ処理とは異なり、音響空間のリアルさを保ちながら響きを抑制することが可能です。
試しに演奏者の向きを変えてみましょう。
- レイアウトA:コントロールルームに向かう配置
- レイアウトB:オルガンに向かう配置
【A:レイアウトA】【B:レイアウトB】
レイアウトAは、演奏者がコントロールルームに向かって配置される設定で、音が直接的で明瞭な響きが感じられます。
クラシックなホールの音響に近いリバーブです。
対して、レイアウトBは、演奏者がオルガンに向かって配置される設定で、音が広がり、豊かな響きが感じられます。
映画音楽などで使われる深く包み込むようなリバーブです。
また、AIR Studios Reverbには、あらゆる楽器に適した54のプリセットが用意されています。
プリセット選択でもそれぞれの楽器の特性に沿ったリアルな響きが再現されますが、特定の音響環境や楽器の特性に合わせて細かく調整したい場合には、「SOURCE」から設定が可能です。
SOURCEを開くと「BACK/RIGHT/FRONT/LEFT」と書かれた円とオブジェクトが表示されています。
オブジェクトをドラッグして回転することで、音が広がる向きを設定できます。
また、右側のフェーダーでは音の広がりの度合いなどをさらに細かくコントロールできます。
各フェーダーを変更するとオブジェクトも変化し、視覚的に変更内容が把握しやすい設計となっています。
各パラメーターの詳細は下記の通りです。
- Left/Right(左右): 音が左右にどれだけ広がるかを調整します。
ステレオイメージが変わります。 - Back/Front(前後): 音が前後にどれだけ広がるかを調整します。
音の深さや距離感が変わります。 - Up(上): 音が上方向にどれだけ広がるかを調整します。
音の高さや空間感が変わります。 - SUB(低音):低周波数を調整します。
100%の設定でAIR Studiosの低周波数が最大限に再現され、下げることで低音域が抑制されます。
自然に直接音を加えるDirect
「SHAPE」内にある「DIRECT LEVEL」は、ダイレクトサウンド(直接音)の音量を調整します。
ダイレクトサウンドは、リバーブがかかる前の元の音で、リバーブ効果の中でどれだけ直接音が目立つかをコントロールします。
ダイレクトレベルを上げると直接音が強調され、音源が特定の場所から発せられている感覚を、より明瞭に再現することが可能になります。
例えば、今回のデモではボーカルのサウンドにDirectを使用して、原音を混ぜています。
DryWetを使用してリバーブを適用した場合では、Dry側の信号はより手前で感じられますが、Directでは、原音が聴こえつつも、より奥から演奏されているような音像を表現できます。
【Wet100%/Direct 200%のサウンド】
バックグラウンドで演奏させたいトラックの処理は、通常EQやダイナミクスをコントロールして、Dry成分の音像を奥に下げるよう細かな処理を行いますが、AIR Studios Reverbではより簡単に制御が可能です。
その他の4つのパラメーターについては、リバーブの全体的な質感をより詳細に設定できます。
詳細は下記の通りです。
- EARLY LEVEL(アーリーレベル):リバーブの初期反射音の音量を調整します。
上げると初期反射音が強調され、下げると抑制されます。 - EARLY STRETCH(アーリーストレッチ):初期反射音の長さをコントロールできます。
増やすと初期反射音が長く持続し、減らすと短くなります。 - TAIL LEVEL(テールレベル):リバーブの後半部分(テール)の音量を調整します。
上げるとリバーブの持続時間が長くなり、下げると短くなります。 - TAIL STRETCH(テールストレッチ):リバーブのテール部分の長さをコントロールできます。
増やすとリバーブのテールが長く持続し、減らすと短くなります。
オーケストラシーン以外での使い所
AIR Studios Reverbは様々な調整項目が備わっていますが、ホールリバーブであることに変わりはありませんので、万能というよりは特定のシーンで活躍する製品です。
基本的には壮大さや幻想的なイメージを持つ楽曲やシーン、またはサウンドに相性が良いです。
特に主な特徴の最後にお伝えしたDirectを活用することで、奥行きに音を配置することが楽にできます。
今回作成したデモ音源では、すべてのリバーブにAIR Studios Reverbを使用しています。
特にEDMテイストのビルドアップ部分で、リバーブのDryWetを制御して上昇感を演出しています。
用途の一例として参考にしてください。
【Buildupの上昇感をリバーブで演出】
なお、負荷についてですが、コンボリューションリバーブ全般に言えますが、CPU負荷は高めですので、個別のトラックにそれぞれ使用した場合は、比較的新しいパソコンであっても動作が重くなる可能性があります。
インストール方法
最後に、本製品をご購入される方に向けて、インストール方法を記載します。
AIR Studios Reverbのインストールには、「Spitfire Audio App」が必要となります。
まず、Spitfire Audioの公式サイトからSpitfire Audio Appをダウンロードしてインストールします。
Spitfire Audio Appのインストールが完了したら、アプリを開き「INSTALLED」をクリックしインストールします。
まとめ
AIR Studios Reverbは、これまでのリバーブでは難しかった音の配置や距離感を自然に表現し、リスナーに音が特定の場所から発せられている感覚を再現します。
映画音楽やオーケストラ、アンビエント、エレクトロニカなど、空間の響きを重視する楽曲に最適です。
ぜひダウンロードして、圧倒的な音響を体験してください!
また、本製品はAbleton Live 11には対応していません。ご購入の際はご注意ください。
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