CM音楽とその未来。〜MassiveMusicへ突撃取材〜【Sleepfreaksの今コレ!#2】
MassiveMusicへ突撃取材
テレビはもちろんyoutubeにスマホゲーム、ウェブサイトなど昨今広告を見かけない日はありません。
そしてそこには必ずと言っていいほど音楽が存在しますが、誰がどうやって制作しているのか実情を知る機会はなかなか無いのでしょうか?
今回はオランダのアムステルダムに本社を置く音楽エージェンシーMassiveMusicの東京オフィスへお邪魔させていただき、エグゼクティブプロデューサー照井淳也さんとクリエイティブディレクター兼作曲家リック サクライさんに様々なお話をお伺いさせていただきました。
ぜひご一読ください!
MassiveMusicホームページ
世界中の作曲家と共同制作
ーーMassiveMusicは元々オランダの会社なんですよね。
照井:はい、アムステルダムに本社があります。他にもロンドンやニューヨーク、ロサンゼルス、ベルリンにも支店があり、昨年の5月にアジアの支店として日本に東京オフィスを構えました。
(MassiveMusic東京オフィス内)
ーーアジアの中でも日本に支店を置いたのには何か理由があったのでしょうか?
照井:元々MassiveMusicはカンヌの広告賞で金賞をいただいたりと、ヨーロッパでは知名度が高い会社で、日本のCMでも直接指名をいただいて楽曲提供をしたりしていたんですよ。
そういったやりとりがどんどん増えていくにあたり、しっかりと地に足をつけてやっていこうということで東京にオフィスを構えました。
ーー現在東京オフィスでは少人数でお仕事をされているということですが、これにはどういった理由があるのでしょうか?
照井:現在はプロデューサー・クリエイティブ&作曲・営業のチームで仕事をしているのですが、世界中のミュージシャンのネットワークを活用し制作を行なっています。
リック:社員自体は少ないですが、世界中に2〜300人ほどの作曲家を抱えているような状態です。仕事に応じて、世界各国の才能ある作家さんと一緒にお仕事をしています。
ーー少数精鋭の良さも活かしつつ、世界中のネットワークを活用してCM音楽を制作しているんですね。
照井:日本にも30人ほど作曲家のネットワークがあります。もちろん作曲家同士だけでなく、MassiveMusicの各オフィスのプロデューサー同士でも意見交換が出来たりと様々な形でネットワークを活用しています。
海外と日本のCM業界は違う部分も多いので柔軟に対応しつつ、海外の音楽のクオリティーを取り入れることができるのが強みですね。
ーー日本の企業にはあまり無い、独特の業務体系ですね。
照井:CMの場合は修正依頼など先方からの希望に対しクイックに対応する必要があるので、実際にスタジオを構えて時差関係なく海外とやりとりが出来るようにしています。
クライアントの方を招待して制作をしていく場合もありますよ。
(MassiveMusic東京スタジオ)
ーーオフィス自体もとてもオシャレで、リラックスできる空間ですよね。ここに住みたいくらいです。(笑)
照井:ありがとうございます。(笑)
リラックスした状態の方がクリエイティブな発想が生まれやすいということもあって、リビングルームのようなイメージでオフィスを作りました。
バーカウンターも設置しているのでたまにそっちで仕事をしたりすることもあったりと、各々がベストなパフォーマンスで仕事をすることができる環境作りを意識しています。
リック:この会社自体がカジュアルでフレンドリーな社風なんです。アムステルダムオフィスには社員でDJとしてバリバリに活動している方もいます。
CM音楽の未来
ーーMassiveMusic Tokyoはちょうど1周年を迎えましたが、これからどういった展開をしていくのでしょうか?
照井:うちの社長がいつも言っているのは、「世界征服」です。
ーー…現実世界で初めてその単語を聞きました。(笑)
リック:日本のオフィスを作るときに社長のビジョンを訊いたんですよ。そしたら「世界征服だ」って言ってて。アジアはお前らに任せたって言ってました。
照井:日本の通常のCMはもちろん、これから東京オリンピックもあるのでそういったキャンペーンのお仕事をもっと増やしていければなと。
あとは中国やシンガポールなど、アジア方面からの仕事もすでにスタートしているので、より拡充していきたいな思っています。営業担当も世界各国を飛び回っています。
(取締役/エグゼクティブプロデューサー 照井淳也)
ーー世界征服が現実味を増していることに驚きです…。CM音楽以外に展開があれば教えてください。
照井:本社やアメリカなどでは直接クライアントである企業やブランドとやりとりして、そのブランドの全ての音を取りまとめる「ソニックブランディング」という事業を手がけています。
具体例でいうと、オランダの航空会社のKLMオランダ航空ではCM音楽はもちろんサウンドロゴなどすべてをプロデュースさせてもらっています。
リック:もっと細かいところまで言うと、その会社に電話したときの保留音や機内の効果音まで、”音にまつわる全て”ですね。
(クリエイティブディレクター/作曲家 リック サクライ)
ーーそれは音楽会社の新しい形ですね。
照井:欧米などではどんどんスタンダードになってきています。
今の日本のCMの場合は毎回チームを編成して制作するため、同じブランドのCMでも毎回統一感や一貫性が無かったりするんですよ。
音楽って目を逸らしていても聴こえてくるので、CMの中でもかなり情報量が多いんです。そこをもっと一緒に考え、企業をブランディングしていこうというコンセプトですね。
ーーありがとうございます。それでは最後に、CM音楽は今後どう変わっていくとお考えですか?
照井:業界の全体的な問題ではありますが、CMにおける音楽の価値をもっと上げていくことが出来ればと思っています。
音楽は人の感情を操ったり、思い出を蘇らせる力があります。もっとその魅力や価値を高めていく活動をしていきたいですね。
リック:映像はVRなど新たなフォーマットがどんどん出来てきているので、それに合わせて音も進化していくと思います。AIなどのテクノロジーとも上手く共存しながら音楽を制作していければと思います。
ーーありがとうございました。
いかがでしたか?MassiveMusic Tokyoでは今後CM音楽制作のセミナーなども開催する予定とのことで、続報があり次第また発信していければと思います。
また「音楽業界への道標」にてリック サクライさんの記事も後日公開予定ですのでお楽しみに!
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取材・執筆:momo (田之上護/Tanoue Mamoru)
profile:1995年生まれ。Digital Performer・Ableton liveユーザー。音楽学校を卒業後作曲家として福岡から上京。
2017年8月ツキクラ「STARDUST」に作・編曲で参加し作家デビュー。
「心に刺さる歌」をモットーに、作詞作曲・編曲からレコーディングまで全てをこなすマルチプレーヤー。
アートユニット「Shiro」の作編曲担当としても活動中。
ホームページ:Music Designer momo
TwitterID :@momo_tanoue